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不況なときほど、見直すべき

 経営者の方に、耳寄りなお話を記したいと思います。

 先日、ある会社代表者から、企業内統治のことで相談を受けたときのことです。「不況により、これまでも日々の日常業務から経費を削減してきたが、更に無駄な経費を削減したい。どうしたら良いか?」と相談がありました。

 私は、まず役員の事をお聞きしました。すると「(実体は、)ぜんぜん業務執行どころか、設立後、会社に現れたことがない。でも僅かばかりの役員報酬は支払っている」とのこと。さらに、この役員は、単に名前を借りているだけであった」と言うのです。
 私は、「これまでの付き合いもあるでしょうし、何らかしら関与しているでしょうから、任期まではこれまでどおりとして、任期が満了したら、会社役員の構成を抜本的に見直してはどうか」と助言しました。
 すると、「費用がかかるんでしょ?!と」おっしゃったので、月にこの役員に幾ら払っているのですかと尋ねると、月◯万円とのこと、資本金が大きくない会社だったので、登記申請手続費用は、ご自身で申請するなら、郵送料と登録免許税(資本金1億円以内であれば1万円)以外はかかりませんよ」と助言しました。

 もちろん、これまでの役員の方には、これまでの付き合いもあるのでしょうから、僅かばかりながらのお礼でもって一言声をかけておく必要はあるでしょう。

そのまま放置しても何も変わりません

 何も手続をしなければ、経費はどんどん出て行きます。まずは役員についても不況な時ほど見直すべきだと考えます。

 商業登記申請は、大きな会社だけが自身で申請ができるという錯覚をお持ちになっているかもしれませんが、中小企業であっても、専門家の指示を仰ぎながらでもできると考えます。
 ご相談をお受け致します
TEL:047-446-3357

高速道路より眺める

上記記事は、2022年6月14日、旧ブログ「時報」より、本ブログに移植しました。

補足

最近設立する会社は、発起人が一人、設立時の取締役が一人の会社を設立することができるようになったので、上記の問題は、生じることはまず無くなりました。

旧商法時代に設立された会社

当時は、まだまだ旧商法時代に設立された会社が多く、名義株主(発起人の最低員数を満たす必要があるため、名義だけ貸していた発起人:会社成立後は名義株主)、名義取締役・名義監査役(現行会社法で置き換えると、取締役会および監査役設置会社であるが、旧商法時代は、いずれも必須機関であったため、実際には経営には関与せず、単に法人格を取得するために、名義だけ貸したが、登記され続けている役員)の存在があります。

設立要件の変遷

発起人7人、成立時の取締役は3人、監査役は1人、資本金は金1,000万円以上、必要だった株式会社の成立要件が、幾度となく見直され、成立から3年内に、最低資本金1,000万円とすることを解除条件とする、いわゆる確認会社の制度の廃止、最低資本金制度の廃止、旧商法から会社法への改正とともに、最低限の期間構成として一人株主、一人取締役とする株式会社も設立することができるようになりました。

名義株主および名義役員について

上記のような事例は、旧商法時代に設立された会社で、やはり中小企業に特有の問題だと思います。ただ、この問題を放置すると、今後どのような問題が生じるでしょうか?

名義株主の場合は相続

それは、名義株主については相続の問題が生じた場合、問題になることがありえます。

名義役員の場合は機関構成

名義役員は、お亡くなりになられたとき、機関構成がそのままであると、新たな役員の選任就任が必要にもなります。もっともこれを機に、機関構成を変更する、実体に合わせることを考えても良いのかもしれません。

機関構成・役員変更の相談を承ります

司法書士大山 真事務所では、会社法人の機関構成や役員変更の相談にも、対応しております。なお、概要は、当事務所公式Webページでも紹介しております。ぜひご参照ください。

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利益相反

 近頃、実務で気になったことを記したいと思います。我々の仕事で、この「利益相反」と聴くと、親子間、若しくは会社と役員間というイメージが強くあります。
 でも、それだけではなく、後見の関係でも生じる事があります。(未)成年後見人と成年被後見人(もしくは未成年者)間の場合でも、生じる場合があります。どのような場合が考えられるのか、それは、相続の事案で考えると、相続人が成年被後見人もしくは未成年者であって、次順位が(未)成年後見人である場合などです。
 また遺産分割協議において、(未)成年後見人と成年被後見人(未成年者)が同順位である場合も、もちろん利益相反になる事案です。
 このような場合、特別代理人の選任が必要になります。勿論、被後見人(未成年者)の次順位の方が、特別代理人になるのは、相当ではないので、第3順位(被相続人からの親族関係では、兄弟姉妹になります)の方でも、可能だと考えられます。また利害関係がない方でも、特別代理人候補者としてあげるのも、支障はないと思われます。
 財産関係で身内に、あまり知られたくないのであれば、司法書士に依頼する方法もあると思います。

庭先に咲いていた花

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年6月6日に、本ブログに移植しました。なお、内容を一部加筆修正しました。

補足

利益相反のことは、概ね、上記記事のとおりですが、一番印象に残っている事案として、根抵当権の抹消登記申請の準備のときに、組織と組織の構成員の関係で利益相反に対応したことです。詳細はここでは記しませんが、実体上の根抵当権という権利を消滅させる過程で、利益相反が生じる不思議な事案だったことをよく覚えています。

以外にも、利益相反に該当するしないということは、よくあります。もしも迷われ、どうすべきか判断が難しいことであれば、対応いたします。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
web: https://makoto-ohyama-judicial-scrivener-office.jp

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民事信託・遺言・後見・相続

推定相続人の廃除について

 先日、電話で「相続人を排除したいのですけど…」という相談がありました。なぜか一般の方は誤解されている様ですが、単に裁判所に行って手続さえすれば、推定相続人は排除することができるということではないのです。
 根拠は民法にあります。条文には、「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があった」という事実がなければなりません。また排除の対象者は、遺留分を有するということなので、兄弟姉妹に対しては、排除をすることはできないのです。
 廃除は、生前で申し立てることもできれば、遺言をもって請求する事ができます。
方法等については、個別具体的な内容に触れるので、個別に対応致します。
まずは、お電話を…047-446-3357

池にある蓮の花でした

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年6月3日に、本ブログに移植しました。なお、内容を一部修正しました。

補足

相続人の排除の件ですが、生前、遺言で申し立てることができます。ただ、上記にも記したように、申し立てれば、安直に認められるわけではなく、廃除の対象となる人物に審尋(簡単に記すと訴訟手続の対面とは違い、一方当事者のみを交互に呼び出し審理する形式)が行われ、上記の要件に該当するか否かを事実認定し、審判します。

そうすると、生前ならば申し立てた後に、裁判所は、該当する相続人を呼び出し、審尋する。相続開始後は、遺言に廃除の意思表示があれば、遺言執行者が、廃除の審判を申し立て、裁判所は、審尋することとなります。

主張立証の難しさ

生前ならば、被相続人となるその人が、申立書および準備書面もしくは、審尋時に主張し、証拠となりうるものを提出するば良いのですが、相続開始後となると、遺言書に記載し、事実上遺言執行者に、審理の対応をお願いすることとなります。

そうすると、生前では、推定相続人との関係をどうしていくのか、相続開始後の遺言でももってならば、主張立証のための大きなハードルをどう超えていくのか、なかなか難しいところがあるにはあります。

画一的な手法は、存在しない

なにか、こうすれば絶対認められるというセオリーや確固たるプロセスというものは、存在はしないと考えます。しかしながら、どうしてもということであれば、相続人の排除という手段を用いることも視野に入れても良いと思います。

兄弟姉妹が推定相続人の場合、なぜ排除が認められないのかは、また別の機会に触れたいと思います。

相続手続き全般の業務の概要は、事務所公式webページでも紹介しています。是非ご覧ください。

司法書士 大山 真 事務所
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民事信託・遺言・後見・相続

相続放棄

 いきなり唐突なタイトルかもしれませんが、大切な方が亡くなられたときに、開始するのが相続です。基本的に相続と言えば、積極的な財産、即ち、不動産や預貯金、株などをもらえると思い浮かべますが、実はもうひとつあります。それは消極財産、即ち、借金、立替金、売買代金、滞納していた税金等の他人様に支払わなければならない債務も財産で、この債務も引き受けることとなります。

 もしかしたら、相続により財産を承継するとは、積極財産だけ相続して、消極財産は相続しないというイメージを持っていらっしゃると思います(もちろん、限定承認という方法を用いれば、清算して、消極財産が残れば承継することも可能です)が、積極財産のみならず、消極財産も承継します。そうすると、思わぬところから、返済の取り立ての電話などが掛かってきたりします。

相続放棄の意義

 そこで故人が残された消極財産のために、あずかり知らぬところから返済等の取り立てから防御する方法、それが相続放棄です。
 この相続放棄ですが、現時点での相続人のみならず、次順位等(直系尊属、兄弟姉妹)の相続人も必要となります。なぜならば、故人の子供全員が相続放棄をしたことで、放棄した子は、相続人ではなかったものとみなされるため、次順位である直系尊属の方が相続人、そして直系尊属全員が相続放棄すると、次順位である兄弟姉妹が相続人となります。

家庭裁判所での手続きが必要

 この相続放棄ですが、相続は相続人の財産について分け合う重要なことなので、裁判所での申述が必要となります。
 司法書士大山真事務所では、相続による不動産の登記申請手続のみならず、相続放棄の申述についても、御手伝い致します。

月島界隈でした

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年5月26日、本ブログに移植しました。なお、移植の際に、本文について、加筆修正しました。

回想

初めての相続放棄の申述のための、家庭裁判所に提出する申立書起案および手続き支援の依頼の折り記した記事でした。

円満な親族ほど次順位の存在は大きい

上記に記したとおり、配偶者以外の相続人は順位というものが存在し、子、直系尊属、兄弟姉妹と順位があります。また被相続人が亡くなる以前に子、兄弟姉妹が亡くなられている場合は、代襲相続の問題もあり、親戚づきあいが良好な親族は、綿密な連絡が大事なのだろうと思います。

未成年者の相続放棄の申述には留意が必要

この事案も、以前取り扱ったことですが、相続放棄の申述人が未成年者であるとき、留意が必要な場合もあります。特に複数の子が相続放棄の申述をする際に、親権者法定代理人は、子供同士について利益が相反することとなるため、この相続放棄の申述のための特別代理人の選任手続きが必要になります。

次際に扱った事案では、唯一の親権者である被相続人につき相続が開始し、未成年後見人として、その未成年者らから見て祖父が就任しましたが、この祖父は、相続放棄の申述手続きでは、子の次の相続権をしゅとくする順位者、すなわち次順位であるため、子と法定代理人である(祖父)の間の利益相反行為、そのとき子は二人だったので、子同士の利益相反もあるため、子一人一人につき特別代理人の選任が必要な事案でした。

こうして考えてみると、相続放棄の申述をするにしても、なかなか難しい問題です

ここまで記しましたが、繰り返しになるかもしれませんが、またの機会に、このことを詳細に記そうと思います。

相続放棄の申述の詳細は、事務所公式Webページで、紹介しています。是非、ごらんください。

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事務所より 民事信託・遺言・後見・相続

本人申請の難しさ

 相続を原因として、不動産登記申請について、本人申請で手続をしたいというお客様がいらっしゃいましたので、手伝うことになりました。
 きっと相続を原因とする登記申請手続について、法務局で相談をしながら、手続をされていらっしゃる方もいらっしゃると思います。
 単純に本に記されている知識だけで、手続きをしようと思っても、書面集めの経費を節約するノウハウまでは、なかなか知ることができないのではと、手伝って感じました。
 我々の仕事は、書面一通を如何に安く手に入れるのかにも注意を払っています。
 特に固定資産評価証明書交付依頼書を法務局から発行してもらい、その発行された依頼書を持参すれば、無料で発行を受けられます。
 ただし、この方法で発行された固定資産評価証明書は登記以外には使用することができないことにも注意が必要です。
 親切心のある法務局では張り紙がしてありますが、その意味が解る一般のお客様がどれくらいいらっしゃるのであろうかと考えさせられました。
 そうすると、一般の方々からみると、登記申請手続は、敷居が高いのかなと感じました。

千鳥ヶ淵より

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年5月24日に、本ブログに移植しました。

回想

本人申請の支援依頼は、今日においては、ずいぶん少なくなったのかと思います。白書によって確認しているわけではありませんが、相続を原因とする本人申請は、増加していると思います。

原因は、いくつか考えられますが、登記を受ける申請人も定年退職し自由な時間がある一方、年金生活とともに、可処分所得が見えにくくなり、依頼することをためらうことが、多いにして存在しているのかなと思われます。

法務局の動向

ただ、法務省および法務局の動きとして、リストラを図っている以上、通常業務でさえ手が回らない上、申請されれば、補正に対する質問は、多分受け付けるのでしょうけど、申請前の段階では、申請手続きの案内に留め、相談は、受け入れなくなりました。まして相談時に、一方当事者からの要望に対応するための相談は、対処することは認められないことも手伝ってのことだと思います。

法定相続情報証明の活用

今日の相続手続では、法務局以外に戸籍等の書面が必要であれば、請求できる法務局は限られますが、戸籍の束と申出書を提出すれば、法定相続情報証明書を取得することができます。この法定相続情報証明が戸籍謄本等の束にしたものの代わりを果たすこととなり、他の相続手続も並行して行うことができます。

手続きが難航するなら司法書士に相談を

最後になりますが、ご自身で、手続きをしようと思っても、うまくいかない、戸籍を入手するために時間が思ったよりかかる、一度手続きをしたのに、把握しきれなかった不動産がまた出てきた際には、ご無理をなさらずに、当事務所またはお近くの司法書士事務所に相談されることをお勧めいたします。

当事務所業務の概要は、事務所公式Webページで紹介しています。ぜひご参照ください。

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