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不動産登記申請 事務所より 会社・法人・企業法務 裁判事務

令和7年になりました

こんにちは、公開が少々遅くなりました。

令和7年、西暦では2025年になりました。

この仕事を通じて出会う依頼者の方々には、喪中という方もいらっしゃいますので、あえて、新年のかしこまった挨拶は、控えておりますこと、ご理解ください。

さて昨年の4月から、不動産登記における相続登記の義務化が叫ばれるようになりましたが、まだまだ周知が行き届いていないという声も、聞こえたりもしています。

過料の制裁が、本格化するのは、昨年の4月の施行後3年経過した段階で、登記申請の懈怠と認定されるようです。もっともその前に、法務局から相続登記がされていない旨の通知が届いている声も聞くことがあります。この場合は、法務局は例外なく相続登記申請が必要な事案であることを確認していると言えます。すなわち、法務局は、目をつけていると言っても良いと思われます。ご留意いただきたいものです。

それから、商業法人登記申請の義務ですが、こちらは従前から義務が課されています。特に事実上役員の出入りがない場合でも、株式会社は、任期が存在する以上、登記申請する時期が必ず到来します。この役員変更登記申請を怠り、法務局からの通知も無視し放置すると、法務局(登記官の職権)によって、会社解散の登記がなされてしまいます。この解散の登記がされてしまうと、実体に即すために、継続手続きが必要であり、設立時に要した費用と同等にかかることがありますし、職権解散後2年が経過してしまうと、もはや継続手続きをとることができません。特に役員の任期を定款の記載を約10年にしている会社・法人は、留意が必要です。もっともこう記しても、対象となる会社・法人は、関心を持っていないため、この記述についても目につかないのかもしれませんが、念のため記しました。

登記申請のみならず、裁判事務の手続きも支援いたします。

本年もよろしくお願い申し上げます

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
事務所: 〒270−1432 千葉県白井市冨士185番地の21

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会社・法人・企業法務

なお権利義務を有すること

こんにちは、今回は、会社法第346条を見ようと思います。

単に会社法の条数を取り上げても分かりづらいと思うので、具体的なことを以下に記します。

役員が辞任または任期満了により退任したことによって、対象となっている会社の役員構成が法令定款規定の員数を欠けてしまう場合、その退任した役員は、なお権利義務を有する。ということです。

分かりづらいでしょうか?

では、もっと具体的に記します。

定款の記載に取締役の員数を3名と規定している会社について、在任中の取締役の一人が、辞任もしくは任期満了退任した場合、当該会社の在任中の取締役は2名しかおらず、3名を下回っています。この場合、辞任もしくは任期満了退任した取締役は、後任者が就任するまで、(端的に言うと)職務を継続し、職務に基づいてした委任に準じる行為について会社から報酬を得る権利を有し、会社に対する業務執行について善良なる管理者の注意義務を負います。すなわち、後任者が就任するまで、引き続き取締役として業務を執行する義務を負うし、業務を執行したことに伴う報酬を得る権利を得るのです。

条文を見ていると、ふと内閣総辞職から新しい内閣総理大臣が就任し、組閣するまで、引き続き前内閣総理大臣をはじめ、各前閣僚も業務執行を継続することと変わらないなぁと思います。

後釜が現れるまで職務を投げ出せない

先にも記しましたが、後任者が就任するまでは、会社との関係では、引き続き仕事をしなければいけない、投げ出せないということなのです。単に、重任の手続きを忘れているのも問題ですが、役員間の権力闘争の挙句に、会社を立ち去ったが、登記が残っている場合や辞任を受理したはずなのに、会社(正確に言うと、後任の代表取締役が、取締役補充の手続、登記申請手続きをせずに、登記上、未だに役員として残ってしまっている場合など、問題となりますが、このことは、別の機会に記そうと思います。

単に重任手続を遺漏し、任期が満了したが、別の後任者が就任することもなく、先の在任中の取締役全員が再任されたときは、どうなるのだろうか?

このこと、あまり好ましくはありませんが、よくあることです。特に取締役会がない株式会社は、大抵の任期は約10年としていることが大多数で、任期が満了していることも忘れ、そのまま業務執行を継続しているという事案が多く見られます。

実体上は退任しているが、業務執行の権限は行わなければならないため、外部からは登記簿を見ない限り、その事実は気がつくことはありません。

登記簿上の記載はどうなるのか?

当職は、司法書士なので、登記のことに触れましょう。登記簿上は、任期満了となる日(定時株主総会終結日)でもって「退任」、後日、取締役として事実上の再任された「就任日」でもって役員として登記されます。このことを裏返すように表現すると、「重任」という文言は、使うことができません。実体上、任期が満了しているからです。よって「退任」と「就任」の文言を使わざるを得ないのです。なお重任ですが、任期に間をおかずに再任する場合に用いられる文言であることを付言します。

こうしてみると、「単に重任手続を遺漏し、任期が満了したが、別の後任者が就任することもなく、先の在任中の取締役全員が再任されたとき」は、「退任」と「就任」という文言が並び、その日付も退任日と就任日が開いてしまうため、一見、役員が誰もいなかった、不在だった期間が存在すると思われるかもしれません。もしも行政上の許認可申請が控えていたときはどうするの?と思ってしまうかもしれません。それでも、登記簿上一見誰もいなかったのに業務執行をしているとはどういうことなんだと思ってしまうかもしれませんが、会社法第346条の存在があるので、一義的に実体上、好ましくはありませんが、通常業務の範囲内であれば、問題なく、業務執行を行えますし、登記簿上役員の在任期間について空いてしまっても、問題はありません。ただし…

登記は役員の態度も反映する

役員の改選手続を懈怠したこと、登記申請手続の通常の会社と比べて懈怠してしまったことは、登記簿上、直接その旨は記されませんが、役員の就退任日、登記日付をよく見て、読み取ることができる(金融機関の融資決済責任者等の)人が見ると、その事情を読み取ることができるし、登記は、削除はできないので、そのまま記録が残り続けるので、留意が必要です。

登記簿をしっかり見ることができない他士業先生もいらっしゃるようです

このこと、司法書士では常識なのですが、一部の行政書士の先生が、血相を変えて、「許認可申請手続ができない。」とクライアントに言って、「(実体上とは違った、謂わば不実の)重任登記にし直してもらってください!。」と顧客様に言い放った方もいらっしゃようです。

私自身の拙い実務経験から言うと、他の行政書士の先生からは、役員変更の登記が懈怠した結果、事実上の再任の登記であったとしても、許認可申請には問題ないとの回答をもらうことがありました。多分前者の先生は、許認可申請について不慣れだったのだと思います。

金融機関の融資責任者の方にも、扱う事案のほとんどは、生真面目な会社法人が多いようで、あまり質問はありませんでしたが、やはり、同じような質問をされた方もいらっしゃいました。

役員変更登記申請は忘れずに!

最近の株式会社は、取締役会がなく、役員の任期も、会社法の規定のぎりぎりである約10年が大多数であり、当事者の会社代表者もすっかり忘れていることが、多くあります。特に、役員の増減もなく、資本金の操作もしていない、事業の目的の拡大もなく、日々の業務だけを生真面目に対応されている会社ほど、陥りがちなようです。設立当初、任期のことを話をして、自社の成長を潜在的に前向きに考えて、10年よりも短く設定する会社もありますが、日々の業務に追われ、役員の増員もすることなく、当初定款には、その任期を10年よりは短く設定していたことも遺漏し、設立して10年後の事実上の決算手続を税理士事務所で完了時に、顧問税理士から指摘されたという事案もあるようです。ご留意いただきたいものです

会社役員変更登記申請の相談を承ります
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会社・法人・企業法務

公開会社ではない会社でなければ、取締役会設置会社の廃止はできない

見出しに、唐突に、「公開会社」と記しましたが、社会通念上の感覚でこの「公開会社」という文言をみると、「上場企業」を連想しますが、上場企業を指しているのではなく、株式会社のうち、その株式の譲渡による取得について会社の承認を必要としない株式を発行している会社のことを「公開会社」と呼びます。

この公開会社ですが、株式の譲渡を自由にできるくらい事業規模も大きいことを想定しているので、取締役会設置会社・監査役設置会社が必須であるといえます。さらに事業規模が広大であれば、指名委員会等設置会社であったり、監査等委員会設置会社は確かに存在しますが、この記事では、中小規模の株式会社を想定していますので、割愛します。

会社法は、株式を譲渡によって取得するために、会社または会社の一機関からの承認が必要か否かによって必要な機関構成を定めているともいえます。ついてでながら、事業規模がおまりにも大きいあまり、資本金の額が5億円以上または負債が200億円以上の場合は取締役会以外に監査役会、会計監査人、社外取締役の存在も必要になります。

公開会社ではない株式会社の要件

ところで、公開会社ではない株式会社を構成するには、機関構成の他に、会社と株主の関係を定款の規定で設けなくてはなりません。それが、株式の譲渡による取得の制限のことです。この対象となる株式ですが、会社が発行するすべての株式について制限を設定することが要件です。ややうがった見方をすると、経営に口を出す人達を株主に入れたくないという株式会社でもあります。

公開会社ではない株式会社の最小の機関構成

さて、公開会社ではない株式会社の特徴は、その機関構成が株主総会と取締役一名から構成することができます。ただし、株主総会といっても、その総会の構成員数は1名からでよいと解されています。社団の意義が脳裏によぎりますが、講学的には、潜在的(後に増員する期待が持たれた)社団という解釈により、齟齬は生じないと考えられています。もちろん実務上でも、株主が1名であったとしても株主総会は存在し、その総会が議事し承認可決したことについて、株主総会議事録を作成、会社内で保存することは必須であります。

事業規模が大きくなったら、株式の譲渡制限はどうすべきか?

もし、会社の事業規模が順調に大きくなった場合、株式の譲渡制限の設定を継続した方が良いのかどうか?、もしかしたら疑問を持たれるかもしれませんが、会社法上は、あまりにも大きくなりすぎて大会社と事実認定されるならば、機関の設置を見直さなくてはなりませんが、それ以外が特に制限がありません。すでに発行されている株式を譲渡による取得を認めるならば、定款の規定を見直すことが必要となりますが、強制されることは原則ありません。もっとも創業者が、投下した資本を回収したいという思惑があれば、譲渡制限を見直すことは一考しても良いのかもしれません。

公開会社ではない株式会社の機関構成

先に最小の機関構成は触れましたが、それ以外に取りうる機関構成はどの様なものがあるのでしょうか?
実は、公開会社ではない会社が、一番選択肢が多い株式会社と言えます。その種類は以下の10通りの機関構成が考えられます。なお株主総会および取締役は、どの機関構成を考えても必須な機関であるので、以下のリストでは、株主総会は完全に割愛、取締役は取締役会が記されている構成については割愛しています。

  1. 取締役(一人の取締役から可。以下3まで同じ)
  2. 取締役+監査役(任意で監査の範囲を会計に関するものに限定することもできます)
  3. 取締役+監査役+会計監査人
  4. 取締役会+監査役(任意で監査の範囲を会計に関するものに限定することもできます)
  5. 取締役会+会計参与(監査役を置かない代わりに置くことが必須)
  6. 取締役会+監査役+監査役会
  7. 取締役会+監査役+会計監査人
  8. 取締役会+監査役+監査役会+会計監査人
  9. 取締役会+監査等委員会+会計監査人
  10. 取締役会+指名委員会等+会計監査人

上記に挙げた、機関構成は、構成しようと思えば講学上できます。もっとも実務上は、事業規模が大規模であれば、先にも記した様に、機関構成が義務化されることをあります。なお会計参与については、設置が義務付けられる事象と任意的に置くことができる場合があります。

機関構成に取締役会を置かないほど一番簡素な構成では、株式の譲渡制限の規定を設けていることは必須なのですが、それ以外の機関構成は、どれを採用したとしても株式の譲渡制限の設定があったからといって制限を受けるものではありません。

では、本題

公開会社ではない会社でなければ、取締役会設置会社の廃止はできない?

答えは「はい!廃止できません。」となります。株式の譲渡制限が設定されていない公開会社であった場合は、取締役会を置かなければなりません。取締役会設置会社を廃止するには、株式の譲渡制限に関する規定を設定しなくてはいけない、という結論が導かれます。

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会社・法人・企業法務

会社法人代表者住所のこと

こんにちは 今回は、令和6年10月1日に施行する商業法人登記の代表取締役住所非表示措置に関することを記します。

本ブログで記している段階では未施行でありますが よほどのことがない限り変わることがないと思われます

既登記の代表者の住所は?

残念なことですが、既に登記されている代表者の住所は、登記事項証明書および登記情報について、非表示にすることはできないこととなっています。

法務省のwebページでは 制度の概要が冒頭に記されているのですが、そのすぐ後ろに、「注意」の記載があります。

代表者の配慮と取引の安全の均衡

さて代表者住所は、登記事項であり、所定の手数料を支払えば、登記事項証明書または登記情報を誰でも入手可能な情報です。故に新たな取引等で関係に入る際に、登記事項証明書を入手し、相手方の存在はもとより、どの様な会社法人なのか、広義な意味では、これから関わる会社法人(社団)は、どの様な団体なのか?を知ることができ、代表者がどなたなのか、資本金などから与信はどうなのか、掛け取引をするにしても、相手方はどれほどの担保ができるのだろうかなど、単に登記しておけば良いでしょ!、というものではなく、相手方からみれば、逐一真正面から尋ねることもせずに、知ることができます。なんだか情報を与えてばかりに思われがちですが、一方で、代表者以外の人物は、会社法人の代表者ではないと言えます。勇退する役員の挨拶状を送付するという習慣がありますが、なんらかしらの事情で、お辞めになった役員や元代表者のことまで、会社は挨拶状を取引相手に逐一通知していたのでは、円滑な取引が期待できるものではありません。故に、商いをする以上、取引関係に入る前に登記事項を確認することはむしろ当たり前なことだ理解してほしいと感じます。
 さらに留意してほしいこと、例えば、退任した元代表者であった役員が、在籍していた会社を騙って取引したとしても、当該取引よりも前に退任登記をしてあれば、当該会社は、騙された相手方から請求されても、義務を負わないものとなります。この登記申請の義務を怠り放置していると、賠償責任を負わされる可能性もあります。

商業法人登記制度の趣旨

そもそも、なぜ登記制度を設けているのか、ですが、取引関係に入る前に登記されている事項は、知っておかなければいけない。登記することにより、取引の相手方が登記事項を見ている見ていないにかかわらず、見ているものと看做し、物事を進め、取引を円滑に進めるための制度です。商業法人登記制度は、不動産登記のように権利に対する対抗要件を付与するのではなく、取引の相手方に対し、自身の会社法人について登記されている事項を知っているものと看做す(このことを講学的には「悪意擬制」と呼んでいます。この「悪意」は害意ではなく、「ある事実について知っている」の意味です。)法律上の効果があるのです。

住所非表示措置の要件

改めて代表者の住所非表示措置の要件ですが、登記される代表者の住所に関するまたは住所も登記事項となる登記申請の場合で、申請と同時に申出をしなければなりません。登記されてから、非表示にしてくださいはできないのです。

登記される代表者が住所に関するまたは住所についても登記事項となる登記申請の場合

例えば、設立の登記、代表取締役の就任登記、代表者の住所移転による変更の登記の登記申請などです。

所定の書面の添付を要求

申出に際し、書面の添付が必要です。なお上場会会社と上場会社以外の株式会社によって違いますが、ここでは、上場会社以外の株式会社について、記します。

原則3種類の書類が必要です。

  1. 会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面
  2. 代表取締役等の氏名及び住所が記載されている市町村長等による証明書(例えば、住民票の写しなど)
  3. 株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面(資格者代理人の法令に基づく確認の結果を記載した書面など)

なお、すでに代表取締役等住所非表示措置が講じられている場合は、2つ目の書類のみの添付で足ります。また会社が一定期間内に、実質的支配者リストの保管の申出をしている場合は、3つ目の添付は不要となります。

非表示措置がされた登記事項

非表示措置が講じられた場合、代表者の住所は、最小行政区画までしか記載されないこととなります。例えば、「千葉県白井市」の記載までに止まります。なお、東京都の特別区はその特別区まで、指定都市は区までの記載となります。

非表示措置が終了することも

措置が講じられた会社法人の登記ですが、措置が終了二つの事象があります。

  1. 措置が講じられた会社から措置を希望しない旨の申出があった場合
  2. 措置が講じられた会社法人が本店所在場所に実在しないことが認められた場合

これらの事象があった場合は、登記官は職権で当該措置を終了させることができます。なお、申し出による場合は、必ずしも登記申請と同時である必要はなく、単独で申し出ることができます。

登記申請の専門家からみた代表者住所非表示制度のこと

本職がみた、この代表者住所非表示の制度ですが、上場企業において、創業者が完全に勇退した事象まで成長企業は、大多数の株主とくに個人投資家はその典型ですが、個々の代表者について希薄な感情しかもっていないこともあること、その本店所在場所について、会社法のみならず金融商品取引法によって、その上場企業である以上、十分担保されると考えます。一方、上場企業ではない会社法人について、その事業に対する姿勢は、代表者・経営者の人となりが担保になり得ます。その代表者の住所を登記によって公示しないことがどう評価されるのか、もはや予測できないこととなります。

また登記とは直接関係ありませんが、金融機関と取引を考えている場合、与信の観点から、代表者の住所を把握する場合もありうるため、登記事項証明書とは別に、会社の印鑑証明書の提出を早々求められることになることが、十分考えられます。そうすると代表者の住所の記載がある登記事項証明書一通を提出するだけ事足りる段階であるにも関わらず、代表者住所非表示の措置をしたために、登記事項証明書のみならず、印鑑証明書の提出も求められることとなります。抵抗感がない方にとっては、それでも良いのかもしれませんが、まだ契約書の記入を求められてもいないのに相手に印鑑印影を手渡すことに抵抗を覚える方にとっては、とっても不快感を覚えると思われます。

登記申請にあたり考えられる対応

まず商業法人登記申請について、設立登記申請では、代表者住所非表示の申出は、依頼があれば対応できないわけではなりませんが、既に代表者住所非表示がされた会社法人の変更登記申請では、本人確認の観点から対応は難しくなるだろうと考えます。先に対応した司法書士事務所に変更登記についても依頼した方がより円滑に対応できると想像できます。もし先の事務所に依頼せず、他の事務所に依頼した場合は、代表者の本人確認のため、会社の印鑑証明書の提出をを求められることとなります。

また不動産登記申請手続に対しては本人確認をすることがより難しくなります。通常の本人確認手続に加え、会社法人の印鑑証明書の提出を求められることが想像されます。

まとめ

以上、令和6年10月1日施行なのでもう少し先のことの様に思われますが、記している段階で半年もない状況です。もしも代表者住所について、非表示にすることをお考えになっているのであれば、熟慮を重ねた上で、申出をするしないを決めていただきたいものです。

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株式譲渡制限設定決議の件

こんにちは、今回は、株式会社の株式の譲渡制限の設定に関する株主総会の決議のことを記します。

公開会社が、改めて株式の譲渡制限を設定する場合、定款変更の特別決議では要件を満たさず、会社法第309条第3項の規定の決議(いわゆる特殊決議)によって、承認可決する必要があります。

さて、ここまでの記載だと、巷の書籍の内容やwebページで記載されている内容とそれほど変わらないと言えるのですが、他の株主総会と決議要件をよくよく見てみると規定の振りが違うのです。丁寧に見ていきましょう。E-Gov法令検索から引用します。

(株主総会の決議)

第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

【各号省略】

 前二項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会(種類株式発行会社の株主総会を除く。)の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。

 その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会

 第七百八十三条第一項の株主総会(合併により消滅する株式会社又は株式交換をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等(同条第三項に規定する譲渡制限株式等をいう。次号において同じ。)である場合における当該株主総会に限る。)

 第八百四条第一項の株主総会(合併又は株式移転をする株式会社が公開会社であり、かつ、当該株式会社の株主に対して交付する金銭等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合における当該株主総会に限る。)

 前三項の規定にかかわらず、第百九条第二項の規定による定款の定めについての定款の変更(当該定款の定めを廃止するものを除く。)を行う株主総会の決議は、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、総株主の議決権の四分の三(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。

【第5項省略】

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086_20230614_505AC0000000053&keyword=会社法#Mp-At_309

さて、ざっとコピーペーストによって引用しましたが、この会社法第309条第三項が、株式の譲渡制限に関する規定です。わかりやすくするため、括弧書きを一旦無視します。その上で、第3項だけ見てみましょう。

(途中省略)…総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(括弧書省略)であって、当該株主の議決権の三分の二(括弧書省略)以上に当たる多数…(以下省略)。

とあるわけです。この規定の「当該株主」の文言がどう掛かっているのかが問題です。

発行済株式が普通株式のみのとき

発行済株式について自己株式以外の株式全部が普通株式のみであるとき、この「当該株主」という文言が、ふと悩ましく感じるものです。あたかも「出席株主の3分の2以上に当たる多数」と読んでしまいそうになるわけですが、そうではありません。議決権のある株主の議決権の3分の2以上に当たる多数という意味です。即ち実質総株主の議決権の3分の2に当たる多数ということになります。

他の株主総会決議要件を確認

ところで、他の株主総会の決議要件も確認してみます。

まず第309条第1項の「普通決議」は、「…議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数…」とあります。「(定足数は、)議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主の出席」が必要、そして「出席した当該株主の議決権の過半数」の賛成でもって承認可決する仕組みです(定款の別段の定めは、話をわかりやすくするため、今の段階では無視しています)。決議要件をよくみると「出席した当該株主の議決権の…」とあります。

次に、定款変更で多く活躍する第309条第2項の「特別決議」ですが、「…総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(括弧書省略)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(括弧書省略)以上に当たる多数…」とあります。定足数は、普通決議と同じで、決議要件が普通決議よりも厳しい規定となっておりますが、よくみると「出席した当該株主の議決権の三分の二以上」とあります。

さらに、株主の平等原則を部分的に抵触するといっても良いくらいの定款を変更する場合に用いる会社法第309条第4条の特殊決議では、「…総株主の半数以上(括弧書省略)であって、総株主の議決権の四分の三(括弧書き省略)以上に当たる多数…」とあり、こちらは「総株主の」が使用されています。

翻って各項をみると普通決議、特別決議は「出席株主の…」という要件、第4項の特殊決議は「総株主の…」とあります。では、第3項の決議は「当該株主の…」とあるのです。なんだかこの違いが、もやもやするものです。このことは会社法施行から、学び始めた方にとって、なんだかよくわからなくなるのかもしれないと感じます。なぜ、この第3項の規定だけが、「当該株主の…」なのか?よくわからなくなると思います。

第4項の決議のときは、「総株主の」とありますので、出席の用件は、議決権がない株主においても、カウントに入れるという扱いになります。その上で、議決権を有する総株主の4分の3の承認が必要ということです。

第3項の当該株主とは?

では、第3項の規定について、括弧書きも考慮して、条文を見てみましょう。括弧書きは定足数の割合を加重する、要件を加重することができるわけですが、この「当該」といっているのは、まさに「株主総会において議決権を行使することができる株主」のことを言っています。頭数の判断のときに、記されている記載と同じということになります。そして出席要件、決議要件が加重した場合のことも考慮すると、このような記載にならざるをえなかったのかなと思いたくなります。ただ、このことも、他の同業者または他の士業の先生のWebサイトを見ていると、誤解して記載していることが垣間見れます。なぜ誤った記載が散見されるのか、実はそれなりの理由が考えられます。

今更ですが、旧商法より緩和されました

この第3項の規定、実は、旧商法の時代と比べると、ほんの少しだけ緩和されました。旧商法の時代は、出席数要件が、「総株主(頭数)の過半数」、決議要件は「総株主の3分の2」だったのですが、会社法では出席要件が「株主総会において議決権を行使することができる株主の半数」となっています。このことだけでも、緩和されています。また決議要件にしても、第3項の場合は「総株主」ではなく、「…総会において議決権を行使することができる株主」となっています。他の事務所、他の士業のwebサイトを見てみると、旧法時代の規定のままになっている記載が見受けられます。

実務で扱う事案は、議決権が付与された株式が殆ど

気難しく記していますが、実務上は、議決権が行使できない株式は、まず存在しません。まず絶対的に議決権がない株式として「自己株式」や「相互保有株式」がありますし、それから基準日経過後の株式譲受人も議決権はないと考えられますが、そのような状況にあるのでしょうか? 99パーセントが同族会社と言われ、あまねく会社にとって、まず先に記した株主構成は存在しないと言っても良いと思います。

株式の譲渡制限の規定に関することは、いろいろ気をつけなければならないことが随分あります。次回以降にまた取り上げようと思います。

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