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道路部分のこと

こんにちは、今回は、相続財産にも該当する「道路部分」のことを記そうと思います。

はじめに

相続財産の対象となる不動産、特に道路部分のことを記します。これから取引によって不動産(土地)を購入する際の接道部分のことは、また別の機会に記そうと思います。

さて、「接道部分なんて、大した問題ではない。」そう思っていらっしゃる方が大多数だと思いますが、あながちそうは限らないことを記そうと思います。

その存在の有無による影響

その道路部分ですが、固定資産の評価上、非課税扱いとなることが多いため、どうしても見下されてしまう物件ですが、この存在が主たる不動産(土地)の活用を考えた場合、必要なのか、備わっているのかが、とっても重要となります。

公道に接してれば問題ないのか?

もう少し具体的なことを考えると、現状、公道に出られるようであれば、これまで被相続人が活用してきた不動産である以上問題ないと推測できます。もっとも、被相続人が、その不動産を取得する段階で、法令上の制限に適合しない形で取得活用していた場合は問題となり得ますが、ひとまず相続手続では、その財産を取得して引き継ぐのかどうかが問われることになります。その上で、相続によって取得した場合は、その問題も相続することとなります。

調査をしなければ、存在が顕在化しないことも

先にも記したとおり、道路部分における評価証明書上の記載ですが、道路部分も単有であれば、証明書上にも搭載されていることが多いものです。ところが共有であった場合、事象によっては、漫然と証明書交付を請求した場合、道路部分が搭載されないことが多いにしてあり得ます。

相続手続で見過ごされてしまった道路部分

被相続人が所有していた権利証が見当たらない、被相続人が住宅ローンを利用して不動産を取得していたとして、当時の抵当権設定契約書もしくは当該ローン完済後の抵当権解除証書が見当たらない、固定資産評価証明書等から不動産の記載に道路部分が見当たらないことによって、接道部分の存在に気がつかないことは、大いにしてあります。

接道部分を正確に知るには?

さて、公的な書面を頼りに、道路部分の存在を確認しようとしても判然としなかった場合、どうしたら良いのか?

それは、法務局より公図を入手して、建物の底地から普段公道に出るに至るまでの土地の登記事項を確認することです。

不動産調査は、手間がかかるもの

私道部分をしっかり把握するには、先にも記したとおり、公図を入手し、底地から公道に出るまでの土地の登記事項を確認します。

公図を入手し、公道に出るまでの土地を確認した際に、場合によっては、その土地の存在の多さにげんなりしてしまうかもれません。それでも確認し、後の遺産の分割手続に含むことで、将来的に支障を来すことなく不動産を処分することができます。

不動産の売却を考え仲介業者に打診をしても、道路部分について相続手続きをしていないことが判明した段階で、仲介業務を中止せざるを得ず、物事が前に進みません。

空き家となった相続不動産の処分に影響

道路部分を見過ごして相続手続がなされ、その後において、相続した相続人が、被相続人所有の不動産に居住し続けるのであれば、問題は潜在的に留まります。もっとも、その後なんらかしらの理由により、不動産を手放さなければならない事態に陥った時に、最悪な場合、再度の相続手続きを余儀なくされます。

話が逸れましたが、相続不動産について、相続人のどなたも居住なさらないのであれば、空き家となるため、売却する案が浮上しますが、道路部分の存在を見落としていると、やはり先にも記したように、仲介業者の不動産調査の段階で、道路部分について相続手続きが行われていないため対応できないため、手続きが中断してしまいます。

こうしてみてみると、その道路部分についての登記申請手続きが漏れていたために、物事が進まないこととなります。

相続登記申請の義務化の影響

もう一つ留意しなくてはならないこととして、昨今、相続を原因とした不動産登記の申請について義務化が図られました。この登記申請の義務ですが、裁判上の相続放棄の申述受理でもなされない限り、登記申請をする義務を負います。

ついでながら、相続放棄の申述受理がなされたとしても、管轄法務局では、その事実まで、裁判所が保有する情報には直接アクセスすることは想定されてませんので、法務局から催告(いわゆるお尋ね)があった場合、対処することが必要となります。

話を元に戻します。この相続を原因とする不動産登記の申請義務ですが、所有権登記名義人が相続開始時点で登記がある物件の全てについて義務が課されます。この物件は相続の登記を申請するけど、あの物件は申請しないのは、結局義務をおこなることと同じであり、過料の制裁を受ける可能性があります。もっとも登記の申請を怠ったことが意図的でもない事案、すなわち、接道部分の物件に気がつかなかった場合でも、過料の制裁がありうることに留意する必要があります。

道路部分について、遺漏がないように心がけたいものです。

司法書士 大山 真 事務所
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