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会社・法人・企業法務

なお権利義務を有すること

こんにちは、今回は、会社法第346条を見ようと思います。

単に会社法の条数を取り上げても分かりづらいと思うので、具体的なことを以下に記します。

役員が辞任または任期満了により退任したことによって、対象となっている会社の役員構成が法令定款規定の員数を欠けてしまう場合、その退任した役員は、なお権利義務を有する。ということです。

分かりづらいでしょうか?

では、もっと具体的に記します。

定款の記載に取締役の員数を3名と規定している会社について、在任中の取締役の一人が、辞任もしくは任期満了退任した場合、当該会社の在任中の取締役は2名しかおらず、3名を下回っています。この場合、辞任もしくは任期満了退任した取締役は、後任者が就任するまで、(端的に言うと)職務を継続し、職務に基づいてした委任に準じる行為について会社から報酬を得る権利を有し、会社に対する業務執行について善良なる管理者の注意義務を負います。すなわち、後任者が就任するまで、引き続き取締役として業務を執行する義務を負うし、業務を執行したことに伴う報酬を得る権利を得るのです。

条文を見ていると、ふと内閣総辞職から新しい内閣総理大臣が就任し、組閣するまで、引き続き前内閣総理大臣をはじめ、各前閣僚も業務執行を継続することと変わらないなぁと思います。

後釜が現れるまで職務を投げ出せない

先にも記しましたが、後任者が就任するまでは、会社との関係では、引き続き仕事をしなければいけない、投げ出せないということなのです。単に、重任の手続きを忘れているのも問題ですが、役員間の権力闘争の挙句に、会社を立ち去ったが、登記が残っている場合や辞任を受理したはずなのに、会社(正確に言うと、後任の代表取締役が、取締役補充の手続、登記申請手続きをせずに、登記上、未だに役員として残ってしまっている場合など、問題となりますが、このことは、別の機会に記そうと思います。

単に重任手続を遺漏し、任期が満了したが、別の後任者が就任することもなく、先の在任中の取締役全員が再任されたときは、どうなるのだろうか?

このこと、あまり好ましくはありませんが、よくあることです。特に取締役会がない株式会社は、大抵の任期は約10年としていることが大多数で、任期が満了していることも忘れ、そのまま業務執行を継続しているという事案が多く見られます。

実体上は退任しているが、業務執行の権限は行わなければならないため、外部からは登記簿を見ない限り、その事実は気がつくことはありません。

登記簿上の記載はどうなるのか?

当職は、司法書士なので、登記のことに触れましょう。登記簿上は、任期満了となる日(定時株主総会終結日)でもって「退任」、後日、取締役として事実上の再任された「就任日」でもって役員として登記されます。このことを裏返すように表現すると、「重任」という文言は、使うことができません。実体上、任期が満了しているからです。よって「退任」と「就任」の文言を使わざるを得ないのです。なお重任ですが、任期に間をおかずに再任する場合に用いられる文言であることを付言します。

こうしてみると、「単に重任手続を遺漏し、任期が満了したが、別の後任者が就任することもなく、先の在任中の取締役全員が再任されたとき」は、「退任」と「就任」という文言が並び、その日付も退任日と就任日が開いてしまうため、一見、役員が誰もいなかった、不在だった期間が存在すると思われるかもしれません。もしも行政上の許認可申請が控えていたときはどうするの?と思ってしまうかもしれません。それでも、登記簿上一見誰もいなかったのに業務執行をしているとはどういうことなんだと思ってしまうかもしれませんが、会社法第346条の存在があるので、一義的に実体上、好ましくはありませんが、通常業務の範囲内であれば、問題なく、業務執行を行えますし、登記簿上役員の在任期間について空いてしまっても、問題はありません。ただし…

登記は役員の態度も反映する

役員の改選手続を懈怠したこと、登記申請手続の通常の会社と比べて懈怠してしまったことは、登記簿上、直接その旨は記されませんが、役員の就退任日、登記日付をよく見て、読み取ることができる(金融機関の融資決済責任者等の)人が見ると、その事情を読み取ることができるし、登記は、削除はできないので、そのまま記録が残り続けるので、留意が必要です。

登記簿をしっかり見ることができない他士業先生もいらっしゃるようです

このこと、司法書士では常識なのですが、一部の行政書士の先生が、血相を変えて、「許認可申請手続ができない。」とクライアントに言って、「(実体上とは違った、謂わば不実の)重任登記にし直してもらってください!。」と顧客様に言い放った方もいらっしゃようです。

私自身の拙い実務経験から言うと、他の行政書士の先生からは、役員変更の登記が懈怠した結果、事実上の再任の登記であったとしても、許認可申請には問題ないとの回答をもらうことがありました。多分前者の先生は、許認可申請について不慣れだったのだと思います。

金融機関の融資責任者の方にも、扱う事案のほとんどは、生真面目な会社法人が多いようで、あまり質問はありませんでしたが、やはり、同じような質問をされた方もいらっしゃいました。

役員変更登記申請は忘れずに!

最近の株式会社は、取締役会がなく、役員の任期も、会社法の規定のぎりぎりである約10年が大多数であり、当事者の会社代表者もすっかり忘れていることが、多くあります。特に、役員の増減もなく、資本金の操作もしていない、事業の目的の拡大もなく、日々の業務だけを生真面目に対応されている会社ほど、陥りがちなようです。設立当初、任期のことを話をして、自社の成長を潜在的に前向きに考えて、10年よりも短く設定する会社もありますが、日々の業務に追われ、役員の増員もすることなく、当初定款には、その任期を10年よりは短く設定していたことも遺漏し、設立して10年後の事実上の決算手続を税理士事務所で完了時に、顧問税理士から指摘されたという事案もあるようです。ご留意いただきたいものです

会社役員変更登記申請の相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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不動産登記申請 事務所より

二、三十年前に依頼すべき事案(それでも否定すべき事案)

こんにちは。問い合わせをいただき、面談に応じると、対応に苦慮することがあります。

もっとも苦慮する事案は、「名義だけ、変えて欲しい。」というものです。

登記名義人の名義が変わったとは?

それでも所有者その人が、「結婚・離婚・養子縁組」により、氏名が変わった事実であれば、それは「名義が変わった事案」であるので、間違いなく名義だけ変えて欲しいという要望に応じることができます。

しかしながら、先の記事にも記しましたが、現在所有権登記名義人を持っていると思わしき方から、「名義だけを変えたい。」と言っているのは、「現在所有権登記名義を持っているが、他の方に、名義だけ替えたい。」というものです。

実体が則しているのか否か?

この「名義だけ替えたい。」という文言ですが、この文言から、想像できることは、「実体も、所有権は、自身から他者に移転したので、(先生は)登記申請手続についてだけ、対応してほしい。」という依頼が考えられます。もう一つは、「実体は、所有権は私のところに留保したまま、登記名義だけ他者に変えてほしい。」というものです。

大昔の話

現行の不動産登記制度は、平成17年3月7日の改正施行によって、運用されているのですが、遅くともそれよりも前の時代では、先に取り上げた後者の事案の「名義だけ替えたい」という要望に対して、もしかしたら当時の専門職も対応していたのかもしれません。もちろん今日の執務上の取り扱いでは、依頼に応じることができない事案となります。なぜなら、登記名義を受ける方の本人確認がなされていないからです。

名義だけ替えて下さいという要望

不動産登記法改正前当時の制度を振り返ると、当時も登記申請時に「原因証書」という書面を添付していました。ただ「原因証書」の添付ができない場合は、申請書副本を換わりに添付しました。この「原因証書」「申請書副本」は「登記済証」を作成するための書面という目的の側面も兼ね合わせていました。もちろん「原因証書」の添付がなされた場合は、原因証書に記載された内容も確認はしていたようですが、原因証書の添付できなければ、「申請書副本」の添付で以って換える仕組みがある以上、書面による審査は、現行制度と比べると緩慢なものだったかもしれないと想像されます。

では、当時の制度において、「名義だけ替えてほしい」という要望について、当時の専門職は、どうしていただろうか?とふと思うことがあります。もしかしたら対応していた専門職もいたのではないかとふと思ってしまうことがあります。なお法務局の照会に対する回答や補正対応での応答で、時折、「登記はとおる」という文言を聞くことがあります。この意味は、書面上(内容も含めて)不備がないため、(真実がわからないが、)登記申請は、受理される。という意味があり、さらに(「後で問題になり、刑事罰(公正証書原本不実記載の罪)の対象となってもしりませんよ。」)という意味も含まれています。

テレビドラマで、トリッキーに登記制度の趣旨を捻じ曲げ、ストーリー展開される作品がありますが、その影響もあるのでしょうが、往年の相談者ほど、「名義を替えたい」という文言をよく用いられているように感じます。

もしかしたら、2,30年前に、上記のような事情でもってして依頼していたら、対応していた専門職は、いたかもしれませんね。当事務所は、先の不動産登記法改正施行後に事務所を開業したので、対応するもなにもありませんが、事実が確認(もちろん本人確認も含む)できなければ、対応は絶対にしないことを執務方針としています。

冒頭に戻りますが、時折「登記名義だけ替えてほしい」という事案について、時代を遡って、他の同業者に依頼されたらどうですか?もしかしたら対応してくださるかもしれませんよと言って、依頼に対し辞退するつもりです。

登記の原因の事実を確認証明する必要があります

現行の不動産登記制度下では、登記の原因の事実を証明する必要があります。先の改正で、この登記原因証明情報は2つの例外を除いて、その証明した書面を添付する必要があります。この登記原因を証明する書面は、事実があったことを当事者が法務局に対して証明する性格を持っています。この書面の義務づけにより、より実体に則して登記が実行されることが担保されて、不実の登記が完全になくなったわけではありませんが、だいぶ減ったのではないかと考えられます。なお、登記原因証明情報の添付が不要である2つの事案は、「所有権保存登記」、「民事保全法に基づく処分禁止の仮処分の登記に遅れる登記の抹消登記」であることを付言しておきます。

次回は、権利証がないときの対応について、記したいと思います。

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名義を変える!?!

こんにちは、今回は、「登記名義を変える。」ことと、相談される前の留意事項について、記します。

不動産取引関係者は、「移転」「設定」「抹消」「名変」「住所変更」と具体的な言葉を用いることに対し、一般の方は、「名義を変える」という言葉を多用します。

そもそも「名義を変える。」とは

広義に考えれば、おっしゃっていることは、間違いではないのですが、所有者の名前が変わることも「名義が変わった」と捉えることもできますし、所有者が変わった場合でも「名義が変わった」と捉えることができ、判然としないため、単に「名義を変える」という文言は、使いません。

それから名義を変える変えると言っても、原因によって適応する登録免許税額が変わり費用も変わります。

登記相談対応で苦慮する事案

「名義を変える、名義を変える。」と言って、相談に時折来所される方がいらっしゃいますが、この手の相談の切り口では、具体性に欠け、一般論について話をするだけで終了することが多いものです。

名義を変えると言っても、所有者が替わったから名義を変えたいという相談のようですが、替わった原因が判然としないどころか、まだ決めかねているという事案もあります。

有償譲渡である「売買」なのか無償譲渡である「贈与」なのか、相談を受けていると、そのことでさえもはっきり答えられない方が時折いらっしゃいます。そうするともはや費用報酬について、具体的にお話しすることはできない事案となります。

せめて「(登記)名義を「売買(または贈与)」によって、何某に譲りたいのだが」と決めていただいた上で、相談されることをオススメします。

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登記申請は、年内までに

こんにちは、「登記申請は、年内までに。」とタイトルをつけましたが、不動産登記では、特に大事なことです。

なぜなら、固定資産税・都市計画税の納税義務者について、1月1日の所有権登記名義人を名宛人とするためです。

相続手続そのものは、終了しているけど、不動産の登記だけはしていない場合は、特に要注意です。

再来年ではなく来年4月から留意が必要

やや早いかもしれませんが、再来年(2024年)4月に、相続登記も義務化されます。した。今年2024(令和6)年4月1日よりも前に開始している相続についても、登記申請は義務化され、施行から3年間放置すると、過料の制裁を受ける事案となってしまうため、なおのこと、留意が必要になりました。

受遺・協議により取得しても放置したら、対抗できない

また決まったこととはいえ、登記申請手続をされていない方は、法定相続分よりも超えた部分の権利の取得分は、その増加した相続分について譲渡され登記されてしまうと、第三者に対応できないこととなります。このことも、民法の改正があり、来年(2023年)4月1日より、法令が施行されるため、遺言により、貰い受けた(受贈)、遺産分割により取得したと、相続人間では、権利関係を決めていても、対外的には、通用しない場合もあり得ます。

ぜひお問い合わせを

先に記したとおり、特に不動産の登記の申請は、早めになさった方が良いことは、間違いありません。

おそらく、すぐに登記の申請をなさらなかったことに、いくつかの理由が考えられますが、費用はどれくらいかかるのだろうか?という疑問をお持ちになっているのかもしれません。

概算で

画一的に、いくらとは、申し上げられませんが、白井市冨士地区で、現役時代はお勤めなさっておられた方が亡くなられ、相続財産は自宅の不動産および預貯金のみ、相続人は、生存配偶者および預かり知っている子でかつ相談前の段階で口約束では、合意が調っているのであれば、総額20万円は超えないと想定されます。

もっとも遺産となる不動産が幾つもある、相続人について、相談者が認識していたとは違った与り知らない方が存在する、そもそも相続人間で、合意形成ができない。そうなると、上記の想定額を上回る可能性は大きいと言えますし、登記申請手続のみならず、家庭裁判所に対する手続が必要になることも想定されます。

まずは、電話で、相談の予約をしていただいて、面談日に、持参された資料を拝見しながら、費用見積もり、手続の方針について、お話できればと思っています。

佃大橋と星空

相続手続の概要は、当事務所公式Webページでも公開しています。ぜひ、ご覧ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
事務所: 〒270-1432 千葉県白井市冨士185番地の21

※2022年12月14日に投稿したものを、校正し、再掲しました。

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消極遺産と悪魔の証明

こんにちは、先日、同業者と話し合ったことですが、相続財産の調査について、理論的にもっともなことをおっしゃっていることはあるけども、実務上は、かなり難しいと意見交換をしました。

遺産には2種類ある

ところで被相続人が遺した遺産ですが、主に2種類に分けられます。一つは、不動産、預貯金債権、上場企業の株式等の積極遺産があります。昨今では、インターネットで手続きが完結してしまう傾向が強くあり、デジタル遺品としての用語が用いられているようで、そのものについては、見つかりづらいことも考えられますが、相手方と思われる事業者にどうにか連絡をして、探索することができないことはないと、考えらえれます。

極めて見つけづらい遺産

それに対して、被相続人が生前負っていた借金の返済や誰から保証人になっていた場合などの消極遺産ですが、その事実について、遺品にそれなりの証書があれば見つけることはできますが、基本的に契約書は、債権者が大事に所持するものであり、ご家族に知られたくないという心理が働いて生前に廃棄しているとなおのこと、遺りにくいものです。

過去に問い合わせがあった事案ですが、被相続人が生前、割賦払いで購入した商品代金の支払いに関する信販会社の通知明細が遺品にあり、相続放棄の申述で対応したことがありました。また電話による問い合わせのみであり、その後どうされたのかは、存じ上げないことですが、相続人御自身で不動産の相続登記の完了した数週間後、相続債権者から被相続人が負っていた負債に関する請求があったというものでしした。

財産がないことの証は?

積極遺産について、共同相続人間でよくある揉める事案で、時折見かけることですが、抽象的に、「(積極)遺産があるだろ?!」 と 他の共同相続人から執拗に迫られていると、苦言を呈する共同相続人もいらっしゃるようですが、積極遺産であれば、そう主張する共同相続人が財産調査すればよいと一義的には言えます。もっとも遺品の性格を有する動産については、他の共同相続人の占有下にある場合は、むやみに家屋に入って調査することは、刑法上の問題にも触れるため、本当に現存する確証があるのであれば相続回復請求権に基づいて手続きの上で回答をうることが必要でしょう。

一方、消極遺産について、ないことの証を得ることは、困難を極めます。もちろん信用情報を共有する金融機関や貸金業者であれば、その「信用情報を取り扱っている機関」に照会し、回答を得る手段が考えられます。もっとも本当に債務を負っていることが継続中であった場合、当然照会があった旨は金融機関、貸金業者に知れることになるだろうと考えた方が良いと思います。いわば信用情報とは、誰のための情報なのかを想像すれば、その活用の仕方がわかると思います。話を元に戻し、信用情報を取り扱っている機関から、被相続人の存在はなかったことが明らかになったとしても、関連した金融機関や貸金業者には債務がなかったことが判っただけで、金員を貸し付けた個人である債権者や主たる債務者が問題なく弁済し続けているなど現時点では問題が顕在化していない保証人となっていた場合、証書が手元になければ、もはや請求がない限り、相続人にとって与り知らない事実と言えるでしょう。

無いことの証明

ある物事について「ある」という事実を証明することいわゆる立証は、民事訴訟でも問題になりますが、「『ない』ことの証明」は、いわゆる「悪魔の証明」と言われ、どこまで調べても、「全く『ない』」という証明はできないと言わざるを得ません。この世の存在する全ての自然人・法人が被相続人に対して債権を持っていないことの証明は、もはや不可能と言わざるを得ません。

相続手続は、共同相続人の置かれているこれまでの境遇によって対処が違う

こうしてみていると、遺産の有無について、実のところ調査は難しいものです。

では、少し見方を変えて、共同相続人にとって相続について、どう接すれば良いのか、を考えてみたいと思います。

被相続人と同居していた共同相続人の場合

同居していた共同相続人、特に被相続人が所有していた居住用財産で同居していた共同相続人の場合、転居し独立して過ごせるほどの共同相続人の固有財産を所持していれば別ですが、基本的にこれからも住み続けることを前提で、相続手続を考える必要があります。

被相続人と疎遠だった共同相続人の場合

一方、被相続人の素姓がよく判らない疎遠だった共同相続人の場合、被相続人が遺した遺産について、よほど正確な情報が得られていない限り、もしも相続があったことを知ってから3ヶ月間であれば、裁判上の相続放棄の申述をすることを考えた方がよいと思われます。理由は先にも記したとおり、不動産・預貯金債権・上場企業株式等は、なんとか、判明することができると思われますが、消極遺産は、全部を把握することは、同居していた共同相続人でも困難であり、まして疎遠だった場合、先に記した信用情報機関に問い合わせることができますが、それ以上の調査は困難であると言えるからです。

積極遺産ばかりに意識が行きがち

こうしてみていると、とかく積極遺産について、私にも何かもらえるものがあるのではないか?と意識が行きがちですが、消極遺産の存在についても意識をしていただきたいと思います。その上で、相続について承認するのか、放棄するのかは、熟慮期間があります。相続があったことを知ってから3ヶ月内に、家庭裁判所に対して相続の放棄の申述をすれば、積極財産については相続もできませんが、与り知らぬ債務を負うこともない、滞納している税金の徴収や請求も受ける必要もないことも視野に入れてほしいものです。

相続手続の相談を承ります

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