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数次相続により単有となった事案

こんにちは

事務所そのものは、年末年始(2025年1月5日まで)は、新規の業務の受付をお休みをいただいておりますが、業務そのものは、継続しています。

ふと、人生の先輩から、不動産登記の申請方法について、問い合わせがあり、調べたこともあるので、この記事に認めることとしました。

内容は、数字相続が開始し、最終的に不動産の所有権は、単有に帰属したというものでした。一次二次相続の段階で、遺産の分割協議をした事実はなく、相続の都度、その相続不動産の所有権の帰属を決める前に、次の相続が開始してしまい、最終的に、唯一の相続人が所有権を取得したというものです。

各次の相続に対する遺産分割協議の有無の事実

数次相続の事案でも、各次における遺産分割協議があった事実があれば、遺産の分割協議に基づいた登記申請をすることができます。

例えば、1次相続の段階で、今日の唯一の相続人が協議により取得した事実があれば、1次相続で、被相続人名義から唯一の相続人が所有権を取得することとなります。当時の遺産分割協議書および印鑑証明書が現存すればそれらの書面を登記申請で、利用することができます。ただ遺産の分割について協議をするのか、または他の共同相続人から相続分を譲渡により取得するのか、その行為は要式行為というものはなく、その方法は、柔軟に解釈されています。もっとも登記申請の段階では、書面によって証明されなければなりませんし、結果的に、権利を手放される共同相続人の意思表示を担保するため、いわゆる実印で押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。

消極と解された事案

私が、開業登録した当時は、問題はないという認識でいた手法でしたが、今日においては、消極と解されている事案があります。

いわゆる一人っ子における父母の一方(一次被相続人)につき相続が開始し、所有権の帰属を決める前に、父母の他方についても相続が開始した事案です。この事案について、一人っ子は、1次相続した相続人の地位と2次相続により取得した権利に基づき1次相続した父母の他方の地位に基づいて、いわゆる一人遺産分割協議をした事実に基づき、不動産登記の申請をしたのですが、登記所は、その事実を消極と解し、不受理としました。確かに、法令上杓子定規に考えると問題ないように思われますが、この事案の判決(平成26年3月13日東京地裁)によると、一旦一次相続人の法定相続分に基づいて所有権が帰属し、2次相続した段階で、相続不動産は、単有に帰属する以上、協議する余地は存在しないと事実を認定せざるを得ず、消極と解されたようです。当時は、租税特別措置法第84条の2の3第1項の存在もせず、事実が存在していなかったことによって、登記申請件数を2件とせざるを得ず、登録免許税も2件併せると一件で登記申請できた場合と比較すると1.5倍に課税されるため、相続人間の事情で以って、登録免許税の課税について、不公平感が生じるように思えなくもないと感じます。

過去の事実を証明する

では、過去の事実を証明した書面に基づき、相続登記の申請をした場合は、受理されるのでしょうか。

特別に権利を既に受けている(特別受益な)のだから、相続不動産の権利には及ばない場合、その特別受益者自らが、その事実を証明し実印で押印し、印鑑証明書を添付した書面を併せて登記申請をした場合、受理されます。このことと遺産の分割協議はなされているが書面等の形式が調ってはいなかった場合であれば、その過去の事実を2次相続した相続人が証明し(実印で押印し、印鑑証明書を添付し)た書面を添付すれば、登記申請は受理されると解されています。

最終次よりも前に協議、相続分譲渡がなかった場合は?

では、遺産の分割協議に形式はないと記しましたが、事実そのものがなかった場合は、どうするのでしょうか。この事案の場合、法定相続分に基づき1次相続、2次相続を登記申請するほかありません。ただ先に記した平成26年、平成28年当時とは事情が違っており、平成30年に新設された租税特別措置法第84条の2の3の適用を受け、登録免許税を課税総額は、1件の相続登記申請と同額となりました。この租税特別措置法第84条の2の3の適用ですが、共同相続人の一部に申請時に既に相続が開始していて、その死者名義として共同相続人として持分を取得する相続登記については、適用を受けることができ、存命する相続人が取得する持分に対し、課税納税の必要がありますが、死者名義で受ける持分の範囲で、免税の対象となります。

免税には、(一応)期限がある

この租税特別措置法第84条の2の3は、令和7年3月31日まで、となっています(令和6年12月28日現在)。もっとも、所有者不在土地の解消に目処がつくか、もしくは相続登記申請の義務化の周知が徹底され、数字相続による登記申請事案が減少し、この免税制度についても目的を一定程度果たしたことが言えるまで、延長し、継続されるものと思われます。

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