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業務委託とフリーランス

こんばんは

今回は 業務委託とフリーランスについて 記したいと思います
 結論は 同じような業務形態かなと思います 雇用という関係が存在していたら それはフリーランスではないし 業務を委託されてご自身の責任のもとで業務を遂行し仕事を完成させて報酬を得るという請負に近いこともあれば 結果が希望に沿うような形にならないかもしれないが事務処理をしたことによる報酬が発生すれば委任に近いこともあります

定義からすると この「業務委託」契約というものは なかなか請負なのか委任なのか 個々の事案を見て判断することとなります

フリーランスは自由業なので 業務の目的が定まっていれば そのプロセス(手段)は 相手方の指揮監督下にはおかれずに 一定以上の結果を求められることとなります 請負に準ずる業務委託内容であればその一定以上の結果が出せなければ 最悪な場合報酬は仕事が完成していないのだから支払われないこととなります 一方 委任契約はどうなのか 例えば 司法書士が登記の申請について委任による代理として振る舞うことが多いのですが この委任については その事務に対する奏功はなかったとしても 報酬を支払う義務が発生します もっとも委任による代理ということであれば 代理に関する規定と民法の委任そして 当事者間でどう取り決めたのか その取り決めた事項について 信義則、強行規定、公序良俗に関して問題がなかったのか等が 主な争点をなるだろうと思われます

身近な法律問題についての相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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倒産手続き

こんにちは

前回(しばらく間が空いてしまいましたが)は、会社・法人の倒産手続きの前に考えていただきたいことを記しました 今回はその倒産手続きである会社の解散と清算の手続きについて記してみたいと思います

解散・清算の手続きを実行していくわけですが 文字通り手続きが二段階あります まさに「解散」「清算」ということです

解散の詳細な手続きは別の機会に記したいと思いますが 登記のことだけ記すと 解散時にも登記申請が必要です

ところで解散・清算手続きについて どれくらい時間がかかるのか 気になるところです
この期間ですが 実務上は概ね3箇月強はかかると考えて良いと思います
 法令では会社法499条に解散に関する公告の規定が置かれていて、その期間は2箇月を下ることができない とあるわけですが、実務上は、官報公告の掲載のための準備・受付そして公告という運びになるのですが、受け付けられたら即時公告ということではなく、数週間かかります

一方で 現務の結了のために清算手続きを執行していかなければなりませんが 債権の回収 債務の履行 資産の換価などを行い 負債を無くしていきます
実務上 遭遇したことですが 医療関係の事業については医療介護保険を請求してから支払われるまでに数ヶ月を要することもあるようです

そうして 清算手続きを執行し 終盤に差し掛かると 残余財産の分配について どうすべきか を考えなくてはなりません もっとも 難しいことではなく 各株式の性格に応じて 分配するように計画します

残余財産の分配方法がきまったら その旨を「株主総会」の議事に諮ります そこで少々されて 清算手続きが結了し 登記申請手続きとなります

清算の結了の登記が完了し 税務署にその旨が記載された登記事項証明書を提出して 完了となります もちろんここでは触れませんでしたが 社会保障の諸手続きも並行して進めていきます

以上で 結果的に長文となってしまいましたが 会社の解散・清算手続きの流れでした

ここでは個別具体的なことを触れるのは難しく 実際には、もっと時間と労力を要したり すでにほぼ休眠状態であるので 法令上の期間と行政上の諸手続きのみで完了してしまうこともあると思います もしお考えになっていらっしゃるのであれば れんらくいただければ 対応致します

会社の解散・清算手続きのサポートを致します
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ガクアジサイ
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会社の倒産を考える前に

こんにちは
表題で ずいぶんセンセーショナルな表現を用いましたが もちろん 関係業者や顧客に対して迷惑をかける 言わば害意を持って会社を倒産させる「計画倒産」のことではなく 円満に会社を解散及び清算することを指しています

もうそろそろ事業をやめて 現役を引退したいというお話をよく聞きます
特に 事業を継いでもらう方がいらっしゃらない経営者さまから よく聞きます

ただそれにしても いきなりパタッと会社を閉めることは 法律上もできないことですし これまでお付き合いいただいた顧客様や業者 そして従業員に対して大きな影響が生じます

会社を解散・清算することを考える前に、事業の譲渡はできないか? このことを考える必要はあります
譲渡先は、何も同業他社、競合相手、関連業者に限らず、もしかしたら一番近くにいる従業員のみなさんということも考えられるかもしれません
従業員の皆さんができるのであれば これまでの顧客様や関連業者に対して申し送りをして ここ近年は 実務上は従業員が率先して業務をこなしてきたから これからも変わらないことを理解してもらえば済んでしまうことだってありえます

上記の事業を考えた上で それでも会社の解散・清算について 第一に考えなければならないことは 会社の清算が完了する時点で会計計算上 負債をゼロとすることができるかどうか? このことが非常に大きなポイントとなります

もしかしたら経営者ご自身が会社に貸し付けている金員の存在があるかもしれません そうであった場合 会社にとって債務免除を受けることを考えなければなりませんが 税務の考え方からは 「債務免除を受ける以上 経済的利益(本来ならが借り入れた金員は返済しなくてはならない債務を免除を受けたことによる いわば消極的利益)を受けている以上 課税の対象となりうる場合もあり得ます

もし 会計計算の見積上 負債が残ってしまう場合は 先に記したとおりの個人が免責的債務引受をするのか 債権者から免除を受けられるかを考えなければなりません
もちろん 会社にとって 債務免除は経済的利益を受けるため、法人税の課税の問題もありえる話なので 思っていた以上に 会計系の先生に定量的にどれくらいの税金のの納税の必要があるのかも試算する必要があります

上記のとおり 実際に解散及び清算手続前に検証しておく必要があります。もし現状では、負債がゼロにならないのであれば、解・清算という手法ではなく 裁判所を力を借りた手続きを考えなくてはならないかもしれません そのことはまた別の機会に記したいと思います

ここでは個別具体的なことを触れるのは難しく 実際には もっと時間と労力を要したり すでにほぼ休眠状態であるので 法令上の期間と行政上の諸手続きのみで完了してしまうこともあると思います もしお考えになっていらっしゃるのであれば 連絡いただければ 対応致します

会社・法人の解散・清算手続きに関する相談を承ります
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横浜みなとみらい 日本丸です かっこいいですよね! 🙂
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会社役員等の兼職・兼業の可否

こんにちは
会社の取締役、監査役等の役員についてですが 実は誰でもなれるわけではありません

取締役・監査役の欠格事由というのもありますが 今回は少し目線を広げてみたいとおもいます

まず会社内部の役員について、兼職をしても良いのか?ということですが 監査役は取締役をしてはならない(また結果的に取締役は監査役をしてはならない)と会社法上の兼職禁止規定が存在します。

それから競業避止義務というものも存在します 取締役が 他の会社の取締役となることは その会社が競業であった場合 当該会社にしてみれば 営利を目的としている以上 好ましくないと言わざるを得ません ゆえに原則 競業する行為を避止する義務を負います

さて では公務員が 会社役員となっても良いのでしょうか という問題もあります 兼業ができるのか? ということですね

国家公務員については国家公務員法103条に 地方公務員については地方公務員法第38条にあります

国家公務員法
(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
2  前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。
3  営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事院は、人事院規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。
4  人事院は、人事院規則の定めるところにより、前項の報告に基き、企業に対する関係の全部又は一部の存続が、その職員の職務遂行上適当でないと認めるときは、その旨を当該職員に通知することができる。
5  前項の通知を受けた職員は、その通知の内容について不服があるときは、その通知を受領した日の翌日から起算して三月以内に、人事院に審査請求をすることができる。
6  第九十条第三項並びに第九十一条第二項及び第三項の規定は前項の審査請求のあつた場合について、第九十二条の二の規定は第四項の通知の取消しの訴えについて、それぞれ準用する。
7  第五項の審査請求をしなかつた職員及び人事院が同項の審査請求について調査した結果、通知の内容が正当であると裁決された職員は、人事院規則の定めるところにより、人事院規則の定める期間内に、その企業に対する関係の全部若しくは一部を絶つか、又はその官職を退かなければならない。

(他の事業又は事務の関与制限)
第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000120#708

(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000261#369

とそれぞれ規定されています
基本的には 認められてはいないようです もっとも任命権者の許可があれば 兼業が許されない訳ではないこととなります

随分前の話ですが ひょんなことから相談を受けました
 経営者の子を(ご本人が就任を承諾したかは定かではありませんが)役員にしているが どうしたら良いのか? と もう少し話を聞いてみると どうも公務員として就職する前に (きっと)本人には知らせることをしないで 役員として登記してしまったようでした
 本人の意思がないのにも関わらず 登記がされてしまっていることでさえ かなりの問題があり いわゆる不実の登記ということにもなりかねません
 取締役は 就任・辞任の意思も含め 基本的に委任による代理は 制度上馴染まないものですし 勝手な行動を取るのは如何なものかと思います
おそらくですが 無報酬ならば 事実上問題は顕在化しないと考えられますが 国家公務員法および地方公務員法の規定にもあるように 原則 兼職は認められてはいないので 注意が必要です

それでは 公務員でなければ 兼職はできるのか? と素朴な疑問を抱くかもしれませんが 法律上は 先にも記したとおり 会社法および民法の委任に関する規定の適用を受け 就任すること自体について妨げる規定は存在していません しかしながら競業避止義務を遵守していないことについての責任が過重されることとなり 双方の会社に対して責任を負うこととなります
 もっとも 双方の会社自身は その事実が発覚した時点で 就任した取締役の個性に注目し それでも会社にとって利益につながるのであれば 取締役会もしくは株主総会の承認を取り付けそのまま在任してもらうことも考えても良いかもしれませんが よほどのことがない限り解任もしくは辞任を勧告するなど 会社の真の利益を考えた上で 何らかの対処が必要だと思われます

もう一つの事案として 会社役員としてではなく 従業員として 兼職を当然にしても良いのでしょうか?
答えは 勤め先との雇用契約によります 兼職を禁止し職務を全うして欲しいという事情もあれば 同業他社への従業員としての副業をすることは認められないが 他業種の副業であれば認められることもありうると思います では法律ではどうなっているのかというと 特に禁止する規定は 先に記したことの外では 表立って禁止する規定は存在しません
では 民事的な法務に立ち返ってみると 実のところ 契約自由の原則という考え方が存在します 当事者同士で決められるのです また 契約によって発生する債権については 当事者以外の第三者について 原則 拘束はしません
故に よく引き合いに出されるのが 講師業を営まれる方が A会場で行う講演会の仕事をB会場で行う講演会の仕事について 双方 同じ日時で開催することとなった場合 講師は一人しかいないため どちらかの会場でしか 開催することができないこととなりますが 双方の債権は成立している以上 他方を無効にすることもできません 物権のように債権は物権のように排他性は基本的には存在しません
さて講演ができなかった仕事については講演する義務の債務が損害賠償債務として変わるということとなります そうすると いくら契約自由の原則があると言っても 本旨に従った債務を履行することができない事態に陥ることは避けなければならないと考えます

こうして 色々見てきましたが つい本人のためを思って 役員にしてしまった もしくは 本当にその効果によって利点があるのか 定かではありませんが 税金対策と思って 役員にしてしまった ということも あるでしょうが 不実の登記だけは してはいけない 場合によっては 公正証書原本不実記載の罪に問われることもあります
どうか ご留意を

会社・法人の役員変更の登記相談を承ります
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ふと夜空を見上げた時に 月が綺麗だったので 撮ってみました 地球照も手伝っています
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更新か再契約か(賃貸借契約のこと 続き)

こんばんは

2月に入りました
いかがお過ごしでしょうか
この記事を記している2月4日は立春ということで 日中は比較的寒さも和らぎ 過ごしやすく感じました

さて 先日の投稿の続きを記したいと思います

賃貸借契約の契約期間満了を迎える前に その契約の更新とするのか終了および再契約とするのか 気を付けなければならないことがあると記しました

ズバリそれは「他の権利との対抗関係」のことです

借地権を考えると 借地借家法の規定は 借地上の建物を保護することが趣旨であるので 担保権よりも自らの建物に関する登記が先になされていれば 土地についての地上権または賃借権の登記がされていなくても 建物所有者は、競売によって買い受けた者に対して 権原に基づいて 土地を使用収益できる地上権または賃借権を持っていることを主張することができます

そうすると 既存の賃貸借契約を継続させた方が 借主の保護という観点からは問題ないと考えます もっとも 貸主側にとってみると 土地の活用についての柔軟性は失われ 思い直したとしても すぐには 自身の直接占有に戻すには 難しい場合が少なくありません

やや論点がそれてしまいましたが この賃借権の対抗要件ですが、 更新ならば存続します ところが契約を終了して 直ぐ様 再契約をとした場合 契約が終了している以上 既存の契約に基づく 対抗要件は消滅してしまいます そして再契約時に新たな対抗要件が付与されるわけですが 事実上 既存の担保権等の順位が繰り上がってしまうことと同じこととなるわけです

もしも 賃借権が第一順位であって 担保権よりも順位が優先するならば 普通賃借権であれば 賃借人は 更新による継続を考えた方が良いという結果になります

Maco’s Foto Moon