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会社役員等の兼職・兼業の可否

こんにちは会社の取締役、監査役等の役員についてですが 実は誰でもなれるわけではありません 取締役・監査役の欠格事由というのもありますが 今回は少し目線を広げてみたいとおもいます まず会社内部の役員について、兼職をしても良 […]

こんにちは
会社の取締役、監査役等の役員についてですが 実は誰でもなれるわけではありません

取締役・監査役の欠格事由というのもありますが 今回は少し目線を広げてみたいとおもいます

まず会社内部の役員について、兼職をしても良いのか?ということですが 監査役は取締役をしてはならない(また結果的に取締役は監査役をしてはならない)と会社法上の兼職禁止規定が存在します。

それから競業避止義務というものも存在します 取締役が 他の会社の取締役となることは その会社が競業であった場合 当該会社にしてみれば 営利を目的としている以上 好ましくないと言わざるを得ません ゆえに原則 競業する行為を避止する義務を負います

さて では公務員が 会社役員となっても良いのでしょうか という問題もあります 兼業ができるのか? ということですね

国家公務員については国家公務員法103条に 地方公務員については地方公務員法第38条にあります

国家公務員法
(私企業からの隔離)
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
2  前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。
3  営利企業について、株式所有の関係その他の関係により、当該企業の経営に参加し得る地位にある職員に対し、人事院は、人事院規則の定めるところにより、株式所有の関係その他の関係について報告を徴することができる。
4  人事院は、人事院規則の定めるところにより、前項の報告に基き、企業に対する関係の全部又は一部の存続が、その職員の職務遂行上適当でないと認めるときは、その旨を当該職員に通知することができる。
5  前項の通知を受けた職員は、その通知の内容について不服があるときは、その通知を受領した日の翌日から起算して三月以内に、人事院に審査請求をすることができる。
6  第九十条第三項並びに第九十一条第二項及び第三項の規定は前項の審査請求のあつた場合について、第九十二条の二の規定は第四項の通知の取消しの訴えについて、それぞれ準用する。
7  第五項の審査請求をしなかつた職員及び人事院が同項の審査請求について調査した結果、通知の内容が正当であると裁決された職員は、人事院規則の定めるところにより、人事院規則の定める期間内に、その企業に対する関係の全部若しくは一部を絶つか、又はその官職を退かなければならない。

(他の事業又は事務の関与制限)
第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000120#708

(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000261#369

とそれぞれ規定されています
基本的には 認められてはいないようです もっとも任命権者の許可があれば 兼業が許されない訳ではないこととなります

随分前の話ですが ひょんなことから相談を受けました
 経営者の子を(ご本人が就任を承諾したかは定かではありませんが)役員にしているが どうしたら良いのか? と もう少し話を聞いてみると どうも公務員として就職する前に (きっと)本人には知らせることをしないで 役員として登記してしまったようでした
 本人の意思がないのにも関わらず 登記がされてしまっていることでさえ かなりの問題があり いわゆる不実の登記ということにもなりかねません
 取締役は 就任・辞任の意思も含め 基本的に委任による代理は 制度上馴染まないものですし 勝手な行動を取るのは如何なものかと思います
おそらくですが 無報酬ならば 事実上問題は顕在化しないと考えられますが 国家公務員法および地方公務員法の規定にもあるように 原則 兼職は認められてはいないので 注意が必要です

それでは 公務員でなければ 兼職はできるのか? と素朴な疑問を抱くかもしれませんが 法律上は 先にも記したとおり 会社法および民法の委任に関する規定の適用を受け 就任すること自体について妨げる規定は存在していません しかしながら競業避止義務を遵守していないことについての責任が過重されることとなり 双方の会社に対して責任を負うこととなります
 もっとも 双方の会社自身は その事実が発覚した時点で 就任した取締役の個性に注目し それでも会社にとって利益につながるのであれば 取締役会もしくは株主総会の承認を取り付けそのまま在任してもらうことも考えても良いかもしれませんが よほどのことがない限り解任もしくは辞任を勧告するなど 会社の真の利益を考えた上で 何らかの対処が必要だと思われます

もう一つの事案として 会社役員としてではなく 従業員として 兼職を当然にしても良いのでしょうか?
答えは 勤め先との雇用契約によります 兼職を禁止し職務を全うして欲しいという事情もあれば 同業他社への従業員としての副業をすることは認められないが 他業種の副業であれば認められることもありうると思います では法律ではどうなっているのかというと 特に禁止する規定は 先に記したことの外では 表立って禁止する規定は存在しません
では 民事的な法務に立ち返ってみると 実のところ 契約自由の原則という考え方が存在します 当事者同士で決められるのです また 契約によって発生する債権については 当事者以外の第三者について 原則 拘束はしません
故に よく引き合いに出されるのが 講師業を営まれる方が A会場で行う講演会の仕事をB会場で行う講演会の仕事について 双方 同じ日時で開催することとなった場合 講師は一人しかいないため どちらかの会場でしか 開催することができないこととなりますが 双方の債権は成立している以上 他方を無効にすることもできません 物権のように債権は物権のように排他性は基本的には存在しません
さて講演ができなかった仕事については講演する義務の債務が損害賠償債務として変わるということとなります そうすると いくら契約自由の原則があると言っても 本旨に従った債務を履行することができない事態に陥ることは避けなければならないと考えます

こうして 色々見てきましたが つい本人のためを思って 役員にしてしまった もしくは 本当にその効果によって利点があるのか 定かではありませんが 税金対策と思って 役員にしてしまった ということも あるでしょうが 不実の登記だけは してはいけない 場合によっては 公正証書原本不実記載の罪に問われることもあります
どうか ご留意を

会社・法人の役員変更の登記相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

ふと夜空を見上げた時に 月が綺麗だったので 撮ってみました 地球照も手伝っています