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会社法施行からまだ10年程、12年経過ではないのになぜ 休眠会社の整理

こんにちは

先日のブログで 2015年の休眠会社の職権解散登記のことを投稿しましたが 会社法のことを少し ご存知の方であれば 「会社法が施行されてから10年は、経過したが まだ12年経ってはいないじゃないか!?!」と なんだか腑に落ちないような気分になっておられる方もいるのではないかと思います。

今回は、会社法施行から10年程であるのに、なぜ休眠会社の整理の対象となる会社が出現しているのか、紐解いてみたいと思います

前置きとして、会社法施行後に成立した会社は、役員の任期が10年の様に、定款に設定すれば、基本的には、休眠会社の整理の対象にはなりません。休眠会社の整理の対象となる会社は、会社法の施行前から存在していた既存の会社であります。

会社法の施行前から存続する会社は、会社法施行後に定款を変更することで、取締役・監査役の任期を約10年にまで伸長することができると説明されますが、これまで在任していた期間も任期に含まれます。よって平成18年5月1日の会社法施行日に合わせて、定款変更をして、任期を伸長したとしても、この定款変更時から10年はありません。既に経過した期間も含めて約10年、ということになります。

もう少し具体的に記すと、会社法施行前の当時の商法の規定によると、取締役の任期は約2年、監査役の任期は4年となっていました。例えば、平成15年5月30日に就任した監査役は、その後平成18年5月1日の会社法の施行で、任期を10年とした場合、その任期の満了は、平成25年3月の決算期の定時株主総会の終結の時(概ね平成25年5月末辺り)となり、会社法施行日より10年後の平成28年5月1日よりも前に任期が満了し、平成25年5月末の役員変更の登記がされず、今日まで放置しているとすると、最後の登記がされてから12年を経過していることとなります。

一方、休眠会社の整理の対象となる株式会社は、最後の登記がされてから12年を経過していることが要件にありますが、会社法施行の後12年経過ということではないのです。

よって、会社法施行から10年しか経っていないのに、休眠会社の対象となりうる場合があることがこれで大和から頂けたと思います。

ついでながら、その休眠しているかをたずねることを管轄法務局は義務付けられているのですが、その通知は、あくまで登記上の会社の本店に対してだけ送付することとなっているため、本店移転の旨の登記をしていなければ、当然、その通知は現在の本店には届かない、ということとなり、場合によっては、当事者の気がつかない間に、解散登記がされてしまっているということに繋がりかねません。さらなる注意が必要です。なお、良くも悪くも、行政の縦割りという言葉がありますが、幾ら税務上の確定申告を適切にしていても、登記は、法務省の外局の法務局が掌っています。税務署から法務局には、幾ら税務署が会社の役員が変更されている、本店が変わっているということを知っていても、法務局に対し、登記を変更するよう通知する義務もなければ、法令等が存在しないため、そのまま放置されるということとなります。

やはり、日頃から、コンプライアンス・法令を遵守することが、大事ですね。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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2015年の休眠会社の職権解散登記のこと

こんにちは

さて今回は 休眠会社のことを記したいと思います

電子政府が管理している登記統計によると 全国で、94,961社が休眠会社により職権による解散登記がされました。職権解散登記が一番多かった都道府県は、東京都の30,931社、千葉県はというと、3,788社が2015年に登記がなされました

多いか少ないかはともかくとして 設立のときには 憶いもよらない形で登記がなされたと言っても 過言ではありませんね

主な原因は、定かではありません ただ 考えられることとしては 以下のとおりです

  • 設立して直ぐに債務超過となり代表者がいなくなってしまい 結果的に残念なことになってしまったため 放置されてしまった
  • 役員変更登記申請をしなければならないのにも関わらず忘れてしまった
  • 実質役員は変わらないから ということで変更登記の申請をせずに そのままにしてしまった

株式会社だけではなく 一般社団法人・一般財団法人についても同様のことが言えます
最後の登記から 株式会社の場合は12年 法人の場合は5年を経過していると 法務局から事業を継続しているのかどうかのお尋ねの通知がやってきます その通知を無視したり そもそも届かないことがあった場合 職権解散の登記がされてしまいます

株式会社、一般社団法人及び一般財団法人について 役員の任期が存在する以上 役員が実質変わらない場合でも 役員変更登記は必要です

休眠会社の解散登記がされてしまった後のことについて 相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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何かをしてもらうことによって、報酬が発生する仕事について(その2)

こんにちは

先日 ちょっとした 質問を受けました

報酬を受領する方から見た場合の「何かをすることによって、報酬を受ける仕事」についてです

以前の投稿(何かをしてもらうことによって、報酬が発生する仕事について)にも記しましたが やや補足します。

雇用契約 請負契約 委任契約 寄託契約 が民法上の典型的な契約であります

また昨今においては 業務委託契約 ということばも よく使われていますが この民法の典型契約の中のどれに当たるのかは 厳密に言うと 契約内容本体を見てみないことには 明らかにはならないのです

業務委託契約と謳っていても 相手方の指揮監督命令下にあり、仕事に従事する時間が拘束されていて ご自身の裁量の余地がない ということであれば 法律上雇用契約 と事実認定されることもありますし セキュリーティー上 その場所にいられる時間は決まっている また仕上げなければならない日時は決まっているけど その方法や手段までは決められておらず 裁量によって仕事をすることができるならば 請負契約であると事実認定されるでしょう また仕事内容によっては その仕事によって効を奏するかどうかが 厳密には未確定な事務処理も存在します その事務処理をする契約を「委任契約」ということになります

補足ながら 民法には 人様のものを預かる内容の契約を特に「寄託」というカテゴリーを設けています

別の投稿でも記していることですが 巷に出回っているひな形集は 記した人の立場によって、内容に偏りがあります。もちろん著者の性格も反映されているのですが、もし利用する際は、ご自身の立場とひな形の著者がどのような立場で記したものなのかを意識して、選ぶべきと考えます

当事務所では どちらの立場の方からのご依頼についても対応しております
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

 

事務所の執務室からの風景

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個人事業主と会社・法人の違い

こんにちは

今回は 個人事業主と会社・法人の違いについて 記してみたいと思います

正直なところ 各士業の先生にも 得意分野があり

法律を得意とする 弁護士・司法書士の先生方は 個人に取り巻く法律と会社・法人に取り巻く法律 の違いから 説明がなされることが多いです

一方 税理士・公認会計士(昔は計理士という言葉があったようです)の会計系の先生方は 実体法上のことよりも税務のことに関心が行く様ですし またクライアントも そのことに関心を強く寄せている傾向がある様です

当事務所は司法書士事務所ですので やはり法律という観点から 見ていきたいと思います

個人では資金を集めることには 限界がありますし 容易ではないと言われています
そこで 株式を発行することで資金を調達し より大きい事業を手がけることができる
それから事業の業務執行を掌るキーマンが複数いらっしゃる場合 法律上の効果帰属はどのようになるのか 実は複雑化するため 会社・法人にすることで法律関係がより簡潔になるという利点もあります

ただ 大きな意味で事業に出資をしている投資家 会社の業務執行を掌る取締役や役員の関与が必要となります このことが個人事業主の場合は 一致しているのですが 会社・法人では 一応 法律上 分かれています

事業がある一定規模に留まるのであれば 個人事業でも問題はないと言えますし より大きな公共事業の入札に参加するために 財務強化の一環として 法人化することも方法として 考えることもできます

もっとも 安易に法人化して 税務と社会保障の取り組み方が 個人事業主とくらべると 大きく変更を強いられることがありますので 留意が必要です

以前にも 記しましたが 法人化して何をしたいのか そしてその負担は 如何程か よくよく お考えになった上で 実行されることをお勧めします

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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事務所より 会社・法人・企業法務

10年の取締役の任期 満了していませんか?

こんにちは

5月も後半になり そろそろ決算の整理も終わって 法人税の確定申告をしなくては… と気にかけていらっしゃることと思います

ところで 株式会社の取締役、監査役には 任期が存在します

会社法が平成18年5月1日の施行に合わせて、取締役、監査役の任期を10年に伸張されている株式会社様は 注意が必要です

実は2年程前から この役員変更の登記は問題視されていたのですが 10年となると 如何せん 当事者でさえも気がつかないこともあり そのまま役員変更登記を放置しているケースは多くあります

放置して2年経過すると 「休眠会社かどうかの確認のお尋ね」が 法務局より通知されます この通知を放置して更に2箇月経過すると 法務局で休眠会社として取扱い (事務処理の速度にもよりますが、順次)「職権による解散」登記がなされてしまいます

会社に関する登記の制度は、会社であることの証明する手段でもあり この証明力は 民間に限らず行政に対しても 効果が波及します
もし都道府県や市区町村で 行政上の許認可を受ける場合には 登記事項証明書の添付が求められます その際に 職権解散の登記がされていると 当該許認可の申請に対して却下される虞れがあります

ぜひともご留意 頂きたいと思います

役員変更登記申請について代理致します
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357