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会社・法人・企業法務

売り上げだけでは

 以前訪問先での事、売り上げについて高々に、発表していた幹部の方がおられた様ですが、姿が見えなくなったので、それとなく聞いたところ、退職されたとのことでした。たまたま席を通されて、待っていたときに、売り上げの報告の状況が印象的だったので、良く覚えていただけに残念と思っていたら、代表者から、「売り上げだけ上げてもね…」という発言がありました。
 よく聞くと、受注は取れたものの、その後の処理の仕方が悪く、支払条件が悪い事と費用がかさみ、利益が出ないプロジェクトだったそうです。
 経費を抑えることも大事です。またそれだけではなく、債権回収という観点でも、経営をする以上、注意しなければと感じました。

佐原のあやめです

上記ブログは、旧ブログ「時報」より、2022年5月31日に、本ブログに移植しました。

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会社・法人・企業法務 会社設立

定款は簡潔に

簡潔な方が良い

 何事に於いても、そうなのかもしれないのですが、簡潔(シンプル)な方が良いと思います。

会社の設立で定款の原案の作成を任せられる事がありますが、設立当初の発起人(成立後は株主となる方)が一人か若しくは複数か、発起人以外に株式を引き受ける方がいるのか、そして会社役員は取締役が一人だけなのか、複数なのか、他の役員(監査役、会計参与等)も必要なのかどうかによって、定款の記載事項は変わります。

使わない条項は、盛り込まない方が良い

 書面の原案を作成しても、活用しないのであれば、不要な事項であるので、私は盛り込まないこととしています。

 株主が増加したり、役員を増員させるのであれば、その前に定款の記載事項を見直し、そして現在施行されている法令に意識をして、変更すれば良いだけなのです。

定款とは

 定款は会社の根本規則であり、会社に取ってみれば、社内で作成する諸規則の根本となる規則と言えます。

 一度、定款を見直したい、将来に備えて、会社の内部統制について整理をしたいお客様に対して、当事務所は相談を受け付けています。

 ぜひ お電話を

冬の蔵王(山形)です

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年5月30日に、本ブログに移植しました。なお、タイトルを変更し、内容について、見出しを加え、本文を加筆修正しました。

回想および補足

会社設立における定款の起案時に意識していることを当時記しました。今でもこの姿勢に変わりはありません。

やはり、一人会社であるにも関わらず、もはや必要とは言えないような規定は、盛り込まない方が、実情にもあっていますし、複数人の株主が存在している会社であれば、力を発揮する条項でも、一人会社であるときは、株式の譲渡に関する規定を除き、どうしたものだろうと首を傾げたくなるようなことにつながりかねません。

もちろん、株主が複数になる、役員の員数が複数になることが、予定されていたら、定款の記載について積極的に考えなくてはいけないし、たとえ登記事項でなかったとしても、定款の条項を追加しなくてはいけないと考えます。

構成員が増える、役員が複数になることが、はっきりした段階で、しっかり検討する必要があることを申し添えます。

当事務所で対応している企業法務の概要は、事務所公式ホームページでも、紹介しています。なお会社設立等の企業法務の相談を随時承っております。

司法書士 大山 真 事務所
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業務執行と持主の切り分けの難しさ

 とある面談での事である。現在の代表取締役から相談を受けて、面談をすることになった。話を聞いたところによると、本人は業務執行からは引退したいそうだが、株主としての権利行使は継続したいということでした。
 「いざとなったら、株主総会を開いて、次期代表者を解任する事はできるのですよね?!」と質問されたので、「いえ、株主総会を会社(取締役)に開催する事を請求することができる事、(やや噛み砕いた表現です(また詳細は申し上げませんでした)が)株主総会の開催の準備をしていないければ、裁判所の許可を得て、株主総会を開催することができます。」と答えたところ、「そんなの建前でしょ」と発言がありました。
 今まで、会社法の周知徹底がなされていなかった、と言ってしまえば虚しさを覚えますが、業務執行と持ち主たる株主が別人である以上、厳格に手続を踏まなければ、会社の内部で紛争が生じる事は、避けられないことになります。
 事業承継を円滑にするにあたって、自身の会社という固定観念から解き放たなければならないのかもしれません。
 当事務所では事業承継について、お客様と一緒に考えて行きます。ぜひお電話を…

雪山からの眺めです

上記記事は、2022年5月25日、旧ブログ「時報」より、本ブログに移植しました。

回想

このときは、株主兼経営者からの質問でした。今後経営に関与せず、株式だけ持っていたいという要望であり、後任の経営者をどうするのかと問うたところ、今の生え抜きの従業員に取締役になってもらうということでした。面談時に、株主構成等をはきり仰らず、株主名簿または同族会社の判定書等の提示もなかったので、相談のみの対応となった事案でした。

株主総会の招集権限のこと

上記のように、会社法において、株主は、直接株主総会を開催する権限は持っておらず、一義的には取締役会または取締役の過半数の一致があって開催することができ、株主は、会社に総会を開催するよう請求するだけにとどまります。請求をしたのにも関わらず、会社が開催しないのであれば、株主は、裁判所より許可を得て株主総会を開催することができると会社法にはあります。

経営と持ち主の分離のこと

会社法によると

こうしてみると、経営者と持ち主の分離は、なかなか難しいと感じます。株主は、経営者を選ぶことはできますが、その選ぶための総会を一義的に自由に開催できないしくみとなっていて、いざとなったら解任すればよいとよくおっしゃることがありますが、原則その解任決議のための総会を思ったときに自由に開くことができないのです。

判例法より

もっとも例外というものは、確かに存在します。それでもよほどのことがない限り、法令上の手続きを無視するような、取り計らいはどうしたものかと思います。以下、参考までに最高裁の判例記(要旨)します。

  • 株主全員が出席した、招集通手続きに瑕疵がある株主総会の決議は、有効である旨。
  • 株主が一人しか存在しない株式会社において、株主総会の招集手続を欠いたとしても、総会は有効に成立する。

そうすると、会社法が予定している規模の株式会社は、株主が複数存在し、株主間である程度の緊張が存在することを想定して、規定が存在しているように思われます。

もっとも大事なこと

日本の株式会社の99パーセントは、中小企業であり、ほとんどが家族経営の会社法人です。そうすると、見方をかえると家族間の問題のように錯覚することもないわけではないかもしれませんが、よくみてみると会社経営の問題だとすれば、やはり会社法の適用により、手続きも厳格にせざるを得ないと言えます。もっとも上記の最高裁の判例にもあるとおり、会社の規模がとても小さく、社会に与える影響がほぼ皆無だったと言えるほどのもののような扱われた事案では多少の手続上の瑕疵があっても軽微であり、議題で扱われた決議の方が重要であったのであれば、上記判例は妥当なのだろう、と多少穿った見方ですが言えなくもないのだろうと感じます。

事業承継および会社法人等の企業法務について当事務所の取り組みの概要は、事務所公式Webページで、紹介しています。ぜひご覧ください。

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会社・法人・企業法務

コンプライアンスについて

コンプライアンス、コンプライアンス、CSRなどと、いろいろと横文字が飛び交う今日この頃ですが、これらの言葉をご存知でしょうか。
コンプライアンス、直訳というよりは、単に訳すと「法令遵守」という言葉に、大多数の日本人の方は、置き換えてしまう様です。
でも、このコンプライアンスという言葉、考え方次第で、会社をダイナミックに事業を展開して行くことができるキーワードになる要素もあれば、会そのものの存続が危ぶまれる危機に直面する要素もあります。
この続きは、次回に記したいと思います

今後ともよろしくお願い致します


上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年5月19日に、本ブログに移植しました。

回想

ちょうど、この時期あたりから、法令遵守、コンプライアンス、CSR、企業の社会的責任という言葉がもてはやされた時期だと思います。

明らかに法令違反ならば、論外ですが、法令解釈まで踏み込んでみると、この法令そのものは、どこまでを射程としているのだろうという疑問符がいっぱい湧いた事案も多く出現した時期だったと思います。

対応の仕方で存続倒産が大きく分かれました

当時は、この言葉に踊らされ、いろんな人が対応の仕方を誤り、返って世論を煽り、風評被害が拡大してしまったため、事業者が解散するという事態が続出しました。

基準というものは一つとは限らない

それ以後、コンプライアンス、CSRがずいぶんと見直されたようにも思えますが、様々な基準に照らし合わせたとき、過度の制限をしているのではないか、事業活動に対して過度に制限を求めすぎるのではないかという疑問視する声もあったようです。

それでも、事業者として明らかに守らなければならない法令は遵守すべきで、企業の社会的責任は、存在意義を問うものでもあると思います。

事業をしていく以上、社会に貢献していくものにしていきたいですよね

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雨に濡れた薔薇でした
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会社・法人・企業法務 民事信託・遺言・後見・相続

事業承継のポイント1

 今日において、事業承継を円滑にして行くための準備として、今日は、ちょっと視点を換えて記してみたいと思います。
 事業承継を考えるにあたり、まず自社株の生前贈与等の譲渡、遺言書に記し遺贈する等の方法が、考えられます。
 でもそれだけでは、完全とは言えません。なぜならば、相続人の中に、遺留分を持っていらっしゃる方の存在があります。
 即ち、生前贈与をしたとしても、遺言により遺贈をしたとしても、遺留分を持っている相続人がいた場合、遺留分減殺請求を行使される可能性があります。
 ではどうすれば、この遺留分減殺請求に対抗することができるのか、理想的な方法として経営者が生前に、承継者以外の遺留分を持つ推定共同相続人に、事業に関わりがない財産を遺贈する方法が考えられます。
 また、生前に事業に関係のない財産を贈与して、遺留分を持つ相続人に、家庭裁判所で遺留分の放棄をしてもらうことも視野に入れても良いかもしれません。しかしながら、このことは、遺留分を持っている相続人の協力が得られなければ、なし得ないことです。

 承継者側から見た場合の事業承継の防御策として、いくつかの事象を考えなければなりません。
 一つ目は、承継者が相続人であった場合です。話し合い(遺産分割協議)をして、解決できれば良いのですが、そうも行かない場合を想定して記すと、もし経営者が遺言等を遺していても、遺留分を侵害しているのであれば、承継者は、自社株を引き受ける分、自社株に変わる事業に関係ない財産を譲渡する方法が考えられます。
 しかしながら、話し合いが難航するようであれば、家庭裁判所の力を使うことも視野に入れる必要があるかもしれません。
 いずれにせよ、遺留分減殺請求がなされた場合は、請求を受けた受贈者(贈与を受けた方、若しくは遺贈を受けた方)は、贈与、遺贈により取得した財産そのものを遺留分権利者に引き渡すのではなく、他の財産(金銭)でもって遺留分減殺に対応するということも考えてみてはいかがでしょうか。次回以降に2つ目の事象を考えてみたいと思います。

鎌倉の寺院にて

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年5月18日に、本ブログに移植しました。

補足:民法の改正

民法の改正により、遺留分減殺請求から「遺留分侵害額請求」に変わりました。よって、遺留分を侵害されたことによる請求は、侵害された遺留分相当の金銭でもって、終局的に解決することとなりました。

改正前は、遺留分減殺請求をすると、各遺産について、遺留分侵害額相当の相続分(持分)として、回復することとなり、終局的な解決にならなかったことと、金銭で解決することを前提にした方が、妥当であると、政策的な判断があります。

回想

事業承継について、先の記事でも記しましたが、経営権の譲渡をいかにスムーズに引き渡していくのかも大事なテーマだと言えます。記事では、株式について遺贈もしくは生前贈与するスキームの紹介でした。遺留分を主張することができるのは、相続人が生存配偶者、子または次順位の直系尊属となるのですが、株式を取得しない共同相続人への配慮は必要であると考えます。

事業承継に関することをはじめ、企業法務全般、業務の概要は当事務所公式Webページで、紹介しています。ぜひご覧ください。

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