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民事信託・遺言・後見・相続

登記申請手続は簡単ではありません

こんにちは

今回は 登記申請手続きについて記したいと思います

近頃は 現役を引退されて 年金暮らしで時間に随分余裕があり 充実した暮らしをされている方も多くいらっしゃると思います

ここ数年 相続事案については ご自身で対応される方も多くなったように感じます

ただ事案によっては ご留意された方が良いことも散見されます

どのような事案か

それは相続ではなく 譲渡性が生じる不動産の権利の移転が伴う事案です 相続事案より さらに留意が必要と感じます

 一部のお子さんにご自身が築き上げた財産を ご自身が元気なうちから 譲り渡して生かしてほしいという思いがより強いのか それとも 単に一部のお子さんが可愛いという心境からなのか 子供に不動産を譲りたい という方が 時々いらっしゃいます
 この場合 相続ではなく 譲渡という性格を持ちます そして 不動産の権利が移転した原因 まさに登記(をするに至った)原因について 「譲渡」という文言を用いることは認められてはおらず 金銭の対価を伴う「売買」なのか あげるもらうという「贈与」なのか 他にもいろいろ考えられなくもないですが とにかく「譲渡」という文言は使うことは許されておらず 譲渡についての具体的な原因を登記しなければならないこととなります

さて 登記が完了すると 法務局は その完了後一ヶ月内に 所有者および前所有者それぞれの住所地の管轄税務署、都道府県および市区町村の税務を扱っている事務所に対して 登記がなされた旨の通知する扱いとなっています

そうすると 一見 手続はそれほど難しくはなく 当事者の意思が揃えば登記申請はできますし 登記も実行されますが その後 その登記の内容に基づいて 税金を徴収する部門は行動に移ります 登記されている内容に基づき課税する要件に該当するのかどうか もちろん申告が前提である税目もありますが 調査をすることができるわけです

申告が前提となっている税目は 申告しなければ課税されないと思うかもしれませんが 先にも記したように 不動産の所有権が移転し 譲渡がどのような原因であったのか 法務局からの通知の内容を精査もしくは登記簿を閲覧すれば 課税要件なのか 申告の義務があるにも関わらずその申告が漏れていることさえも 関係税務当局はしっかり把握でき もしも申告をしなかった場合 税務署より申告するよう求められ それにも応じない場合「決定」として課税されることとなります 

また不動産の権利の移転が「売買」なのか 「贈与」なのか によって 譲渡所得税の課税の有無、贈与税の課税要件の有無も調査します

 登記の効力は 第三者に対して権利を確定的に主張すること いわゆる対抗要件の付与が大前提ですが それは何も当事者にとって必ずしも利益だけに働くだけではなく 登録免許税・譲渡所得税・不動産取得税・固定資産税各税目の納税の義務についても効力が生じます

もう一つ注意したいこととして 譲渡する対象物件が賃貸物件だった場合です 譲渡後 今まで生活の糧として充てにしていた賃料が 所有者をお子さんにしたことによって 賃料の受け取りについて 譲渡後 基本的にはお子さんが受領することとなります 今まで ご自身が受領していたはずですが 登記後 ご自身が受領し その賃料を消費した場合 その賃料は お子さんがご自身の扶養の義務に基づいて渡したものと考えるのか 扶養の義務を超えるくらいの年間の賃料であった場合 親子間でセールアンド(サブ)リースバックのような構成要件が成立するのか そして 賃借人との契約関係は 基本的には新所有者の方が契約を引き継ぐこととなります

親子間のことだから手続は簡単だろう と登記名義をお子さんの名義にすること自体は簡単なことかもしれません しかしながら そのことによって 納税の義務が生じ いくら納税しなければならないのか その認識をしていただきたい そんな意味では 必ずしも登記申請は簡単ではない ということがお分かりいただけると思います

相続に関する相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

タンポポの綿毛 通りを歩いていたら ふと気になり 撮ってみました
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事務所より

不動産の写真について

こんにちは

このブログも 少し切り口を変えて 記していこうと思います

自身が関心をもっていることについて記していこうと思っているのですが なにも司法書士業務に限る必要もないかな と思ったので

さっそく

同業者に言わせれば 直接関係ないかな? という内容でもあります
強いていうならば ある同業者に言わせると 不動産の特徴をとあることのために当事者にお聞きすることもあるようです

さて 表題にあるとおり

不動産の写真についてです

不動産 小さいものから大きいものまで 今日の取引を開始する前の段階で 不動産の売買や賃貸に出されている物件を探索すると 今の時代 図面のみならず 写真もよくよく見かけますね

さて この写真についてなのですが 実はよく見た方が良いかもしれないと 私は感じます

なぜかというと 写真は必ずしも人間の見たもののとおり 表現されているとは限らないからです

では いくつか 写真をみてみましょう
もちろん 実務上 取り扱った事案は たとえ撮影が許可されたとしても お見せすることができないので 休日に撮った写真を用いることにします

1.広角領域で撮影した写真(35mm換算で焦点距離24mm)

次に上の写真にデジタルシフトして補正した写真です

2.広角領域で撮影した写真(35mm換算で焦点距離24mm)をデジタルシフトした建物の傾きを補正した写真

そして構図がずれていますが 焦点距離を48mm(35mm換算)の標準領域で撮影したものを次に示します。

3.焦点距離を48mm(35mm換算)で撮影したもの

3つの写真を見比べてみて どのような印象をお持ちになるでしょうか
 特に注意して ご覧になっていただきたいところは 遠近感 奥行きの感じ方にあると思います

 広角レンズを用いて撮影した結果は標準レンズでの結果と比べて遠近感が大きく反映されますし 写真の端に注目すると歪みが大きくなります

 では 広角レンズの撮影結果に対してデジタルシフトを用いて、建物の傾きを補正した写真では 確かに周囲の歪みや建物の傾きは解消されているように見えますが、手前から奥への遠近感が大きいと印象を受けます

 次に 広角レンズの撮影結果に対してデジタルシフトを用いて、建物の傾きを補正した写真と標準領域の焦点距離で撮影したものを比較してみると 遠近感の違いが大きい印象を持たざるを得ないと思います

不動産物件の写真を見ていくための注意点として やはりその写真の端を注意して見ること 建物であれば、写っている壁、梁、屋根や柱などを見て 歪みや傾きがあれば 広角レンズを使って 遠近感から空間を広く見せようとしていることが 考えられます
土地については 更地であると分かりづらいこともありますが それでも周囲がコンクリートで囲まれていたり、道路部分がどのように写り込んでるのか 意識して見ても良いと思います

一つだけ 撮影する側・情報提供する側の立場から 標準レンズは 広角ほど画角を取ることが難しいので 部屋の内部からその部屋そのものを表現しようと考えても標準レンズでは その部屋全体を表現することは対応が難しいとも言えます

やはり最終的には 写真によって抱いた印象だけに頼らず 必ず現地を見にいくことは重要だと考えます

平成31年4月27日より令和元年5月6日まで、お休みをいただきます
平成31年4月26日まで、令和元年5月7日から、通常どおり、開所しています
司法書士 大山 真 事務所
tel: 047-446-3357

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民事信託・遺言・後見・相続

相続手続・相続対策の際に一番先に出向くべき場所は(その2)

こんにちは

前回は主に 相続対策について記しました。

今回は相続手続について記します

さて他の士業の先生については 後に記します まずは銀行 証券会社等の金融関係について 基本的に金融機関自身が管理している債権債務以外に興味はありません 例えば 被相続人所有の不動産について 担保でも供されていない限り 不動産のことは触れませんし 手続の支援は 信託契約でもしない限り 対応はしません ゆえに「相続手続依頼書」という文書に相続人全員の署名実印で押印の上 印鑑証明書を添付して提出を受けて 手続を進めます これは事実上金融機関にある債権債務関係について遺産分割協議していると法律上解することができますし 確かに間違いではありませんが 他の遺産については考慮しないため 結局遺産分割協議をせざるを得ないこととなります

別途遺産分割協議をさざるを得ないならば 初めから全ての遺産を対象にした協議を成立させた方が合理的です

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相続手続・相続対策の際に一番先に出向くべき場所は(その1)

こんにちは

今日も暖かいですね

さて 今日 お伝えしたいことは 相続手続・相続対策の際に、一番先に出向いた方が良い場所についてです

単刀直入に申し上げると ズバリ当事務所をはじめ司法書士の先生の事務所に訪問されることを強くお勧めします

特に被相続人が遺した遺産に 不動産が存在すれば なおのこと司法書士事務所を訪ねた方が良いと感じます
なぜに 司法書士事務所なのか それは中立な立場で物事を判断するのに長けているからです

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不動産登記申請 事務所より 会社・法人・企業法務 裁判事務

専門家に依頼しましょう

 電話がかかってきますが、自身で準備したいので、ノウハウを教えてほしい(直接的な表現ではないにしろ、おっしゃる)方が時々いらっしゃいます。
 しかしながら基本的には、電話では、御答えしておりません。
 しっかりとしたわけがあります。基本的に電話だけですと、書面を拝見しているわけではないので、想像でモノを言わなければならない、極めて不確実なシーンに出くわすことがあります。
 そうすると、確認していないところが多く存在するため、電話では、御答えする事ができないのです。
 また電話で「幾らかかる?」と言われても、即答できないのが実情です。
 なぜならば、登記、裁判書類作成業務およびそれに対する助言は、事実をしっかり確認しなければ、申請できる要件が確認できないからです。
 以上をご理解の上で、ご自身でなさるのであれば、当事者であれば、代理人を置かなければならないという民事訴訟や登記に関する規定は置かれていないので、もちろんご自身ですることはできます。
 しかしながら、登記において、特に不動産登記は相手方もある事ですし、商業登記は役員の住人登記は定型的なので問題なくご自身でもできると思いますが、イレギュラーケースに遭遇した場合は、一般人の方では、どう申請をすれば良いのかを調べることから始めなければならないので、負担が大きいと思います。
 民事訴訟の訴状等の作成についても、一定のルールがあるので、一般の方が作成するのは負担が大きいと思います。
 そういった負担を緩和するという観点で、各専門家に相談する事をお勧め致します。

登記・裁判書類作成に関する相談を随時受け付けています
司法書士 大山 真 事務所
TEL:047-446-3357

夕闇

上記記事は、2022年6月27日に、旧ブログ「時報」より、本ブログに移植しました。なお、本文を加筆修正しました。