カテゴリー
事務所より 民事信託・遺言・後見・相続

郊外の不動産の処分のこと

先日、同業者と電話会談をした際に、不動産の処分、生前贈与のことが話題に上がりました。

郊外の不動産売却等の処分に時間がかかる

近頃は、売却しようにも随分時間がかかり、全く売れない事象も郊外では少なくないようです。

市街地に住んでいて、郊外に幾つかの不動産を所有していらっしゃった方が、毎年定期的にその不動産を訪れ管理されてたそうですが、高齢のため難しくなったため、思い切って不動産を処分することにしたそうです。

売れないなら貰ってもらうこと(贈与)も考える

その際の契約は、なんと「贈与(契約)」だったそうです。

修繕や固定資産税の負担をよく考える

よく話を聞くと、親戚に車を出してもらい 半日移動に費やし、修繕して戻るを、各不動産にしていたそうです。

高齢になり、管理の負担が過多になり、売却を進めようとしても、郊外で買い手もなかなかつかず、いっそのこと、近隣の方に「贈与」で手放されたそうです。

確かに売却まで漕ぎ着けるには、物件によっては相応の時間を要することもあります。価格設定によって、引き合いもない事案も多いのかもしれません。

売却に至るまでの期間、税金、修繕等の維持費の負担する期間

いっそのこと贈与してしまった方が話も早くまとまり、毎年の費用負担、固定資産税等の納税義務から早く解放されることが大きなメリットとなるようです。

貰い受ける側の負担も考慮

もっとも貰い受ける側は、贈与税のことを意識する必要があります。

不動産の相対取引に関する登記相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

カテゴリー
民事信託・遺言・後見・相続

ご自身らしく過ごすために(2)

こんにちは、先般のブログで、法定後見と任意後見の違いおよびライフプランの存在意義を記しました。
もしご覧になっていない方は、以下にリンクを記しましたので、ご参照ください。

さて、今回は、もう少し内容を掘り下げて、「ライフプラン」について記していきたいと思います。

書籍を見渡して気がつくこと

任意後見に関する書籍を見てみると、制度のこと、手続き利用の準備のこと、注意すべきこと、関連法例や、記載例等が、これでもかというくらい満載に記されています。

ライフプランは、二つの意味を含んでいる

その中に記されている「ライフプラン」のことですが、専門職が、ご本人にいろいろ聞いて、作成されるアンケート結果を「ライフプラン」と呼ぶこともあれば、その聴取した記録をもとに、文章を起案し、最終的に、ご本人様に読み聞かせ、記載された内容に間違いがなければ、書面末尾に署名押印をしてもらって、「ご本人様の『ライフプラン』」という書面のことを指すこともあります。

先のブログでも記した「ライフプラン」の意味は後者の方で、認知症を発症し、もはや詳細な希望を関係者に意思を表示することが難しくなったときに力を発揮する書面と言えます。

任意後見契約書の性格

それでは、任意後見契約書等の契約書はどのような性格を持つのでしょうか。もちろんご本人に代わって法律行為をする委任契約に関する契約書ですが、記載事項は、実は、法令政令省令により、定められています。

事実行為や一審専属権は契約条項に記載できない

特に事実行為や一身専属権についての代理は法令上、任意後見契約の条項には搭載できないため、物理的に一つの書面で作成されたとしても、観念的には切り分ける必要があります。そこで例え切り分けて記したとしても、契約書に詳細なご本人の希望、例えば、毎日コーヒーが飲みたいから提供してほしい等の本人の嗜好に基づく希望等を、契約書に盛り込むことは、実益性がほとんどありません。

契約書は、当事者間のみが確認する書面ではない

物理的に一通の書面に記せたとして、その提示をしようものなら、提示する相手方当事者に対して、必要のない契約内容の全てを逐一目に触れる機会を作ってしまいます。
 故に、「ライフプラン」は、契約書とは別に作成することとなります。

さて、その「ライフプラン」ですが、いざ記そうと思っても、なかなか記せないことが多いようです。なぜなら、普段何気なく過ごしていることを客観的に見つめる習慣がなかなかないですし、普段からできていることに基づいて食事をし、ご自身の嗜好に基づいて過ごしている生活習慣を振り返ってみることは、意識しないと、なかなか気がつかないのかもしれません。

ライフプランを作成する意味

もしものとき、認知症を発症したときに功を奏するための準備をするためですが、それ以外に、ご自身の嗜好に改めて気がつく良い機会になるのかもしれません。

趣味なんて何にもない、興味を持っていることなんて何もないとおっしゃる方が多いものですが、一つ一つを丁寧に一日の行動やご自身にとっての出来事を振り返ってみると、ご自身でも気がつかなかった素晴らしいことがあることを発見すると思います。

司法書士 大山 真 事務所の任意後見アシストサービスでは、ご本人様の「ライフプラン」に合わせたサービスを提供できるように対応しています。

認知症になっても「ライフプラン」によって、これまでどおりの生活がより実現する可能性が広がります。

後見に関する概要は、当事務所Webページでも紹介しております。

任意後見に関する相談を承ります
司法書士 大山 真
TEL: 047-446-3357

河津桜と北の夜空のタイムラプス動画です
カテゴリー
民事信託・遺言・後見・相続

任意後見制度のこと

こんばんは、今回は、任意後見制度のことを記したいと思います。

なぜかマスコミやメディアは、職業後見人の不祥事が明るみに出るたびに、センセーショナルに報道しますが、もちろんそんな不埒な輩は、ごくごく一部です。大多数の職業後見人は、しっかり取り組んでいます。監督する機能は裁判所が担っているので、おかしなことをすれば遅くとも半年後には、明るみに出ます。

後見人の解任は、ダメージが大きく、一度、不祥事があったら、その仕事からは退場そして復活することができない仕組みになっています。故に職業後見人は、思われている以上に緊張感を持って後見業務に当たっています。

さて、今回、紹介する後見制度のカテゴリーの中で、気にして欲しい仕組みは、任意後見人制度のことです。

任意後見人の場合、法定後見人と違い、本人の希望に沿った形で、代理行為を依頼することができます。なぜなら契約だからです。一方、法定後見の場合は、行為能力の制限による取消権はありますが、任意後見には入っていません。もっとも財産管理をする代理権が付与されている以上、詐欺、脅迫による法律行為の取消しは認められています。

法定後見の場合は、本人がすでに判断能力がない事象から、成年後見人を選任、後見開始、業務が始まりますが、任意後見契約では、判断能力が備わっている段階で、契約を締結し、して欲しいことを指定する、自己決定権の余地が残されている制度であります。

任意後見契約ならば、もしも判断能力が低下し、ご自身だけでは生活が立ちいかなくなった場合、ご自身がどのような生活環境を望むのかを正確に伝えることができます。ご自身が思い描いている生活の希望を伝えることができるのです。

法定後見の場合、成年後見人が被後見人の様子を見ながら、場合によっては監督人もしくは裁判所の判断を仰ぎながら、業務遂行することになりますが、任意後見人の場合は、後見監督人の監督を受けながらも、契約に記されている代理権目録に従い、業務を遂行していきます。

家族に頼れる方がいらっしゃれば、家族信託(家族による民事信託)を活用する方法も考えられますが、身寄りがない方に今後のご自身にとって安心する制度として「任意後見制度」の活用を検討されてはいかがでしょうか?

後見・見守りの概要について、当事務所webページでも紹介しています。ぜひご覧ください。

※2021年12月7日に公開した記事ですが、加筆して再掲いたしました。

お年を重ねられた方向けに これからのことの相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

カテゴリー
民事信託・遺言・後見・相続

対抗要件の関係により相続登記は何時でも良いわけにはいかない

こんにちは、今回は、相続したことによる不動産登記申請義務に関すること、また対抗要件の付与の観点から、相続登記は何時でも良いわけにはいかなくなりました。今回は、そのことをもっと掘り下げてみようと思います。

日本全全国で何が起きているのか?

視野を広げると 日本の国土として なんと九州全土に匹敵するくらいの土地が、誰の所有だかはっきりしないということです。

だからどうしたのか?と感じるでしょうか。それは大変だねぇと感じるでしょうか?

これまでの市区町村の固定資産税課の態度

確かに、今まではそうでした。故に某市区町村の固定資産税課では、登記なんて何時でも良いのですよ!と指導をしていたくらいでした 。別に税金の徴収ができればよく、周囲に迷惑がかかっていなければ、傍観するより他ないのです。いわば気の毒になぁ、という感じでです。
相続人間で困っている、民間で困っている、それくらいのレベルでは、行政は動こうとはしません。そうです、行政が介入したいと考えたときに、これは大きな問題だと認識を改め始めたのです。

なぜ、風向きが変わったのか?

行政区画について再開発を推し進めていくにあたり、地権者からの用地買収をしたり換地処分をしなくてはいけないわけですが、現在の所有者がわからないもしくははっきりしない土地が、無視できないくらい存在していて、計画が進まないという事態に直面したわけです。

行政としても念い、とにかく法務局に来て欲しい念い

そこで行政は、まずは相続を原因とする登記申請をしてほしい念いから、法務局では、法定相続情報証明という制度を施行しました。この「法定相続情報証明」は、相続手続きで集めた戸籍謄本を申出書と一緒に法務局に提出すると、一通の「法定相続情報証明書」という書面を無料で提供を受けることができます。だから何なのかと 思われるかもしれませんが 漫然と法務局、金融機関(しかも一機関ずつ)、年金、保険手続きのたびに被相続人に関する戸籍謄本を取り寄せると、高額になってしまうため、法務局で、「法定相続情報証明」でもって戸籍の束に変えることができる仕組みを造ったわけです。
もっともこれだけですと、一つずつの手続きで戸籍の束を返却してもらえば事足りるようにも思われますが、一連の手続きが完了するまでにずいぶんな時間を要することも考えられるため、ぜひご利用をしてほしいという念いがあります。

さて話題が逸れましたが、民法・不動産登記法の改正があり、相続による不動産の取得があった場合の登記申請手続きが義務化されました。登記申請を怠ると、法務局よりお尋ねの文書が届いたり、法務局による職権で付記登記をなしたり、最悪な場合、行政上の秩序罰たる過料の制裁を受けることとなりました。

相続登記の義務化以上に気にしてほしい改正条文

上記の様に、登記申請そのものについて義務化する大きな改正があったのですが、それよりも民法の大きな改正として、相続によって法定相続分以上の該当する持分を取得した場合、登記を受けなければ、第三者に対抗することができない(対抗要件付与)取り扱いに変更されました。

この改正は、相続登記の義務化の改正よりも、重く考えなければいけないと思っています。なぜなら共同相続人の中に、自らの相続分に基づく不動産の共有持分を他人に売買等により譲渡し、法定相続分による登記および持分全部移転の登記がなされてしまった場合、遺言により法定相続分よりも多く取得した相続人は、共有持分を譲り受けた第三者に対抗することができないこととなりました。改正前は、判例により、遺言により相続させる旨の記載があれば、登記がなくても第三者に対抗できる取り扱いをしていましたが、先の改正で、あくまで登記が対抗要件となったわけです。なお、遺産分割の場合は、分割協議により自らの法定相続分よりも多い共有持分を取得した相続人は、登記を経ないと第三者に対抗することはできない扱いは今までと変わりません。

今回は、民法第899条の2のことを見てきました。

今回の改正により、法定相続分よりも多く取得した相続人は、第三者に対する対抗要件を受ける必要性が生じたと言えます。

相続手続に関する概要を、当事務所Webページもご参照ください。

相続に関する相談を承ります。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

カテゴリー
民事信託・遺言・後見・相続

自身らしく過ごすために

認知症を患っても、自身らしく過ごすことは、とても重要なことです。今回は、任意後見制度を活用するにあたって、法定後見との違いも比較して、自身らしく過ごすために注目すべきことを記してみようと思います。

法定後見と違うこと

任意後見が、法定後見と大きく違うことは、契約で後見人を自ら選ぶことができることは、何度か触れてきたと思います。実は、もうひとつ任意後見の方が圧倒的に利点なことがもう一つあります。

それは、認知症が進行し、ご自身の判断能力が不十分になり、意思を表示することが難しくなったときに、事前に記したライフプランによって、よりご自身らしく過ごすことを継続することが期待できます

法定後見人の選任は、高齢者本人ではない。

法定後見の場合、残念なことに、判断能力がない、著しく不十分または不十分という事態になって初めて家庭裁判所に申し立てをし、申立時に一応成年後見人候補者という記載欄があるので、記しますが、選任する主体はあくまで家庭裁判所です。

どう過ごしたいのか、本人は伝えられない

選任された成年後見人が、弁護士、司法書士等の職業後見人の場合は、もちろん成年被後見人のこと(どう自身らしく過ごすのか)を知ろうと努力を試みますが、被後見人(本人)に直接聞くことはもちろんしますが、すでに判断能力に問題があるため、その返事や質問に対する答えが本人の真意に基づくのか、判断が難しいものです。故に親族や場合によっては近隣の方々に、日頃の様子を聞き、ようやく本人(被後見人)のことをなんとか知ることができることになります。もっとも 本人自身の希望を知ることは難しいと言えます。

任意後見なら伝えられる

一方、任意後見では、契約時に代理権目録にどの法律行為について代理権を与えるのかからはじまり、判断能力が衰えたときにどう自身らしく過ごすのかを伝えることができます。任意後見契約書には記すことが難しいことを、別紙にライフプランという形で、記しておくのです。そうすれば、認知症を患い、判断能力が不十分になったとしても、周囲はどうすべきかをすることができるのです。

任意後見等の当事務所の高齢者の見守りサービスについて、当事務所Webページでも紹介しています。

任意後見の相談をお受けいたします
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

月光と電波塔