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民事信託・遺言・後見・相続

特別受益

こんにちは、今回は、相続手続きの際に、時折文言が出てくる、「特別受益」のことを取り上げます。

特別受益

さて、この「特別受益」ですが、民法では、第903条にあります。ではその第1項を見てみましょう。E-Govから引用します。

第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
(第2項以下省略)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230401_503AC0000000024&keyword=民法#Mp-At_903

とあります。「遺贈」、「『結婚、養子縁組、生計の資本』として贈与」を受けた者が、特別受益を受けた相続人となります。

持戻しのこと

共同相続人の中に、特別受益を受けた相続人がいた場合は、

“相続開始時の遺された財産”+贈与の価格=相続財産 とみなす

とあります。このことを「持戻し」と呼んでいます。さて、相続総財産の計算をした後、特別受益を受けた相続人の相続分は、

計算した相続(総)財産
ー {「遺贈」、「『結婚、養子縁組、生計の資本』として贈与」}
=特別受益を受けた相続人の相続分

となります。文字で表すと、分かりづらいでしょうか、では具体例です。

持戻しとその後の相続分の計算例

被相続人Aが死亡時に現存する財産が3000万円、相続人Cに贈与した財産が1000万円、相続人Dに遺言で2000万円の遺贈する。共同相続人は、Bは生存配偶者、CDは、被相続人Aと生存配偶者のBの間の子であった場合を考えると、

持戻しの計算は、

3,000万円(現存する財産)+1,000万円(Cへ生前贈与の財産)
=4,000万円
となり

相続財産の4,000万円とみなし、再度計算して法定相続分を価格で表すと、

Bが2000万円 CおよびDは1000万円ずつとなるはずですが、民法第903条第2項の規定により、Cは、生前に贈与を受けており、相続開始時に受け取る遺産は、”ゼロ” 、Dは、遺贈によって2000万円の遺贈を受けることができますが、遺された相続財産1000万円からは相続することができません。なおBは、1000万円を受けることができます。それからBの遺留分ですが、侵害されていないことは、言うまでもありません。

20年以上連れ添った生存配偶者に、優しい規定の新設

新設された第四項ですが、20年以上連れ添った生存配偶者のための推定規定です。子と生存配偶者との間で、争いがあった場合など、涙ぐましいことがあったようですね、また平均寿命が長くなる一方、生存配偶者も高齢であることが多く、また可処分所得が少なくなり、相続後の生計を立てることが難しいケースもあるようです。そもそも論ですが、紛争が生じると「特別受益」の問題が浮上し、結局死亡時の被相続人の財産を取得できないことを回避するための推定規定です。もっともこの規定は推定規定ですので、遺言で以って、別段の意思表示があったときは、働かなくなるので、留意が必要です。

さて実務ではどうなのかというと、円満であれば、あまり出てこない文言かもしれません。ただ遺産の分割で、法律論はもとより、実情に合わせて、遺産を分け合うことが肝要だろうと思われます。

相続手続きの概要は、当事務所Webページでも、紹介しております。ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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