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株主にはどのような権利があるのでしょうか?(その1)

さて 株主 どのようなイメージをお持ちでしょうか?

株主というと どうしても上場企業の株主を指し 言わば投資という観点からのイメージも持たれる方が多いのでしょうか?

せっかくですので 取り上げてみようと思います

株主には、基本的に2つの権利があると言われています。

一つが「自益権」です。この自益権とは、自らが受ける権利のことであり、いわゆる剰余金の配当を受ける権利や売却したことによる対価等の権利のことを言います。

もう一つが「共益権」と言われるものです。この共益権は、株主総会において、議決権の行使することができる権利が代表的です。議決権を行使した効果は、その一株主のみならず、会社に対しても影響をあたえます。

自益権は、やはり、配当や売却に伴う対価の取得のイメージが強いので、上場企業の株式投資のイメージが強いのかもしれませんが、もちろん業績が良くて、純資産が金300万円が確保できるのでれば、中小企業でも、剰余金の配当を株主に付与することは可能です。もっとも、上場企業と違うところは、業務執行を担っている役員と株主が一致しているケースが多く、一時的に配当として剰余金から付与するとなると、税金のことがもたげてきてしまうため、もしかしたらあまりなじみが無いかもしれませんし、お抱えの税理士先生から、時間をかけて役員給与として貰った方が節税効果が得られるというアドバイスを受けているのかもしれません。

共益権についてですが、先に説明した株主総会での議決権の行使がもっとも典型的ですが、まだあります。もっとも株主なら誰でも認められる権利と一定の株式を保有していないと行使できない権利も存在します。
一つは、株主総会に対して議案を提案する権利があります。株主提案権は、各会社の態様によって、要件が変わってきます。
まず、典型的な上場企業のように取締役会が存在し、株式の譲渡が自由にできる会社の場合は、「総株主の議決権の百分の一以上の議決権又は三百個以上の議決権を六箇月前から引き続き有する株主(定款で要件を緩和されていれば、定款の定めに従います。)。」に限り認められています。一方、株式の譲渡による取得について制限をしている取締役会がある中小企業の場合は、六箇月の保有要件がありません。
続きはまたの機会にしたいと思います。

上場企業の株主総会が集中していますし、新聞、テレビのニュース、Webでもいろいろ話題にあがっていると思いますが、興味を持って頂けたらと思います。

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Tel: 047-446-3357

陸橋からの夕焼け

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会社の定款は、定期的に見直しましょう

こんにちは

今回は 会社・法人の定款について 少し記したいと思います

最近まじまじとご覧になったことはございますでしょうか

実は 法務に携わっている方であれば とても身近なものなのですが 日常業務に追われてしまい 特に必要に迫られることがない ということであると 保管されているのかどうかもわからない ということもあるのかもしれません

時折 遭遇するのですが 歴史のある会社さんでさえ 設立当初の定款だけが存在し 現在の法令に準じた内容でなないことはもとより 現在登記されている事項とはかけ離れた 書面としての定款が存在しているケースが見られます

書面としての定款の管理 そして内容としての定款は一年に一度は見直すのが理想です

上場会社ではないのだから というご意見を持った方が時々いらっしゃいますが 会社法を始め 各法令はマイナーチェンジも含めて毎年改正が行われています 法令遵守 コンプライアンスを意識するのであれば 定款の見直し作業は必要と考えます

少しだけ気になることですが 設立の段階で 当事務所も定款の起案から作成及び認証申請の手続代理まで委任事務を受けることがありますが その際に クライアント自身が 会社成立後 逐一法令を参照する必要がないように 重要な法令等の規定でも 敢えて定款に記すことがあります また会社法が施行されてから 定款自治を広く認められることとなりました それ故に 設立当初は最低限の規定だけを置き 事業拡大とともに 現在の定款では対応しきれないこと事態が想定されることもないわけではありません

定款の内容を定期的に見直して 書面としての現行定款をしっかり整備されることをお勧めします

定款の見直し作業につきまして 相談を御受け致します
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事務所より 会社・法人・企業法務

採用は慎重に…

こんにちは

とある飲食店で 4月に見慣れない店員が2名程いたはずなのですが 5月になって全く姿が見えないので、他店に異動したのですか? と問うたところ なんと、早くも自己都合退職されたとのこと…。

なぜにそうなったのかはよくわかりませんでしたが 従業員を増員したいお気持ちはわかるのですが よくよく慎重にならなければ 元の木阿弥どころか 募集に掛けた費用 雇い入れから退職までの教育費、退職者が今まで働いた!?!給与そして税務・労務手続等を考えると マイナス面ばかりが大きく出てきてしまいます

もっとも いなくなるだけならば まだ良い方かもしれませんが 紛争問題に直結することも 事案によってはないわけではありません

数回の面談・面接・筆記試験で 全てを見抜くというのは至極難しいと思いますが 面談時の受け答え、提出された書面の体裁や自書していたら その筆記に丁寧さが見られるのか等 技能的なことは二の次にしても よく見るべきと考えます

それから これはよく聞くことかもしれませんが 募集が常に出ているところほど 定着しないことが裏付けられてしまうこともあります またSNSで募集するのはどうかと聞かれることもありますが そのSNSはだれがよく見ているのかを意識した上で 運用された方がよいと考えます

ふと気がつきましたが 最近ではSNS等で 閲覧で一部の方のみとなっていても 経営者が自らタイピングして 従業員が退職されてしまった事実について あたかも経営者自身は正しいことをしているかのような投稿は 記すべきではないと考えます なぜなら採用を決めたのは 他ならぬ経営者であり その采配について 自身はうまくできないと公言していることと同じと考えることができるからです 公開範囲にもよりますが もしかしたら顧客等の取引先も閲覧していると考えただけでも 投稿したことによる効果は 決してプラスには働かないと考えます

やや労務的なことかもしれませんが 紛争を未然に防ぐ一番の方法は 採用をもっと慎重にすること これが最善の策であると考えます

ということで 前回はあまりにもマニアックだったのでもう少し身近なことを記してみました

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共同と累積式の根抵当権の違いについて

少し気になったので 記してみたいと思います

少しネットサーフィンをしていたのですが 司法書士受験生は 出題に大きく影響するため 登記事項が気になるし また資格試験受験機関の講師も 受験に関する知識以外は あまり触れない 一方実務においては 比較的信頼できる機関からの依頼であれば 渡された書面に基づいて 申請すれば良いだけなので あまり気にしないのかもしれないが 表題の違いを登記ではなく 法律上の効果という観点で記してみたいと思います

共同根抵当は、複数の不動産について共同担保の関係で根抵当権を設定する約定担保物権であり、対債務者に対する担保される不特定の債権の、極度額、債権の範囲を複数の不動産が共同して担保するということである。なんだかわかりづらいので、もう少し具体的に記すと…

甲土地、乙土地、丙建物が共同担保の関係で、極度額3億円で共同根抵当権を設定すると、3つの不動産で極度額3億円の枠内で担保するということである。

一方、累積式根抵当権では、甲土地について根抵当権設定、乙土地について根抵当権設定、丙建物について根抵当権設定と(敢えて個別に記したが)それぞれについて設定する。その効果として其々の不動産が極度額の範囲で担保する。例えば、極度額を甲土地につき1億円、乙土地につき1億円、丙建物につき1億円という具合にである。

設定と(残念なことかもしれませんが)実行時の手続の違いについて記すと以下のとおり。

共同根抵当の場合、事務手続は概ね1回で済むと考えられ、設定時のいわゆる登録免許税は極度額で定まるが、一回の設定登記申請で済むので、極度額に税率を乗じて得られた税額で済む。実行時の申立てについても確実に一回で済む。
また担保価値について曖昧さが存在する場合でも、複数の不動産が共同して担保するため、仮に一部の不動産につき(結果的に)担保価値を見誤った場合でも、他の不動産によって担保されるというメリットが存在する。デメリットとしては、一部の不動産について、担保を解除してしまい、後日残りの不動産について実行した場合、事実上後順位担保権者に優先弁済権を奪われる場合があり得る。もっともこのことは普通抵当の共同担保の関係と同じである。

累積式根抵当の場合、事務手続は、不動産の個数分必要となり、其々の極度額に対し、登録免許税が課税されるので、共同根抵当権と比べると高額となる(後記の例で税率を其々乗じて、税額を計算すると、先の共同根抵当のときと比べると登録免許税だけで3倍の納税が必要となる。)。共同根抵当のときに比べると額面のみを見た場合、其々の不動産が極度額の範囲で担保する。例えば(例1)極度額を、甲土地に1億円、乙土地に1億円、丙建物に1億円と設定すれば、合計3億円が、(例2)甲土地に3億円、乙土地に3億円、丙建物に3億円と設定すれば、合計9億円が、担保されることとなる。もっとも個々の不動産の担保価値の判断を見誤れば、合計の極度額の額面通りに回収が見込めるわけではなく、全てが個別で扱われるため、共同根抵当のように、全部の不動産によって担保するわけではないので、回収、保全しきれない可能性もある。それから取引関係が流動的なことをメリットと考えるならば、元本確定前の担保譲渡を円滑に行うことができる。

普通抵当と違い、根抵当の場合は原則累積式であり、共同根抵当の方がむしろ特則の様に思えるが、保全、回収の観点から、制度を見てみるとより理解しやすと考えます。累積式なのか共同なのか、保全する側にとっては、その費用対効果も含めると大事なことだと思います。

今回は、かなりマニアックな話題だったかも知れません。
次回は、もう少し柔らかい話題を取り上げたいと思います。

司法書士 大山 真 事務所
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会社役員となったときに変わること

やや抽象的なことかもしれませんが 会社役員になった場合 何が変わるのか 気がついたことを記しました

  • 従業員(使用人)として雇用されていた者が取締役になろうとする場合
    取締役としての地位と使用人としての地位が一応併存すると考えられます。もっとも税務上では使用人兼務役員としての事実認定で問題となったり、社会保障の面でも問題となる様です。
  • 従業員(使用人)として雇用されていた者が監査役になろうとする場合
    会社法上、兼任禁止の規定が存在するので、取締役、支配人その他使用人(例えば経理部長)を兼務することができません。親会社の取締役が子会社の監査役になることは問題になりません。

根本的に、役員は会社との関係では、雇用ではなく、委任の関係になります。故に労基法上の退職・解雇ではなく、辞任・解任となります。もっとも一方当事者が無理無理に辞任・解任ということであれば、役務の不提供・報酬等の期待権の喪失等の問題が生じるため、損害賠償の問題が生じないわけではありません。

税務上では、先に少し記したかもしれませんが、役員給与となりますし、制度上、報酬について定款の定め方にもよりますが、原則株主総会で決することとなります。

この5月から、会社法が改正されたことと、もう既に始まってしまった休眠会社の整理のことも気になりますが、そもそも役員となったときに、これまでの従業員として勤めていた方は、これまでとどう変わるのか、意識をすべきと考えます。

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