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離婚・財産分与

内縁関係解消と慰謝料等請求のこと

こんにちは、今回は、相続や後見から話題が逸れますが、内縁関係の解消時の法律問題について触れたいと思います。

結婚後の夫婦と内縁の違い

まず、前提となる知識として、結婚して夫婦共同して生活していくことと結婚(婚姻)をせずに、内縁関係(程度はあるかもしれませんが同居・同棲していることを想定しています。)に至り、共同生活している場合、戸籍法や行政による税と社会保障の問題はここでは取り上げませんが、男女の関係について、何か違いがあるのかというと、実のところ違いはありません。

判例の態度を見ると、内縁関係にあったものが不仲になり、関係を解消するにあたって、離婚の規定を準用して解決を探ります。そういった意味では、関係解消の原因を作った有責内縁者に対し慰謝料を請求したり、内縁関係継続中に、共同して築いた財産を分与の対象としたり、内助の功を奏してきた一方当事者に対し、他方当事者に対して、補償を求めることもありえます。

どこに訴えれば良いのか?

内縁関係解消の問題は、どこに訴えれば良いのか。離婚の問題に準じて取り扱うので、家庭裁判所に対し、家事調停の申し立てることとなります。
詳細は、当事務所を始め、弁護士事務所、司法書士事務所にご相談いただければと思います。

相続問題は対応できない

さてここまでは、内縁関係にあったが不仲になり、その内縁関係を解消することとなった場合の問題を見てきました。

では、内縁関係の解消といっても、一方当事者が死亡したことによって解消した場合の問題点を見ていこうと思います。

死亡した一方内縁者の相続ですが、他方内縁者は相続人ではないため、民法の規定にある相続人の存在があるならば、遺産について相続することはできません。その一方で、負債についても相続財産であるので、連帯債務者、連帯保証人でもない限り、債務についても責任を負わないこととなります。もしも相続人が不存在であり、他方内縁者以外に特別縁故者がいないならば、最終的には家庭裁判所の事実認定に委ねらえれますが、遺産を引き継ぐ可能性がありえます。

不仲の関係に至った場合は要注意

話が前後してしまいますが、諸般の事情がああり、内縁関係を継続されていることと思います。また夫婦別姓という問題もあって、婚姻届の提出には二の足を踏んでいらっしゃる現実もメディアを通じて、話が聞こえてきます。
婚姻関係と内縁関係、それぞれに至ったのち、不仲になった場合は、その後の紛争処理は、先に見てきたとおり類似しています。故に、ドラマで、内縁関係の二人のうち、一人が突然出て行くというシーンがあり、現実社会でも起きていますが、それ相応に留意が必要なのではないかと思います。別れることを切り出した際に、暴力が伴う可能性があるならば、身の安全の確保が最優先ですが、できることなら、しっかりと清算してから関係を解消することも大事だと思います。

死別による内縁関係解消のことを考えて準備することは?

では、もう少し視点を変えて、死別による内縁関係の解消について、どのような対策が考えられるのか。一応検討してみたいと思います。

遺言書の作成

内縁の夫婦で、個別に遺言書を作成することが、まず考えられます。ただ共同遺言は、婚姻関係の夫婦間でも民法が規定しているように禁止されています。なぜなら、法律関係が複雑になるからです。また共同して作成することにより、遺言者自身の自由な意思にかからしめる期待が軽薄化してしまうことも考えられます。後先という条件を記すことにより、かなり複雑になるかもしれませんが、何も準備せずいると、疎遠だった相続人と対峙することになり、財産形成に功を奏してきた事実が存在しても、証明する材料がなければ、その権利を保持することでさえも、難しくなることが想定されます。遺言書は作成すべきと考えます。

生命保険の活用

生命保険の活用も検討してみても良いと思います。ただ加入する要件が厳しいかもしれませんし、保険料を支払うことが必要にもなります。ただいざというための「生命保険」ですし、連れ合いと死別後の補償を考えてみた場合、やはり活用を検討しても良いのではないかと思います。

結語

さて、いろいろ診てきました。諸般の事情が男女間であって、婚姻関係または内縁関係が存在するわけですが、少なくとも、他人様に迷惑をかけない限り、その男女間の問題ではあります。法律は、基本的には家庭の中に割って入って行くことはしないことが基本姿勢ですが、関係の解消や死別による相続問題などの財産に関係する問題が顕在化すると、やはり法律に頼らざる得ないこともあります。お互いのことを思いやって活きていきたいものですね。

離婚に関する財産分与の相談をお受けいたします。当事務所Webページでも手続きの概要を記しています。ぜひ、ご覧になってみてください。

司法書士 大山 真 事務所
千葉県白井市冨士185番地の21
電話:047−446−33547

近くの公園でも、紅梅が咲き乱れています
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民事信託・遺言・後見・相続 裁判事務

裁判所はなぜ本質的に同じ内容の書類の提出を2回求めるのか

こんにちは、今回は、「裁判所はなぜ本質的に同じ内容の書類の提出を2回求めるのか」について、記したいと思います。

裁判事務手続の後方支援にあたっていると、時折、依頼者から、「裁判所からなぜ同じ質問をしてくるのだろう?」と、素朴に疑問を持たれる方がいらっしゃいます。

今回は、家事事件手続に限って記したいと思います。

申立方法はどのような方法を用いたのか?

まず申立の際にどのような方法を用いたのか、意識する必要があります。

家事事件手続を始め、民事訴訟の訴えの提起でも、実は郵送による方法でも申立は認められます。専門職が行動する場合は、対応が分かれますが、当事務所は、原則、持参して申し立てることをお勧めしています。

郵送による方法で申立てた場合ですが、もちろん裁判所は、受付処理を行い、提出された申立書や添付された書類についても不備がないか確認します。

添付書類を求める理由

次に添付書類の提出を求める理由について記します。なぜ、添付書類の提出を求めるのか。

受け付けた裁判所が審理を扱って良いかどうか

裁判所としては、申し立てを受け付けた裁判所で審理して良いのか管轄の問題があります。相続放棄申述の申し立てを例にとると、被相続人の最後の住所地が記されている「住民票の除票」または「戸籍の附票」が必要となるわけですが、相続の開始した場所を証明するとともに、管轄裁判所の特定をするための証明書として位置づけられます。もしこの「被相続人の最後の住所地を証明する書類」の添付がないと、受け付けた裁判所も一応は受け付けたが、果たして審理を進めて良いのか判然とせず、申立人への照会の際に、「被相続人の最後の住所地を証明する書面」の提出を求めることとなります。

前提の事実・実体の有無の確認

そのほかにも、取り扱う事案によって添付しなくてはいけない書類は変化しますが、取り扱って良いかどうかを確認するための書類や申し立てをしなければならないほどの重要な事実が存在の有無(相続放棄申述の事案で言えば、被相続人につき死亡し、相続が開始している事実)を確認するための書面を添付する必要があります。

他の家事事件として、当事務所では、相手方の特定を慎重に行う必要性が存在する場合、特に相手方と調停の必要がある事件では、その相手方の住民票の写しをあえて提出する場合もありますし、住民票の記載のとおりに生活の拠点が存在していることを知っているのかどうかを依頼者から聴取し、さらに調査が必要になるかどうかも確認しています。

実質的に同じ内容の書面を2回送付する理由

では、タイトルにも記しましたが、なぜ「実質的に同じ内容の書面を2回送付する必要があるのか、その理由について解説したいと思います。

相続放棄の申述を例にとると、添付書面から、被相続人につき、相続が開始したこと、申立人が相続人であることを確認します。そして、郵送による申し立てであった場合、実のところ厳格な申立人の本人確認は、なされていません。他の裁判事務手続きでは、申立人は自らの権利(相続放棄の申述の場合は、どちらかというと消極的利益の事案が多い)の実現をはかる積極的な行動を求められるので、出頭時に裁判所書記官から本人確認を求められることがありますが、相続放棄の申述では、出頭を要する事案は限られ、原則送付による方法で完結します。

一度も出頭せずに完結する事件

それゆえに、照会という形で、再度、申立人の本人の実在性と裁判上の相続放棄の申述をする意思を確認するために「照会書」の提出を求められます。その照会書の質問内容が、実は、申立書に記載すべき内容と同じなのです。なぜ、同じなのか、それは、申立人本人の実在性の確認も兼ね合わせていますが、相続を放棄する意思を確認するための重要な手段として、照会書による回答は位置付けられています。

出頭による申立ての取扱い

では、もし出頭によって相続放棄の申述の申し立てをした場合、どのような扱いがなされるのか、管轄裁判所の事件処理の状況や方針にもよりますが、場合によっては、受け付けられたその場で、本人の実在性および意思確認をして、その場で、受理され、受理通知書が手渡す家庭裁判所も存在するようです。出頭の方が、より現実的なように見えますが、郵送による方法で以って事件背負いをした場合でも、口頭によるものか書面によるものかの違いはありますが、裁判所としての姿勢は同じことが頷けると思います。

結語

今回は、「裁判所はなぜ本質的に同じ内容の書類の提出を2回求めるのか」について、見てきました。なぜ同じことを2度も聞くいのか?! と嫌気がさして、あたかも申し立ての行為そのものを否定されているような気持ちになって「取下げる。」「取下げる。」と豪語していた相談者も過去にいましたが、事件処理する裁判所の立場について、考えてみると、裁判所の行動について、合理性がしっかり存在することが頷けると思います。

司法書士 大山 真事務所では、「相続放棄の申述」についての、相談を受け付けております。なお、当事務所ホームページでも概要を記しております。是非ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
事務所:〒270-1432 千葉県白井市冨士185番地の21

蝋梅です
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民事信託・遺言・後見・相続

特別受益・寄与分,除斥期間

こんにちは、今回は、特別受益・寄与分の除斥期間のことを取り上げます。

早速条文をあたります。民法の規定です。E-Govから引用します。

(期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230401_503AC0000000024&keyword=民法#Mp-At_904_3

とあります。

法令の施行日

さて、この規定、実は令和5年4月1日から施行される規定です。なので、このブログ記事の公開時点では、まだ効力は発生していません。

もっとも、改正により、取り扱いが大きく変わるため、注意喚起を含めて、本ブログ記事に搭載することにしました。

前三条の規定とは

条文の冒頭に「前三条の規定は、」とあります。「前三条の規定」は、前回、前々回取り上げた、「特別受益」、「寄与分」のことです。その規定を時間が経過した場合どう取り扱うのかの規定です。

相続開始から10年経過すると

相続開始時から10年を経過すると、「特別受益、寄与分の主張ができなくなり、純粋な「法定相続分に基づく遺産の分割」を余儀無くされます

全ての相続手続きが対象ではない

但し書きにもあるように、全ての相続手続が、相続開始から10年経過したら、特別受益、寄与分の主張が認められなくなるわけではありません。

但し書きをよくみてみましょう。

10年経過する前に、家裁に申し立てた

まず、第一号です。

 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

E-Gov より

とあります。相続開始から協議がまとまらず、10年経過する前に、家庭裁判所に遺産分割調停等の請求をし、調停成立が相続開始から10年経過することもないわけではありません。

そのような事案で特別受益・寄与分の主張が認められないとなると相続人によっては、不合理な結果になります。この不合理を回避するため、10年の除斥期間は、考慮しないこととなります。

止むを得ない事由によるもの

次に、第二号です。

 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

E-Govより

なかなか難しいですね。

相続開始時から10年経過6ヶ月前から満了までの期間で、家庭裁判所に遺産の分割を請求できない止むを得ない事由が相続人にあった場合、その止むを得ない事由が消滅し、除斥期間経過前に、「…止むを得ない事由があった相続人」は、家庭裁判所に遺産の分割の請求(申立)をした場合、この除斥期間は、考慮しないこととなります。

原則は10年経過すると主張できない

さて、前々回「特別受益」、前回「寄与分」をみてきました。施行後、相続開始から協議がまとまらず、10年を経過したら、「特別受益」「寄与分」の主張は認められず、あくまで法定相続分に基づく遺産の分割を行うこととなります。もっとも共同相続人間が円満であれば、結局実情に合わせ、協議により遺産の分割を成立させることを妨げるものではないと考えられます。
この規定が施行され、様々な相続がありますが、まだ何にも手続きをしていないのは論外ですが、相続開始からなるべき早めに手続きをされることを切に願っています。

経過措置のこと

ところで、既に開始している相続はどうなのでしょうか? このことも触れておきましょう。

附 則 (令和三年四月二八日法律第二四号)第3条に規定があります。E-Govから引用します。

第三条 新民法第九百四条の三.(一部省略).の規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新民法第九百四条の三第一号中「相続開始の時から十年を経過する前」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時まで」と、同条第二号中「十年の期間」とあるのは「十年の期間(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から始まる五年の期間)」と.(一部省略).する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230401_503AC0000000024&keyword=民法#503AC0000000024-Sp-At_3

とあります。施行されると新法の規定が適用されます。

猶予はあります

よく見てみると、その期間は、事実上優遇されることもありうると考えて良いと思います。

まず第一号の読み替えは、相続開始から10年経過する時、または、法律の施行の時から5年を経過する時の「いずれか遅い時まで」とあります。

続けて第二号の読み替えは、10年の期間に括弧書き「十年の期間の満了後に..(一部省略)..法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から始まる五年の期間」があります。

相続手続きの概要は、当事務所Webページでも、紹介しています。ご参照ください。

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綿帽子のたんぽぽと花咲くたんぽぽを前にしての撮影でした。
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民事信託・遺言・後見・相続

寄与分

こんにちは、今回は、「寄与分」のことを記します。

条文を確認

早速、条文を確認してみましょう。E-Govから引用します。

第九百四条の二 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2 (省略)
 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4 (省略)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220401_430AC0000000059&keyword=民法#Mp-At_904_2

さて、民法第904条の2第一項を見てみましょう。

寄与分を主張できる人

冒頭に、共同相続人中に、

  • 被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付
  • 被相続人の療養看護その他の方法

上記のリストにより、「被相続人の財産の維持又は増加について、特別の寄与した者」

が寄与分を主張できる相続人と言えます。

上記のリストに掲げられている行為により、被相続人の財産が維持されもしくは財産の増加に一躍をになったことと言えます。ただ、普通の寄与ではなく、「特別の寄与」とあります。この「特別の寄与」ですが、条文等に、具体例は明文化されてはいませんが、配偶者が上記のリストを実行したとしても、さほど認められないのは、実務のようです。もっとも生存配偶者は、法定相続分が、多く設定されていることも、理由の一つと考えられています。

寄与分を考慮した相続分の計算

次に、寄与分を考慮した相続分の計算について見てみます。

条文では、「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。」とあります。まず相続開始時の相続財産は、

みなし相続財産=
相続開始時の財産ー共同相続人の協議で定めたその者の寄与分

となります。こうしてみると、共同相続人間で協議をして控除する寄与分を決めることが、条文からわかると思います。

そして、寄与分を含めて相続分を受ける相続人は、

寄与分を含めた相続分=
「みなし相続財産から法定相続分に基づいて取得した相続分
+「寄与分」

となります。

具体例

では、具体例です。被相続人Aの相続開始時の財産が金5,000万円、相続人は、生存配偶者B、AとBの間の子C,Dがいる。Dは、Aの事業に対し労務の提供をし、共同相続人間で、協議した結果、Dの寄与分は金1,000万円とすることで、調った。

ではみなし相続財産を計算すると、

金5,000万円(相続開始時の財産)
ー金1,000万円(協議して調った寄与分)
=金4,000万円(みなし相続財産)

となります。そうすると、各相続人の相続分は、

Bが金2,000万円、Cが金1,000万円、
そしてDが金2,000万円(みなし相続財産から金1,000万円+寄与分金1,000万円)となります。

寄与分はどうやって決める?

寄与分の決めからは、条文をみると、協議で決めるとあり、協議が調わない、協議をすることができないときは、寄与分を主張する相続人から、家庭裁判所に対し、寄与分を決める請求(申立)をすることができます。請求を受けた家庭裁判所は、「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。」とあります。こうしてみると、家庭裁判所に請求する場合は、単に申立てだけすれば、主張したことが認められるわけではなく、上記にリストに上がっている事実が認められる証拠を提出していくことが必要だということがわかります。その上で、家庭裁判所が寄与分を定めることとなります。

寄与分の上限額

協議によっても、家庭裁判所への請求によって定まるにしても、第904条の2第3項の規定にあるとおり、遺贈の価格を侵害してはいけないことが記されています。すなわち、
相続開始時の財産から遺贈の価格を控除して得られた残額が寄与分の上限、ということになります。

家庭裁判所への請求について(実務上の経験も含む)

さて条文には、家庭裁判所への請求ですが、認知の問題がない遺産の分割の調停の申し立て、認知後の相続人からの遺産の分割に対する請求もあった時にすることができるとありますが、実務では、遺産の分割調停の申立てと寄与分の申立ては、別々の申立と考えられています。遺産分割調停の継続中に、相続人の一人から寄与分が主張されましたが、家庭裁判所から「寄与分は別で申立てください。」と案内があったようです。その上で、併合して調停を進めていくものと思われます。

さて、いかがだったでしょうか、次回は、改正民法によって、この「寄与分」と先の投稿で取り上げた「特別受益」について、どう影響があったのかを取り上げたいと思っています。

遺産の分割手続きについて、当事務所Webページでも紹介しております。ぜひ、ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
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桜の開花が一巡し、ネモフィラが綺麗に咲き始めました
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離婚・財産分与

離婚にまつわる法的期限のこと

こんにちは

ときおり財産分与のことをはじめ 離婚のこと 離婚後のことを相談に来られる方がいらっしゃいます

そこでですが 離婚に伴って 法律上意識しなければいけない期限のことを記していきたいと思います

まず 財産分与 に関する相談を よく受けます

この財産分与ですが、離婚後2年内になんらかの措置が必要になると言っても良いと思います。
裁判所を使っての財産分与をご検討されるならば 離婚後2年内という期限が設けられています
もっとも離婚そのものも裁判所の手続きをされているのであれば 財産分与も併合して審理してもらう方が合理的であると考えられます

 財産分与と考え方が類似していますが もっと厳格な手続きが要請されているものとして 年金の分割があります。
 この年金の分割請求は、実質日本年金機構に請求する必要があり、場合によっては公証役場または家庭裁判所の力を借りる必要があります。
 詳細なことはあまり記しませんが、合意分割を求めるならば、協議もしくは家庭裁判所での調停・審判手続きを経て、日本年金機構に対し、分割の請求をする必要があります。また3号分割の制度もありますが、こちらは相手方の関与は、合意分割と比較すると、無いに等しいですが、それにしても、日本年金機構への請求が必要です。その請求の手続きは、原則、離婚成立の翌日から2年内にしなければなりません。期限を過ぎてしまうと、もはや分割の手続きができない仕組みとなっています。

さて財産分与のことを取り上げましたが、次に意識してほしいことは、慰謝料の請求です。

この慰謝料ですが、不法行為に基づく損害賠償請求に準じた考え方を取っているため、相手方の不貞行為(不法行為)を知ったときから3年内に請求する必要があります。このことは不貞行為に及んだ(元)配偶者の相手に対しても同じことが言えます。

 不法行為に基づく損害賠償請求に関する消滅時効は、一般債権例えば債務不履行に基づく損害賠償請求権と比べると、時効の起算点は、実は被害者に対しての配慮があるといえばあるのですが、早期に解決することも大事なことでもあるため、知った時から3年で消滅時効により消滅、除斥期間として行為の時から20年で消滅と定められています。何れにしても 早め早めの施作が必要です

離婚は、婚姻のときと違い 子供に関すること 財産に関すること そして生活していく上で 収入の変動が大きいもので とても手が回らないことが ほとんどです

故に 離婚に伴う諸問題について悩んだり ご自身だけで手続きを進めるのではなく 司法書士事務所・弁護士事務所等にアクセスされた方が 手続きが迅速に進むことも多いに考えられます

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