こんにちは
今回は「名義変更」、請負・委任について、記してみたいと思います。
「名義変更」について
相続の相談、特に電話での第一報でよく出てくる言葉です。一般の方は、単に名義が変わるという意味から、「名義変更」と言葉を用いてるのかもしれません。もちろん登記の目的で本当の名義変更という申請形態もあります。それは、所有者の氏名が婚姻離婚養子縁組離縁等で変わった事象の際に、「名義人氏名変更」と呼んでいます。
では、相続に伴う、被相続人から相続人への登記申請は名義変更とは呼ばず、所有権移転登記(被相続人が共有持分のみ保有しているならば、持分全部移転登記申請)と呼んでいます。
名義を変更してほしいと言っても、単に氏名が変わっただけではなく、相続により権利の主体(所有者)が変わったため、登記申請が必要になった、ということなのです。
権利の主体(所有者)が変わった以上、同一人物の氏名が変更になったときと違い、結果的により厳格な書類による審査が必要になります。揃える書類が「単なる『名義変更』」のときと比べ、多くの書類が必要になるのです。
必要書類等の詳細は、次回以降のブログで記そうと思います
さて次に、「請負・委任」について
「請負」は仕事の完成が将来確実に存在し、その完成に向かって仕事をすすめ、その仕事の結果(完成)に対して報酬を支払う契約です。故に請負の場合、平たく記すと仕事の完成というゴールがしっかり存在するということです。
一方、委任は「法律行為をすることを相手方に委託」し、委託を受けた側が承諾することによって生じる契約です。ここで留意すべきことは、法律行為をしたことによる効果は、委任者(託した人物)の期待通りになるのかどうかは、不確定であるということです。
もちろん委任を受けた人(受任者)は、善良なる管理者と同等の義務があり、委任者の希望どおりに添えるように最大限に事務に当たらなければならないが、状況の変化によって事務処理の結果如何が功を奏するのかどうかは確定しておりません。この点が請負とは違ったものと言えます。
さて、いろいろと記しましたが、相続問題の解決について、最終的に登記申請をとお考えの方から、問い合わせがありましたが、単に「名義を変更する。」のではなく、所有者が変わる、依頼については、仕事の完成というものではなく、登記申請する法律行為を委託する委任契約というものであり、契約の性質上、単に「幾らですか?」と問われても、前提の準備がどれくらい整っているのか、そもそもこの人が所有者となった事実が存在するのかなど確認をする必要があり、電話のみでは費用報酬の見積は確定することはできません。
もちろん、相続手続きそのものについて後方支援もしてほしいという依頼もあります。その際には、各書面の起案にも対応しますが、詳細な事情を聞かなければ、見積ることができないのが実情です。
先の投稿で、報酬のことも少し触れましたが、被相続人の遺した財産、相続人の数、遺産の分割の内容によって、見積額は変動します。
最後になりましたが、何をどこまで依頼するのかも大事なことだと思います。
単にわからないわからない とおっしゃりながら問い合わせがありますが、何がわからないのかを確認することも大事だと思います。実際にあった話ですが、不動産の登記申請が税金の確定申告の一環だと大きく誤解をされている方もいらっしゃいました。
あと2年経つと、相続による移転登記申請は義務化されます。相続開始から3年、遺産の分割から3年経過すると10万円以下の過料の制裁があります。今まで、相続による登記をしてこなかった方も、そろそろ考えても良いと思います。
相続に関する相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357