カテゴリー
事務所より

署名押印の前に確認しましょう

先日 ある契約書をたまたま拝見することがありました 某企業からの消費者向け契約書面だったのですが 内容が2つ盛り込まれている基本契約の申込書で、複写式になっており、2枚目,3枚目が個々の契約それぞれに掛かる金融機関に対する振替依頼書となっており、そして、再度企業側の控え、そして最後に消費者が保管する契約書(控え)という構成になっておりました。

この二つの契約申込の意思確認は、いわゆるチェックボックスにレ点を記す型式となっていました。

契約にかかる規約に目をとおしてみて見ると、二つの契約は必ずセットで申込まなければならないわけではなく、どちらか一方を選択し、他方は選択しなくてもよいというものでした。一方、契約書を見てみると、各用紙の申込届出印(こちらは契約の申込みの意思表示を担保させるための)押印欄と金融機関届出印(いわゆ銀行口座への届出印を押印することによって口座振替により引落しへの指図・同意)欄の全てに押印して下さいとありました。

そうすると、う〜〜ん、この記載を漫然と読んで性善説的に読んでしまうと、「一方のみの契約かどうかは、いわゆる『レ点』で確認するので、とにかく押しておいてほしい」と読み取れます。もしも、運悪く、チェックボックス欄に、傷が入ってしまい、何かの間違いで、事務手続が諮られてしまうこともないわけでもないでしょうし、曖昧な形で申込をしてしまったと同じこととなってしまいます。

今日は、信頼されている都市銀行においても業務上横領事件等の不祥事が起きている時代です。こんな時は、相手方から出てきた書式を漫然と鵜呑みにせずに、一読し、疑問に思ったら電話で問い合わせる、時間をかけて説明を求めることをお勧めします。その上で、どうも気が進まないのであれば、その場では押印せずに、回答を待ってからでも遅くはないと考えます。

ところでその事案ですが、部署が違っていたのですが、どうにか関連会社の従業員に話をしたところ、「クレジットカードの申込でもそうではありませんか?」と発言があったので、「今日においては、消費者に関する契約、特にクレジットカードの被害が多発しているので、契約申込書は、(そちらが準備された書面より)もっと丁寧ですよ。」と話をしました。

やり取りを終えた後、「事故や事件が起てもおかしくないような気がするのだが、その企業からの不祥事はあまり聞いたことがない。」と思い返しました。もしかしたらそれ相応の方しか申し込まず、企業側のモラルがしっかりしていらっしゃるのかな、そうも感じました。そして、万が一、消費者側にとって気に入らない契約内容だったと気がついても、直ぐに契約解除をし、大げんかする程、ご縁を切るためのコストはかからないと、始めから織込済みで契約に挑んだのかなと、少し想像を膨らませてみました。

もっとも 注意することに越したことはありません。契約書の内容は、しっかり確認しましょう。わからないのであれば、わかるまでの説明を求めましょう。

契約書の起案(ドラフト作業)を支援致します
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

カテゴリー
会社・法人・企業法務

会社の定款は、定期的に見直しましょう

こんにちは

今回は 会社・法人の定款について 少し記したいと思います

最近まじまじとご覧になったことはございますでしょうか

実は 法務に携わっている方であれば とても身近なものなのですが 日常業務に追われてしまい 特に必要に迫られることがない ということであると 保管されているのかどうかもわからない ということもあるのかもしれません

時折 遭遇するのですが 歴史のある会社さんでさえ 設立当初の定款だけが存在し 現在の法令に準じた内容でなないことはもとより 現在登記されている事項とはかけ離れた 書面としての定款が存在しているケースが見られます

書面としての定款の管理 そして内容としての定款は一年に一度は見直すのが理想です

上場会社ではないのだから というご意見を持った方が時々いらっしゃいますが 会社法を始め 各法令はマイナーチェンジも含めて毎年改正が行われています 法令遵守 コンプライアンスを意識するのであれば 定款の見直し作業は必要と考えます

少しだけ気になることですが 設立の段階で 当事務所も定款の起案から作成及び認証申請の手続代理まで委任事務を受けることがありますが その際に クライアント自身が 会社成立後 逐一法令を参照する必要がないように 重要な法令等の規定でも 敢えて定款に記すことがあります また会社法が施行されてから 定款自治を広く認められることとなりました それ故に 設立当初は最低限の規定だけを置き 事業拡大とともに 現在の定款では対応しきれないこと事態が想定されることもないわけではありません

定款の内容を定期的に見直して 書面としての現行定款をしっかり整備されることをお勧めします

定款の見直し作業につきまして 相談を御受け致します
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

CIMG6600

カテゴリー
事務所より 会社・法人・企業法務

採用は慎重に…

こんにちは

とある飲食店で 4月に見慣れない店員が2名程いたはずなのですが 5月になって全く姿が見えないので、他店に異動したのですか? と問うたところ なんと、早くも自己都合退職されたとのこと…。

なぜにそうなったのかはよくわかりませんでしたが 従業員を増員したいお気持ちはわかるのですが よくよく慎重にならなければ 元の木阿弥どころか 募集に掛けた費用 雇い入れから退職までの教育費、退職者が今まで働いた!?!給与そして税務・労務手続等を考えると マイナス面ばかりが大きく出てきてしまいます

もっとも いなくなるだけならば まだ良い方かもしれませんが 紛争問題に直結することも 事案によってはないわけではありません

数回の面談・面接・筆記試験で 全てを見抜くというのは至極難しいと思いますが 面談時の受け答え、提出された書面の体裁や自書していたら その筆記に丁寧さが見られるのか等 技能的なことは二の次にしても よく見るべきと考えます

それから これはよく聞くことかもしれませんが 募集が常に出ているところほど 定着しないことが裏付けられてしまうこともあります またSNSで募集するのはどうかと聞かれることもありますが そのSNSはだれがよく見ているのかを意識した上で 運用された方がよいと考えます

ふと気がつきましたが 最近ではSNS等で 閲覧で一部の方のみとなっていても 経営者が自らタイピングして 従業員が退職されてしまった事実について あたかも経営者自身は正しいことをしているかのような投稿は 記すべきではないと考えます なぜなら採用を決めたのは 他ならぬ経営者であり その采配について 自身はうまくできないと公言していることと同じと考えることができるからです 公開範囲にもよりますが もしかしたら顧客等の取引先も閲覧していると考えただけでも 投稿したことによる効果は 決してプラスには働かないと考えます

やや労務的なことかもしれませんが 紛争を未然に防ぐ一番の方法は 採用をもっと慎重にすること これが最善の策であると考えます

ということで 前回はあまりにもマニアックだったのでもう少し身近なことを記してみました

契約書のドラフト(起案)の相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

カテゴリー
会社・法人・企業法務

共同と累積式の根抵当権の違いについて

少し気になったので 記してみたいと思います

少しネットサーフィンをしていたのですが 司法書士受験生は 出題に大きく影響するため 登記事項が気になるし また資格試験受験機関の講師も 受験に関する知識以外は あまり触れない 一方実務においては 比較的信頼できる機関からの依頼であれば 渡された書面に基づいて 申請すれば良いだけなので あまり気にしないのかもしれないが 表題の違いを登記ではなく 法律上の効果という観点で記してみたいと思います

共同根抵当は、複数の不動産について共同担保の関係で根抵当権を設定する約定担保物権であり、対債務者に対する担保される不特定の債権の、極度額、債権の範囲を複数の不動産が共同して担保するということである。なんだかわかりづらいので、もう少し具体的に記すと…

甲土地、乙土地、丙建物が共同担保の関係で、極度額3億円で共同根抵当権を設定すると、3つの不動産で極度額3億円の枠内で担保するということである。

一方、累積式根抵当権では、甲土地について根抵当権設定、乙土地について根抵当権設定、丙建物について根抵当権設定と(敢えて個別に記したが)それぞれについて設定する。その効果として其々の不動産が極度額の範囲で担保する。例えば、極度額を甲土地につき1億円、乙土地につき1億円、丙建物につき1億円という具合にである。

設定と(残念なことかもしれませんが)実行時の手続の違いについて記すと以下のとおり。

共同根抵当の場合、事務手続は概ね1回で済むと考えられ、設定時のいわゆる登録免許税は極度額で定まるが、一回の設定登記申請で済むので、極度額に税率を乗じて得られた税額で済む。実行時の申立てについても確実に一回で済む。
また担保価値について曖昧さが存在する場合でも、複数の不動産が共同して担保するため、仮に一部の不動産につき(結果的に)担保価値を見誤った場合でも、他の不動産によって担保されるというメリットが存在する。デメリットとしては、一部の不動産について、担保を解除してしまい、後日残りの不動産について実行した場合、事実上後順位担保権者に優先弁済権を奪われる場合があり得る。もっともこのことは普通抵当の共同担保の関係と同じである。

累積式根抵当の場合、事務手続は、不動産の個数分必要となり、其々の極度額に対し、登録免許税が課税されるので、共同根抵当権と比べると高額となる(後記の例で税率を其々乗じて、税額を計算すると、先の共同根抵当のときと比べると登録免許税だけで3倍の納税が必要となる。)。共同根抵当のときに比べると額面のみを見た場合、其々の不動産が極度額の範囲で担保する。例えば(例1)極度額を、甲土地に1億円、乙土地に1億円、丙建物に1億円と設定すれば、合計3億円が、(例2)甲土地に3億円、乙土地に3億円、丙建物に3億円と設定すれば、合計9億円が、担保されることとなる。もっとも個々の不動産の担保価値の判断を見誤れば、合計の極度額の額面通りに回収が見込めるわけではなく、全てが個別で扱われるため、共同根抵当のように、全部の不動産によって担保するわけではないので、回収、保全しきれない可能性もある。それから取引関係が流動的なことをメリットと考えるならば、元本確定前の担保譲渡を円滑に行うことができる。

普通抵当と違い、根抵当の場合は原則累積式であり、共同根抵当の方がむしろ特則の様に思えるが、保全、回収の観点から、制度を見てみるとより理解しやすと考えます。累積式なのか共同なのか、保全する側にとっては、その費用対効果も含めると大事なことだと思います。

今回は、かなりマニアックな話題だったかも知れません。
次回は、もう少し柔らかい話題を取り上げたいと思います。

司法書士 大山 真 事務所
TEL : 047-446-3357

カテゴリー
事務所より

個人情報と詐欺事件に関する報道をみて

こんにちは

あまり 業務とは関係がありませんが…

年金に関する個人情報のことや某自治体(業界では窓口の対応は決して良いものではなく やや行き過ぎではないのか?!?と思えるくらいに対応していたことを覚えています)の職員がプライベートで住民の個人情報を閲覧していたりと なんだか 自身が知らないところで 情報が本当に 一人歩きしていると感じます

さらに 個人情報の漏洩の報道があった そのことで便乗するかの様に 詐欺事件が増大していますし そのことの虞れからか 年金事務所への問い合わせが殺到しているという話も聞きます

落ち着けと言われても なかなか難しいことかもしれませんが 基本的に 情報が漏洩してしまった事実を削除することはできません 今のところ 電話がかかってきても すぐに行動には移さず 必ず別の方法で かかってきた電話が正しいところからの連絡なのか 確認する作業をすべきと考えます

役立つことを信じて 日本年金機構のwebサイトの詐欺に関する注意のページのリンクを貼っておきます

国民年金保険料の強制徴収の取組強化などに関連した保険料詐取にご注意ください | 日本年金機構

注意しましょう

司法書士 大山 真