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民事信託・遺言・後見・相続

相続手続は早めに取組むべきです

※2017年4月6日 3:08 PM に投稿したものですが、再構成、再投稿しました。
そして、令和6年4月1日から、相続による不動産の取得については、登記申請が義務化されます。詳細は、以下のリンクをご覧ください。


こんにちは

4月に入り、暖かい日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

同業者のある発言

さて先日、依頼者との面談の席で「以前(亡くなられた御)主人の友達(司法書士)から「売ったりしなければ 相続手続なんてしなくていいんだよ!」と言われましたが…、という発言がありました。

同業者に対し、「なんと無責任な発言をしたのだろう。」と感じました。

相続手続をしなくても良い相続人は、存在するのだろうか?

相続手続をしなくても問題ない方は、ご自身以外の共同相続人が存在しない方に限られます。

生存配偶者が、唯一の相続人である場合

例えば、生存配偶者が唯一の相続人であり、ご自身以外に子、直系尊属、兄弟姉妹そして甥姪も存在しない場合や順位に該当する相続人一人しかおらず、他の共同相続人がいない場合、確かに相続手続きを積極的にしなくて良いと言えます。なお、甥姪を敢えて記しましたが、被相続人が死亡する前に兄弟姉妹が以前に死亡していた場合は、甥姪がその兄弟姉妹の代襲相続人として存在する可能性があり得ます。

生存配偶者が存在せず、順位に影響ある相続人の場合

では順位に含まれている相続人の場合は、その順位のどなたかが相続について承認すれば、その準備で留まるので次順位の問題は、無くなります。該当する順位の相続人がすでに他界してしまっている、もしくは相続放棄の申述をし、家庭裁判所に受理されていれば、その方の関与はあり得ませんが、他の共同相続人が存在します。その他の共同相続人について相続が開始すると、関係当事者が増えてしまうことが、容易に想像できると思います。

そうすると、遺産分割協議等の手続をする必要がない方は、極々限られてきます。

ところで、なぜ問題となる可能性があるのでしょうか?
それは手続をせずにいると、他の相続人が亡くなられた場合、その亡くなられた相続人の相続人が被相続人の権利義務を相続するからです。
もし遺産をどのように分けるのか、その協議が調っていなかった場合は、その相続人の相続人も協議に参加しなくてはならないのです。

相続手続を遅らせると、意図しない人物の関与が必要なことも?

抽象的に記したので、臨場感が湧かないかもしれませんが、もう少し現実味のある話として例えば、ツレが亡くなり、その後、共同相続人の子どもが亡くなると その子の配偶者(嫁婿)及び子(孫)が相続手続、協議に参加しなければならない、ことになります。お孫さんであれば、まだ話をまとめることは難しいことではないと思われますが、姑嫁、舅婿との話し合いが上手く行くのかどうか、お互いのこれまでの接し方によって大きく左右するのではないかと、個人的には考えます。

不安定な権利関係から、相続手続をすることにより恒久的な権利を確保することが大事ですね!

相続手続きの概要については、当事務所のWebページをご参照ください。

相続手続の相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

春ですね、桜の花が今すぐ咲きそうです。
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事務所より 民事信託・遺言・後見・相続 法教育

相続登記の主登記,付記登記

こんにちは、今回は、不動産登記、特に相続登記の主登記と付記登記のことを記します。

なんだか、マニアックな題名だなと思いながら、投稿を記している段階では、適切な題名が浮かばないので、そのまま記しました。実は、相続のことと改正後の不動産登記の実務に大きく影響するので、おさらい・確認の意味を込めて、記そうと思います。

まずは条文を当たる

まず条文を当たります。引用元は、E-Gov からです。不動産登記法の第4条および第66条の規定です。

驚いたことに主登記と付記登記の定義は、第2条の定義規定の中にはありませんでした。そうすると、直接記載されている規定を当たったところ、以下の2か条にその記載があります。

詳しく見ていきましょう。まず第4条から

(権利の順位)
第四条 同一の不動産について登記した権利の順位は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記の前後による。
 付記登記(権利に関する登記のうち、既にされた権利に関する登記についてする登記であって、当該既にされた権利に関する登記を変更し、若しくは更正し、又は所有権以外の権利にあってはこれを移転し、若しくはこれを目的とする権利の保存等をするもので当該既にされた権利に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいう。以下この項及び第六十六条において同じ。)の順位は主登記(付記登記の対象となる既にされた権利に関する登記をいう。以下この項において同じ。)の順位により、同一の主登記に係る付記登記の順位はその前後による。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123_20210428_503AC0000000024&keyword=不動産登記法

(権利の変更の登記又は更正の登記)
第六十六条 権利の変更の登記又は更正の登記は、登記上の利害関係を有する第三者(権利の変更の登記又は更正の登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)の承諾がある場合及び当該第三者がない場合に限り、付記登記によってすることができる。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123_20210428_503AC0000000024&keyword=不動産登記法

不動産登記法第4条をよく見てみる

どうやら第4条の第二項の括弧書きに、その記載がありますね。
以下は、その括弧書きを抜きだしてみたものです。

「権利に関する登記のうち、既にされた権利に関する登記についてする登記であって、当該既にされた権利に関する登記を変更し、若しくは更正し、又は所有権以外の権利にあってはこれを移転し、若しくはこれを目的とする権利の保存等をするもので当該既にされた権利に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいう。以下(省略)。」

とあります。

まず、前提として権利に関する登記であること。

次に所有権に関する登記と所有権以外の権利に関する登記について、意義づけが分かれます。

所有権に関する登記について注目してみると、以下のことが読み取れます。

  1. 既にされた登記についてする登記
  2. 当該既にされた登記を変更し、もしくは更正する

ここで、留意しなければならないのは、条文には、謳っていませんが、権利の主体に完全な変更はないことです。例えば、「法務太郎」さんが不動産の所有者として登記されていたところ、結婚を機に、「民事太郎」さんに名前が変わったとしても、それは、「氏」苗字が変わっただけで、所有者が別人になったわけではなく、登記名義人の氏に変更があったので、その変更登記申請をすると付記登記がなされます。
 詳細は別の機会にしますが、権利の主体が完全に変わってしまう場合や先に引用した第66条の規定のとおり、登記上の利害関係を有する者からの承諾がなければ、更正・変更登記申請による付記登記はすることはできない事案もあるにはあります。

念のため、所有権以外の権利についても、その付記登記の運用の仕方を確認しておきます。もう一度第4条の規定をみて、括弧書きの、「又は」以下の記載の抜粋を以下に記します。

又は所有権以外の権利にあってはこれを移転し、若しくはこれを目的とする権利の保存等をするもので当該既にされた権利に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいう。」

とあります。所有権以外の権利というとなんだかいっぱいありそうな気がしますが、実は9種類しかありません。それらの9種類の権利は、乙区に記載されるわけですが、その保存、設定された権利の登記について、権利の移転があった場合、その権利の上に設定したまたは保存した場合は、所有権に関する登記とは違い、付記登記によって公示されます。もちろん登記された所有権以外の権利に関する登記についても、変更・更正し一体として公示する必要があるものは、付記登記でなされます。

変更更正の登記について詳細を確認するなら、第66条もしっかり見なけければならないのですが、今回は、相続により所有権を取得した際の登記に関することを記そうとしているので、第66条の規定の解説は、別の機会にしたいと思います。

改めて不動産登記法第76条の3を見てみましょう

以上のことを踏まえて、不動産登記法第76条の3を見てみましょう。引用は、E-Govからです。

(相続人である旨の申出等)
第七十六条の三 前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
 前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。
 登記官は、第一項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。
 第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
 前項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
 第一項の規定による申出の手続及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123_20240401_503AC0000000024&keyword=不動産登記法#Mp-Ch_4-Se_3-Ss_2

さて相続登記が義務化されたのですが、遺産の分割協議がまとまらず、立ち往生する事案も確かにあるにはあります。そうすると相続による共有状態が生じるわけですが、最終的に誰に帰属するのか判らないため、登記申請ができないという事態も生じます。
それでは登記申請をしなくて良いのかというと、それを認めてしまうと、元の木阿弥となってしまい、政策的に目指したにも関わらず法の抜け穴となりうるため、現在、その相続による共有状態が生じていて確定的ではないにしろ、その不動産(正確に言うと相続分に基づく持分)の権利を保有している人物が誰なのかを登記簿上把握させるための制度として、第76条の3が新設されました。申出をすると、登記官は同条第3項を根拠に「『付記する』ことができる。」とあります。

付記登記の意義づけを再確認する。

さて、ここで「付記」という言葉が出てきました。その内容は、第4条と類似します。ただ相続があったということは、権利義務を包括承継し、主体も相続人に移っているはずですが、後に遺産の分割により、第三者の権利を害さない程度に、相続の時まで効力が遡り、結果的に協議により不動産を取得(承継)した相続人が、相続によって取得し、その不動産の相続人となるわけです。換言すると「付記」のままでは、完全に権利の主体が変わったことを公示しておらず、相続によって権利を取得した登記をしたことにはならないのです。

さて冒頭に記した付記登記の仕組みを見た上で、法第76条の3を再度よく見ると、法第76条の3の規定に基づいた申し出をしたのちに、相続人間で協議がまとまったときから3年以内に相続の登記申請をしなくてはいけないことがよくわかると思います。

申出をしただけで、相続登記をする義務は、最終的に免れるか?

 ところで第76条の3第2項のみなし規定は、「第76条の2第1項の規定に基づく登記の申請する義務を履行したものとみなす。」とあります。この規定は、第76条の2第1項の登記を受けたいと考える相続人もいれば、そうでない相続人もいるかもしれません。
そもそも第76条の2第1項の登記は、単有もしくは一部の共同相続人で不動産を取得した相続人がする登記申請の義務を負うことを指すこともあれば、法定相続人全員が登記名義人として登記を受ける保存行為としての登記の性格の規定であるようにも見えます。ただし、後者の取り敢えず法定相続に基づく登記申請だけしておく場合でも、当該登記申請だけでは、その後、共同相続人全員で売却し、金員を受けるのか、それとも協議が整わず相続人間で紛争が生じている過程で、一共同相続人の権利を保全するために登記を受けたのか判然としないため、登録免許税は租特法の適用を受けることなく、本則で課税されます。
そうすると事案によって多少の違いはあるにせよ、一回で済ませられる登記を複数回に分けて行う登記申請手続である以上、登録免許税は結果的にほぼ同額となり得ますが、添付しなければならない書面の準備負担が大きく異なってきます。そのことを考慮に入れると安易に法定相続に基づく登記申請をすることを敬遠する事案もあると思います。

実体上、遺産分割協議が争っているため長期化している事案もある最中、法定相続に基づく相続登記は抵抗感を覚える事案もある

もっともその時点で相続により不動産を取得する相続人が確定していないにも関わらず、事情を知らない法務局では、法第76条の2第1項を根拠に過料の制裁の手続きせざるを得ない事態となります。そこで、この申出をすることにより、「申請する義務を履行したものとみなす。」の規定により、当該制裁を回避できると考えられます。後の通達等で解釈が明らかにされると思いますが、この規定の効果は、申出をしてもらえれば、過料の制裁から回避することを意味しているに過ぎないと考えられます。

昨今の市区町村の固定資産税課の対応を見ていて

相続手続きは千差万別ですが、登記申請を始め、相続手続きの経費は、抑えたいという心理が働くようです。そう考えてみると、早期にしなくても問題ないですよ、いつでもいいですよ、と言っていた某市区町村の固定資産税課の職員の言葉と、その言葉を聞いた相続人であろう来庁者の安堵した顔を私はよく覚えていますが、今時は、そのようなセリフは聞かなくなりました。現時点で、国土に換算すると、九州分の土地が、所在者が不明または誰と交渉して良いのか判らないくらいの広さまでになるそうです。

不動産登記法の改正の報道を見ていて

不動産登記の改正を受け、浮き足立つ報道機関、SNSで「それは誤解だ」と豪語する同業者等を見てきましたが、現場(法務局)でどれほど説明をしなければならないのか、これから骨が折れる作業がありそうだと思われます。もっとも今の社会は、冷静に細かく取り上げても、皆さん時間がないのでしょうね、しっかりご覧になってくれることはあまりないのかもしれませんし、丁寧に対応しようとすればするほど、煙たがられる傾向もあるようです。それほど慌てても、苦労することは落ち着いて取り組んでも同じですよと言いたいのですが、それだとだれも(法務局に)来てくれないと行政は考えたのかなと感じました。

いろいろ記しました。機会を設けて、もう少し整理して発信していこうと思います。

長文をご覧になっていただいてありがとうございました。

相続手続きについての概要は、当事務所ホームページをご覧ください。
なお、相談は随時受け付けております。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357


梅の花です 青空の下は映えますね
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相続証明書の入手の難しさ

こんにちは、今回は、相続証明書のことを記そうと思います。

相続証明書ですが、法令上は、不動産登記令の中に「相続を証明する….情報」とありますが、しっかりとした定義はされてはいません。

なぜなら、個別具体的な事案では、千差万別だからです。

相続証明書のうち、共通している書類

ただ共通していることは、あるにはあります。

まず1点目は、被相続人の戸籍全部事項証明書等の書類は必要です。現在でも戸籍謄本という言葉が、よく使われます。この文言の方が、周知されていることに基づいているからだと思います。現在、運用されてる戸籍簿は、紙では存在せず、電磁的記録として保管されているにすぎません。電磁的記録では、直接見ることができないため、閲覧制度も無くなりました。現在でも学術調査等で、戸籍住民票を制度的に閲覧はあるようですが、それにしても電磁的記録で管理されています。
少し脱線しましたが、被相続人の戸籍に関する書面が必要です。ではその範囲ですが、死亡時の戸籍から概ね13歳前後まで遡ります。また名称によって「改製原」や「除籍」という言葉が用いられることもあります。

相続人に関する書類のこと

次に、2点目ですが、被相続人の戸籍が揃ったら、次は、相続人の戸籍を集めます。この段階で、被相続人の死亡時の戸籍に現在の相続人の記載があれば、その戸籍は、被相続人の戸籍と相続人の現戸籍を兼ねますが、婚姻等で除籍の旨が記載されているならば、その後設けられた戸籍謄本等が必要になります。この別に設けられた相続人の戸籍を入手することが、請求者が戸籍簿に搭載されていない場合は、入手困難を極めます。自治体によっては、「では、その相続人(請求している相続人からみて兄弟姉妹)からの請求があれば対応します。」と言われ、対応してもらえない事案もあるようです。

専門職が関与した方が迅速性が、大いに図られる

この点が、法律専門職が関与する場合と異なるようです。もっとも登記を受ける相続人からの依頼がなければ対応できないことは言うまでもありません。以前ある自治体に、対応の違いを問うたところ、専門職の関与があれば、請求する意思に間違いない旨の蓋然性があること、また請求する理由と通数において不当性違法性があった場合は問題だが、請求する理由に間違い問題がなければ交付するとのことでした。

順位の関係

相続人が子だけの相続人の場合、各自が準備してもらえるようであれば、つつがなく手続きは進むと思われます。相続人が兄弟姉妹となると、兄弟姉妹自身の戸籍を準備することはもちろんのこと、尊属の戸籍を入手しなければならないこともあり、収集の難しさは、格段に上がります。
兄弟姉妹が相続人である場合は、相続証明書の収集について、被相続人の戸籍の入手から、当事務所か専門職にご依頼されることを強くお勧めいたします。

なお、相続手続の概要について、当事務所Webページでも、ご紹介しています。ぜひご参照ください。

相続に関する相談を承ります。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-4467-3357

先日公園で見かけた鷺
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対抗要件の関係により相続登記は何時でも良いわけにはいかない

こんにちは、今回は、相続したことによる不動産登記申請義務に関すること、また対抗要件の付与の観点から、相続登記は何時でも良いわけにはいかなくなりました。今回は、そのことをもっと掘り下げてみようと思います。

日本全全国で何が起きているのか?

視野を広げると 日本の国土として なんと九州全土に匹敵するくらいの土地が、誰の所有だかはっきりしないということです。

だからどうしたのか?と感じるでしょうか。それは大変だねぇと感じるでしょうか?

これまでの市区町村の固定資産税課の態度

確かに、今まではそうでした。故に某市区町村の固定資産税課では、登記なんて何時でも良いのですよ!と指導をしていたくらいでした 。別に税金の徴収ができればよく、周囲に迷惑がかかっていなければ、傍観するより他ないのです。いわば気の毒になぁ、という感じでです。
相続人間で困っている、民間で困っている、それくらいのレベルでは、行政は動こうとはしません。そうです、行政が介入したいと考えたときに、これは大きな問題だと認識を改め始めたのです。

なぜ、風向きが変わったのか?

行政区画について再開発を推し進めていくにあたり、地権者からの用地買収をしたり換地処分をしなくてはいけないわけですが、現在の所有者がわからないもしくははっきりしない土地が、無視できないくらい存在していて、計画が進まないという事態に直面したわけです。

行政としても念い、とにかく法務局に来て欲しい念い

そこで行政は、まずは相続を原因とする登記申請をしてほしい念いから、法務局では、法定相続情報証明という制度を施行しました。この「法定相続情報証明」は、相続手続きで集めた戸籍謄本を申出書と一緒に法務局に提出すると、一通の「法定相続情報証明書」という書面を無料で提供を受けることができます。だから何なのかと 思われるかもしれませんが 漫然と法務局、金融機関(しかも一機関ずつ)、年金、保険手続きのたびに被相続人に関する戸籍謄本を取り寄せると、高額になってしまうため、法務局で、「法定相続情報証明」でもって戸籍の束に変えることができる仕組みを造ったわけです。
もっともこれだけですと、一つずつの手続きで戸籍の束を返却してもらえば事足りるようにも思われますが、一連の手続きが完了するまでにずいぶんな時間を要することも考えられるため、ぜひご利用をしてほしいという念いがあります。

さて話題が逸れましたが、民法・不動産登記法の改正があり、相続による不動産の取得があった場合の登記申請手続きが義務化されました。登記申請を怠ると、法務局よりお尋ねの文書が届いたり、法務局による職権で付記登記をなしたり、最悪な場合、行政上の秩序罰たる過料の制裁を受けることとなりました。

相続登記の義務化以上に気にしてほしい改正条文

上記の様に、登記申請そのものについて義務化する大きな改正があったのですが、それよりも民法の大きな改正として、相続によって法定相続分以上の該当する持分を取得した場合、登記を受けなければ、第三者に対抗することができない(対抗要件付与)取り扱いに変更されました。

この改正は、相続登記の義務化の改正よりも、重く考えなければいけないと思っています。なぜなら共同相続人の中に、自らの相続分に基づく不動産の共有持分を他人に売買等により譲渡し、法定相続分による登記および持分全部移転の登記がなされてしまった場合、遺言により法定相続分よりも多く取得した相続人は、共有持分を譲り受けた第三者に対抗することができないこととなりました。改正前は、判例により、遺言により相続させる旨の記載があれば、登記がなくても第三者に対抗できる取り扱いをしていましたが、先の改正で、あくまで登記が対抗要件となったわけです。なお、遺産分割の場合は、分割協議により自らの法定相続分よりも多い共有持分を取得した相続人は、登記を経ないと第三者に対抗することはできない扱いは今までと変わりません。

今回は、民法第899条の2のことを見てきました。

今回の改正により、法定相続分よりも多く取得した相続人は、第三者に対する対抗要件を受ける必要性が生じたと言えます。

相続手続に関する概要を、当事務所Webページもご参照ください。

相続に関する相談を承ります。

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名義変更・請負・委任

こんにちは

今回は「名義変更」、請負・委任について、記してみたいと思います。

「名義変更」について
相続の相談、特に電話での第一報でよく出てくる言葉です。一般の方は、単に名義が変わるという意味から、「名義変更」と言葉を用いてるのかもしれません。もちろん登記の目的で本当の名義変更という申請形態もあります。それは、所有者の氏名が婚姻離婚養子縁組離縁等で変わった事象の際に、「名義人氏名変更」と呼んでいます。

では、相続に伴う、被相続人から相続人への登記申請は名義変更とは呼ばず、所有権移転登記(被相続人が共有持分のみ保有しているならば、持分全部移転登記申請)と呼んでいます。

名義を変更してほしいと言っても、単に氏名が変わっただけではなく、相続により権利の主体(所有者)が変わったため、登記申請が必要になった、ということなのです。

権利の主体(所有者)が変わった以上、同一人物の氏名が変更になったときと違い、結果的により厳格な書類による審査が必要になります。揃える書類が「単なる『名義変更』」のときと比べ、多くの書類が必要になるのです。
必要書類等の詳細は、次回以降のブログで記そうと思います

さて次に、「請負・委任」について

「請負」は仕事の完成が将来確実に存在し、その完成に向かって仕事をすすめ、その仕事の結果(完成)に対して報酬を支払う契約です。故に請負の場合、平たく記すと仕事の完成というゴールがしっかり存在するということです。

一方、委任は「法律行為をすることを相手方に委託」し、委託を受けた側が承諾することによって生じる契約です。ここで留意すべきことは、法律行為をしたことによる効果は、委任者(託した人物)の期待通りになるのかどうかは、不確定であるということです。
 もちろん委任を受けた人(受任者)は、善良なる管理者と同等の義務があり、委任者の希望どおりに添えるように最大限に事務に当たらなければならないが、状況の変化によって事務処理の結果如何が功を奏するのかどうかは確定しておりません。この点が請負とは違ったものと言えます。

さて、いろいろと記しましたが、相続問題の解決について、最終的に登記申請をとお考えの方から、問い合わせがありましたが、単に「名義を変更する。」のではなく、所有者が変わる、依頼については、仕事の完成というものではなく、登記申請する法律行為を委託する委任契約というものであり、契約の性質上、単に「幾らですか?」と問われても、前提の準備がどれくらい整っているのか、そもそもこの人が所有者となった事実が存在するのかなど確認をする必要があり、電話のみでは費用報酬の見積は確定することはできません。

もちろん、相続手続きそのものについて後方支援もしてほしいという依頼もあります。その際には、各書面の起案にも対応しますが、詳細な事情を聞かなければ、見積ることができないのが実情です。

先の投稿で、報酬のことも少し触れましたが、被相続人の遺した財産、相続人の数、遺産の分割の内容によって、見積額は変動します。

最後になりましたが、何をどこまで依頼するのかも大事なことだと思います。

単にわからないわからない とおっしゃりながら問い合わせがありますが、何がわからないのかを確認することも大事だと思います。実際にあった話ですが、不動産の登記申請が税金の確定申告の一環だと大きく誤解をされている方もいらっしゃいました。

あと2年経つと、相続による移転登記申請は義務化されます。相続開始から3年、遺産の分割から3年経過すると10万円以下の過料の制裁があります。今まで、相続による登記をしてこなかった方も、そろそろ考えても良いと思います。

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通勤時に見かけた蝋梅でした。綺麗ですね!