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定款について

 会社設立において、重要な書面の一つとして定款を上げることができます。ただなぜか成立後の会社の相談を受けるとき、定款が見つからないという困った事が時折見受けられます。

 そこで定款について、今日は記したいと思います。

そもそも定款とは

 この定款とは、会社の根本規則、言わば「会社の憲法」と言われています。もっともその前に、会社法等の法令、政令、省令(◯◯規則と呼ばれたりしてます)があって、そのあとに位置づけられています。
 実体上、実は会社の根本規則ですし観念的にも存在するので、なくなることはありません。ここで問題にしているのは、その規則を記した書面のことなのです。

定款にも、どの時期に紙面が作られたか呼び方がある

 設立前に作成し、公証人から認証を受けた定款を、原紙定款と言います。会社成立後に、定款を変更をした場合、公証人の認証を受ける必要はありません。ただし、定款変更の要件は、株主総会の特別決議で可決したことを証する株主総会議事録を保管しなければなりません。その上で、後に定款の提示もしくは行政官庁への許認可届出や登記申請時に添付するために、変更後の内容が記されている定款を作成しておきます。この変更後の内容を含めた定款のことを現行定款と言います。

変更後、それまで紙面で存在した定款の廃棄の可否

もしかしたら、現行定款が適法に効力が存在するならば、それまでの書面として保管されていた定款は、一見不要のようにも思われます。ただし、設立当初の原始定款の記載事項を振り返ると、諸手を挙げて、廃棄しても問題ありませんとは言い難いものです。

原始定款は、成立後不要になる条項もあるが、後の紛争防止に役立つ情報が搭載されている

なぜなら設立に関与したの発起人の氏名住所が記載されており、万が一株主名簿が作成されていない場合、少なくとも、会社成立時の株主の構成が、その定款の記載から推定することができます。

そうすると、その後の株式のやりとりでどのように株主構成が変わったのか、その前後関係を知る良い機会となります。その貴重な機会と記録を廃棄することとなると、後に問題が生じた際の、証拠がなくなってしまい、場合によっては、解決することが難しくなると思われます。

もちろん現行で効力のある定款は、廃棄することはできず、本店に備えなければなりませんが、変更前の定款も保管された方が良いことは、言うまでもありません。

冬の蔵王山

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年6月7日に、本ブログへ、移植しました。なお、内容を加筆修正しました。

会社法人に関する業務は、事務所公式webページでも紹介しております。ぜひ、ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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定款は簡潔に

簡潔な方が良い

 何事に於いても、そうなのかもしれないのですが、簡潔(シンプル)な方が良いと思います。

会社の設立で定款の原案の作成を任せられる事がありますが、設立当初の発起人(成立後は株主となる方)が一人か若しくは複数か、発起人以外に株式を引き受ける方がいるのか、そして会社役員は取締役が一人だけなのか、複数なのか、他の役員(監査役、会計参与等)も必要なのかどうかによって、定款の記載事項は変わります。

使わない条項は、盛り込まない方が良い

 書面の原案を作成しても、活用しないのであれば、不要な事項であるので、私は盛り込まないこととしています。

 株主が増加したり、役員を増員させるのであれば、その前に定款の記載事項を見直し、そして現在施行されている法令に意識をして、変更すれば良いだけなのです。

定款とは

 定款は会社の根本規則であり、会社に取ってみれば、社内で作成する諸規則の根本となる規則と言えます。

 一度、定款を見直したい、将来に備えて、会社の内部統制について整理をしたいお客様に対して、当事務所は相談を受け付けています。

 ぜひ お電話を

冬の蔵王(山形)です

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年5月30日に、本ブログに移植しました。なお、タイトルを変更し、内容について、見出しを加え、本文を加筆修正しました。

回想および補足

会社設立における定款の起案時に意識していることを当時記しました。今でもこの姿勢に変わりはありません。

やはり、一人会社であるにも関わらず、もはや必要とは言えないような規定は、盛り込まない方が、実情にもあっていますし、複数人の株主が存在している会社であれば、力を発揮する条項でも、一人会社であるときは、株式の譲渡に関する規定を除き、どうしたものだろうと首を傾げたくなるようなことにつながりかねません。

もちろん、株主が複数になる、役員の員数が複数になることが、予定されていたら、定款の記載について積極的に考えなくてはいけないし、たとえ登記事項でなかったとしても、定款の条項を追加しなくてはいけないと考えます。

構成員が増える、役員が複数になることが、はっきりした段階で、しっかり検討する必要があることを申し添えます。

当事務所で対応している企業法務の概要は、事務所公式ホームページでも、紹介しています。なお会社設立等の企業法務の相談を随時承っております。

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株式会社設立 目的のこと

会社設立時、定款の記載事項の確認からの続きとして、今回は、目的について、記してみたいと思います。

旧商法の時代と比べると、現在施行されている商法上の要件は緩和されたように思えます。

それでも要請されていることは、旧法下とあまり変わらないと思います。

ポイントとして、以下の三点を掲げます。

  • 具体性
  • 明確性
  • 適法性

これらの3つが備わっていなければなりません。

次回、その具体性について、記してみたいと思います。

へぎそばです

上記の記事は、旧ブログ「時報」より、2022年月12日、本ブログに移植し、題目・本文共に、加筆修正しました。

回想

会社法施行前の商法の規定に基づいて記しています。当時は、具体性についても、問題となっていました。この具体性は、商号のことと合間って、重要視されていたことです。

現在の会社法および登記実務では

現在の会社法および登記実務では、明確性と適法性は審査要件として継続していますが、具体性は、審査要件から外れました。このことは、類似商号の使用の禁止の規定が撤廃されたことの影響もあります。

もっとも事業の目的を広く考えていらっしゃる事業者さんほど、抽象的な文言が好まれてしまうので、明確性について問われれることもあります。

目的の記載は、定款のみならず登記にも記載されます。そう考えると第三者が登記をみたときに、事業目的が想像しやすい表現がより好まることは言うまでもありません。

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会社設立 定款の確認

こんにちは、今回は、株式会社設立における定款の記載事項の確認を解説します。以下、私見も入りますので、ご了承ください。

定款とは?

唐突な見出しですが、「定款とは、会社における根本規則のこと」です。会社がどうあるべきか、そのあり方を記したものと言っても良いものです。成立後、歳月が流れ、何らかしらの手続きで、定款が必要となることがあり、保存場所を失念してしまった等がありうるのですが、ここでいう定款とは観念的なもので、紙面上の定款を指しているわけではないのですが、経営者の皆さんが、当時決めて今日も継続している事項を、全て一字一句を覚えているはずもないので、やはり紙や電子データで表現された定款は、大事なものであることがわかります。

定款の絶対的記載事項

ところで、定款には、絶対に記さなければならない事項があります。これを定款の絶対的記載事項と言います。会社法の条文から直接記されているのは、第27条です。

  1. 目的
  2. 商号
  3. 本店の所在地
  4. 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  5. 発起人の氏名又は名称及び住所

 それ以外に、この事項は公証人の認証を受けた後でも良いのですが、発行可能株式総数を定めなければなりません。

設立時に大事なことから順番に投稿しています

 これまで、出資のこと、発起人のことを強調して書きましたが、設立の段階で、その手続と出資について、発起人が大きく関与するため、あえてこのような順番で記してきました。

 「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額の記載」および「発起人の氏名又は名称及び住所」について、発起人が複数になった際の利害関係、また成立後における会社と利害関係者(株主、債権者(取引先はもとより、従業員もこの類に含まれます)、会社役員等(取締役、監査役など))との調整が必要であるため、定款に記されたとおりの資本等がなければ、企業活動に大きな支障を来すことになります。このようなことがないように、設立の段階で定款に記させるのは、このためです。

 上記事項以外にも、実は定款に記さなければならない事項は、多く存在するのですが、随時紹介できればと思っています。

 次回は、目的以下について記したいと思います。

当時撮影した松葉牡丹でした

補足解説

会社法になってから、絶対的記載事項は上記のとおりとなりました。

公告の方法

旧商法時代は、株主は不特定多数の構成されることが前提でしたので、遠方の株主や利害関係人にしっかり知らせることも相まってなのでしょう、「公告の方法」が入っていました。歳月が流れ、会社法を制定する際に、定款で、特に定めなかった場合は、「官報による公告」とすると明文化されたことに伴い、絶対的記載事項から外れることとなりました。

発行可能株式の総数

こちらも、上記に記したとおり、現会社法では、定款の認証前段階では、記載は任意です。なぜなら、資金調達を柔軟にするために、定款の認証段階では、記載しなくても良いとされました。そうすることにより、一株単価の設定と何株を発行し、授権枠をどう設定するのかを柔軟に計画することができるからです。もちろん会社設立の出資の履行前には、しっかり決まっていることが必要です。

回想

この定款の記載事項は、本当に奥が深く、いろいろ調べることが必要だなと当時、思いました。実務では単に覚えておくだけでは足らず、どうしてその条項が必要なのかを説明できるように準備しておかなければいけないと感じました。

小規模な会社の定款の記載事項の対応(成立後も含)

今、振り返ってみると、小規模の会社、特に一人株主取締役の株式会社では、シンプルな定款が好ましいと感じます。株主が複数になったり、役員を増員する少し前の段階で、定款の記載事項を見直した方が、経営者としても各条項を、せめて概略だけでも認識すると感じます。

上記ブログ記事は、題目内容を加筆修正し、2022年4月28日、本ブログに移植しました。

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会社設立 出資の手段 (3)

先のブログ投稿で、現物出資について3つの方法を用いるにしても、それに先立って、これらの事項を定款に記さなければならないことは、記しました。今回は、このことを詳しく記します。

定款の相対的記載事項

 このことは実は、会社法第28条にあります。
 (中略)定款に記載し、または記録しなければ、その効力を生じない。
1.金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(今回は種類株式の説明については省略します。詳細は会社法第28条1号で確認してください。)

 ついでながら会社法第28条は次のことも規定しています。(第2号から)

2.株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
3.株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
4.株式会社の負担する設立に関する費用(定款の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

 上記は、必ず定款に記さなければなりません。記さなければ、効力は生じないと解されています。
 なぜそうなのかは、次回に記したいと思います。

当時撮影したマツバボタンでした

補足

さて、設立時の現物出資は、定款にその旨を記載しなくてはなりません。後の投稿でも触れますが、定款に記載しなければ、効力が生じない事項のことを相対的記載事項と読んでいます。設立時の現物出資は、発起人のみに許され、定款に記載がなければ、当該現物出資行為として認められないこととなります。

定款作成および認証並びに出資の時期

実務では、出資の時期が気になるところです。金銭出資とは違うので、あまり良いことでもありませんが、とにかく引き渡しを急ぐのであれば、引き渡しと同時に占有改定により所有は発起人に留めておき、定款認証後、簡易の引渡しもしくは占有改定を解いて、発起人組合(会社はまだ成立していないため、発起人で構成される組合に準じた社団が所有することとなる。)所有権の移転することで、問題ないと思います。気難しい話かもしれませんが、事業のための使用開始が会社成立前だと、税務上の取り扱いをどう解釈するのかは、判然としなくなるように思います。

金銭出資では、勇足になることも

実務では、金銭出資の履行の時期は、書類が一つ増えてしまうか、より簡易に済むのか、出資の履行と定款認証の前後によって、大きく異なります。

預金口座ごと現物出資の履行として対応できるか

今日では、発起人の個人の口座を出資の履行のための口座として利用することで、良い簡易に手続きで済ませられるわけですが、預金口座ごと出資を履行することは、事実上の債権譲渡と同じです。大抵の預金口座は、預金払い戻し債権を譲渡することが契約上禁止されているため、事実上認められません。

定款作成・認証前の出資の履行

では、定款の作成・公証人による認証前に、出資の履行をしてしまった場合は、どうなるのでしょうか?

最終的に法務局による書類による審査の段階で、そのタイミングの金銭の入金が、本当に出資のための入金だったのか、それとも別件として入金された事実なのか判然とはしません。

作成する書類が一つだけではなくなる

すなわち 、預金通帳の写しを添付した証明書一通だけでは、出資の履行があったことを証明する書類が足りないこととなります。もし、定款の作成認証前に出資の履行をしてしまった場合、発起人の全員の同意書を作成し、出資の履行を証明する一部の書類として添付することとなります。

回想

当時、伝えたいことがあまりにも多く、返って内容が希薄化していたり、焦点が逸れてしまっていたのかもしれないと、歳月が流れてから見返すとよく気がつくものです。

移植作業を進めるとともに、当時、記したかったことを補足しよと思います。

先の内容は、旧ブログ「時報」より、内容を再構成し、2022年4月24日に、本ブログに移植しました。

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