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事務所より 民事信託・遺言・後見・相続

死後事務委任のこと

こんにちは

「死後事務委任」 なんだか気難しい言葉のような気がします ひらがなも入ってませんし…

と 少々 おどけてみましたが この「死後事務委任」について 少しだけ取り上げてみようと思います

文言どおり 確かに 「(委任者の)死後」の「事務を委任する。」ということなんです

なんだか まだよく判らないかもしれませんね

相続と何が違うのでしょうか? という疑問が すぐさまに脳裏に浮かんでくると思います

「相続」とは、亡くなられた方(その人のことを「被相続人」と呼びます。)が残した資産負債を引き継いでいく、清算するまたは放棄する手続きのことを言います

ただここには 亡くなられた方のご遺体についての処遇のこと 迅速性を必要とする、最後の施設利用料、医療機関の診療への支払い、保存行為としての借家内部の片付け、引き渡し等については どうするのかという問題が置き去りになっています

そもそも 昨今 身寄りのない方が お一人様が 亡くなられたとき 遺体の確認、引き取り、火葬埋葬についてどうするのか?という大きな問題が置き去りになっていることも事実です

ずいぶん昔 まだ地域で支えあっていた時代では 互助的に 協力しあい弔うことをされていたようですが 家族・地域のあり方も変革を遂げた昨今 そのような慣習は希薄化してしまい サービスが誕生し 活用され始めているのが実情のようです

ただし この死後事務委任は契約ですので お元気でいる間に 契約を締結する必要があります。

死後の事務処理を委任するとはいえ

  • 相続財産を誰かにあげる(遺贈)
  • 何某に相続させるなど(遺産の分割の指定)

遺言制度により

相続人が誰もいない場合の財産管理は 相続財産管理人制度により 行うものであり

死後事務委任では取り扱うことができないこととなっています

それから 生前から死後に及ぶまで 時間的に切れ目がない また不確定な期間が存在しない形で 財産から受益を受けるための事務として信託がありますが こちらも 民事信託・家族信託等の制度を利用することとなり 単なる死後事務委任契約のみでは包含しないことを付言します。

そもそも「死後」の「事務処理」なので、生前の財産管理や委任事務はもとより判断能力が低下したことに伴う財産管理や身上監護には後見制度があり 死後事務委任契約とは異質なものです

こうしてみてみると 死後事務委任契約が死後も含めて人生のどの位置付けで必要なことなのかが見えてくると思います。

最後に 死後事務委任について 記しましたが これらの準備が万人に必要なのかと問われたら 要らないわけではない と思います
また 考えると暗くなりがちですが 普段から感じている漠然とした不安を ここで考えて将来の不安に備えることによって 今日の生活を明るく暮らしていくことが大きな目的です

死後事務委任 遺言について 相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

コンパクトカメラで 近隣の公園で撮りました 流れ星が写ったようです

事務所より:来月よりブログサービスについても工事を入れようと思います。もしかしたら内容が消去してしまうかもしれませんので 過去の記事をご覧になりたい方は、今のうちにどうぞ

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相続に関する相談を承ります

こんにちは

相続に関する相談を承ります

相続手続きに関することのみならず ほんの少し先のことについて 案じていらっしゃることがあれば そのことも含めて相談を承ります

このブログを拝見された方を対象に 初回30分の相談料4,400円を無料で対応いたします。(初回30分経過後は30分ごとに4,400円のサービスチャージが発生します。期間は11月30日まで)

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

先日の部分月食の写真から

 

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法務局の自筆証書遺言の保管の申出をする際に具体的に必要なこと

こんにちは

今回は、「遺言者が手続きを行う、法務局の自筆証書遺言の保管の申出をする際に具体的に必要なこと」を見ていこうと思います。

まずは、遺言を記さなければいけません。もちろん自筆証書遺言です。このことは先の記事に記しているので、以下を参照してくださいませ。

さて、自筆証書遺言を記したら、どこの法務局に申出をするのかを決める必要があります。また申し出た法務局は、今後、追加的に再度の申出をする際も、同じ法務局である必要があるので、注意が必要です。

どこの管轄の法務局なのか、2または3つの法務局が管轄をもつと考えられます。

  • ご自身の住所地を管轄している法務局
  • ご自身の本籍地を管轄している法務局
  • ご自身が所有する不動産の所在地を管轄している法務局

ただし、不動産登記の管轄が出張所である場合は、その出張所では、扱ってはおらず、出張所を統括している支局に管轄がある場合があります。例えば、千葉県白井市にある不動産を所有する遺言者が、その所有不動産の管轄に基づいて、申出をする場合は、佐倉支局が取り扱ってくれることとなります。

そのほか具体的に、どこの法務局であれば受け付けてくれるのか、以下のURLを参照ください。

http://www.moj.go.jp/content/001319026.pdf

では、どちらの法務局に申出をしようか決まりましたら、法務局に電話もしくは予約専用ホームページにアクセスして、予約手続きを行います。以下に予約専用ホームページのURLを記します。

https://www.legal-ab.moj.go.jp/houmu.home-t/

念のため、法務省ホームページから予約に関する注意事項を引用します。
どうかご留意を。

予約に関する注意事項等について
 1 予約は,手続をされるご本人が行ってください。
 2 予約を行うことができる期間は,当日から30日先までです。
 3 予約日の前々業務日の午前中まで予約することが可能です。
   例)7/13(月)の予約は,7/9(木)12:00まで予約可能。
 4 当日の予約はできません。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00010.html

ところで、準備しなければならないものは遺言書だけでよいのかというと、そういうわけにはいきません。以下に、準備する書類について記します。

  • 遺言書
  • 住民票の写し(本籍地および戸籍の筆頭者の氏名記載のもの、なお個人番号は載せないこと)
  • 申請書
  • 遺言者の本人確認書類(写真付きの身分証明書等)

ところで、3つめの申請書について、まだ触れていなかったので、ここで触れます。以下のURLを参照してPDFファイルをダウンロードしてください。

http://www.moj.go.jp/content/001321933.pdf

提出後、機械による読み込みをするようなので、できるだけパソコンで打ち込まれた申請書を準備することをお勧めします。作成が難しいようであれば、当事務所もしくは最寄りの司法書士事務所をお訪ねください。

さて、どちらの法務局を利用することが決まり、予約ができ、申請書も作成ができたところで、あとは、予約した日時に法務局に出向き申出をします。不動産登記のように審査に数日をようするわけではなく、即日審査受理が原則ですので、問題がなければ、申出日に、保管がなされます。

ここまで、一連の流れに着目して記しました。何れにしてもポイントとして、どちらの管轄を選択すべきか? 保管がされてから、転居する可能性があるのか、この管轄のことを詳しく記していますが、万が一申出の撤回(保管がなされた後、保管をやめてもらう手続)をするときは、申出をした法務局のみが扱うこととなります。ところで、転居したのちに、追加的に遺言を保管してもらうこととなった場合は、前回保管の申出をした法務局に申出をするには、問題はありませんが、他の法務局での申出を考えたとき、一度撤回し、遺言書の返還を受け、他の法務局で、再度申出をする必要があります。ただこの場合は、撤回時と再度の申出時に、費用がそれぞれ発生するため、やはり少し先の将来も見越して、遺言書を作成し、保管の申出をすべきと考えます。

遺言書の作成について、相談を承ります。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

gakuajiai
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法務局による自筆証書遺言の保管制度(2)

こんばんは

今回は、法務局による自筆証書遺言の保管制度において、遺言の効力発生後のことを記そうと思います。

これまでは、遺言者が生前にできることと、保管された遺言書の保管期間のことを記してきました。

今回は、遺言の効力が発生した後のことを記そうと思います。

遺言の効力は遺言者の死去によって発生します。さて法務局に保管されている自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認手続は不要となります。
 従来遺言者もしくは誰かが所持している自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認手続きを経なければ、具体的な権利の実現は、事実上図ることはできませんでした。ところが、この法務局による自筆証書遺言の保管制度を用いると家庭裁判所の検認手続きは不要です。なぜなら法務局で保管の申請の際に、封印はされていないので、遺言書としての最低限の要件を満たしているのかどうかは法務局で確認します。また受理後、法務局内部で保管もされますし、申請後の審査の工程で、電子データ(PDF)として保管されるため、受理の段階で、遺言書の状態が保全されることになります。すなわち、証明書の発行後、改ざんされたかどうかが容易にわかるようになっています。
付言しますが、遺言書を改ざんした相続人は、相続欠格となり、その人物については相続権を失うこととなり、代襲相続や、次順位の相続人の問題が発生します。

では、遺言の効力が発生した段階で、相続人からどのようなことが法務局にできるのか、請求等の行為を受けた法務局は、どのような反応をするのかを見ていきたいと思います。

まず相続人は、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(遺言書情報証明書)の交付を、法務局(遺言書保管官)に請求することができます。

正確に言うと、相続人のみならず、以下の人々も請求することができます。

  • 保管の申請をした遺言者の相続人
  • 生前の廃除によってその相続権を失った相続人
  • (裁判上の)相続放棄の申述が受理された相続人
  • 遺言書に書かれた次の者またはその相続人
    • 受遺者
    • 遺言によって認知された子
    • 遺言により認知された子(胎児)の母
    • 遺言によって廃除する意思表示された推定相続人
    • 遺言によって廃除を取り消す意思表示された推定相続人
    • 祭祀主宰者
    • 国家公務員災害補償法または地方公務員災害補償法の規定により遺族補償一時金を受け取ることができる遺族のうち特に指定された者
    • 遺言信託によって、受益者として指定された者、残余財産の帰属すべきものとなるべき者として指定された者または受益者指定権等の行使により受益者となるべき者
    • 保険法による保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき者
    • 政令(7つ)、省令(3つ)で定められている者

さて遺言書情報証明書の請求ですが、遺言書を保管されている法務局はもちろん、「情報証明書」ですので、他の法務局でも、請求することができます。

また、遺言書が保管されている法務局に対して、遺言書の閲覧をすることができます。

さて、上記の遺言書情報情報証明書の請求、遺言書の閲覧の請求を受けた法務局は、遺言者の相続人、受遺者、遺言執行者に対して、遺言書を保管している旨を通知します。

それから、誰でもできることとして、法務局に対して、遺言書が保管されているか否かを照会すること、遺言書が保管されているならば、遺言書保管事実証明書の交付を請求することができます。

次回以降は、遺言者が手続きを行う、法務局の自筆証書遺言の保管の申出をする際に具体的に必要なことを掘り下げていこうと思います。

紫陽花の花々

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法務局による遺言書の保管制度のこと(1)

こんばんは

今回は、法務局による遺言書の保管制度について記したいと思います。

対象となる遺言は

まず対象となる遺言は「自筆証書遺言」です。私見ですが、まさか公正証書遺言・秘密証書を保管してほしいと法務局に申し出ても制度上準備されてはいないので対応できないと思いますし、特に公正証書遺言については、原本が公証役場に保管されることとなるので、改めて法務局で保管してもらうことは想定されていません。

費用がかかります

それから、保管を申し出る際に、費用がかかります。はい、無料とはなっていません。誰の権利をという問題はあるかもしれませんが、権利を確固とするために制度を利用するのには、やはり費用がかかるものです。

出頭が前提です

それから、以前のブログで紹介したとおり、出頭主義が大原則です。では例外はあるのかというと、遺言者の住所等の変更があった際に、その変更の届出について、法定代理人ならば、代わって出頭してすることができるというものです。遺言者本人が出頭しなくてよいということにはなりますが、法定代理人が出頭することには変わりがありませんし、弁護士先生や、われわれ司法書士でも委任による代理は、現行法令上認められてはおりません

法務局による自筆証書遺言の保管制度における出頭主義について

いつまで保管してもらえるのか

法務局に保管の申請をした後、いつまで保管されるのか、その保管期限ですが、法律(法第6条代5項)では、抽象的に留められ、具体的には、政令にあります。その期間ですが、

(遺言書の保管期間等)
第五条 法第六条第五項(法第七条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める日は、遺言者の出生の日から起算して百二十年を経過した日とする。
 法第六条第五項の政令で定める期間は五十年とし、法第七条第三項において準用する法第六条第五項の政令で定める期間は百五十年とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=501CO0000000178_20200710_501CO0000000183&keyword=遺言書
より引用

とあります。

法第6条の括弧書きにあるのが「日」ということなのですが、「遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として、政令が、『遺言者が、出生してから起算して120年を経過した日』ということとなります。
 すなわち、「“遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、出生してから起算して120年を経過した日”から50年間は、その遺言者の遺言書を保管する。」と読み取ることができます。

やや先走りましたが、死亡の事実が、明確である遺言者の場合は、その死亡日から50年間は、遺言書を保管すると読み取ることができます。

さらに、PDF化された遺言書ファイルの存在があり、こちらは、その死亡の日から150年間は、保管し、その後は、廃棄することができる、こととなります。

法律で盛り込まずに、政令によって規定しているわけですが、高齢化、核家族化による諸問題から、わざわざ逐一国会で審議をせずに、政府が変更することができる仕組みとなっています。

次回は、保管された遺言の効力が発生した後にことを記そうと思います。

遺言書の作成の支援をいたします
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