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会社設立 出資の手段 (1)

こんにちは、今回は、株式会社設立時の出資の手段について記します。

 会社を設立する際、会社自身に財産を保有しなければならないので、発起人らは、出資をします。その財産を元手にして、会社は営利行為をし、利益を上げ、最終的には、出資者である株主に還元していく、このことが営利目的と言われる所以です。

 設立時の段階での出資は、発起人は、金銭による出資はもちろん、他の財産(現物)でも出資の目的物として、会社に差しだす方法もあります。

 この現物を差し出す方法を現物出資と言いますが、ある一定の基準を満たせば、裁判所の力を借りずとも、その方法を取ることができます。

 そうすると、ある一定基準を満たせば、発起人自身が保有しているある会社(上場会社でなくとも)の株式を現物出資として財産を差し出すことも可能です。


以上の記事は、旧ブログ「時報」の投稿記事でした。移植日は、2022年4月21日でした。なお、内容を再度確認し、再構成しています。

回想

今、振り返ると、当然といえば当然のことを記しているのですが、実社会では、真に理解している方は、それほどいないと思ってしまう事実に突き当たることもあります。そんなことも合間って、記事にしたことを思い出しました。

出資の方法

金銭出資が原則ですが、事業に関連性を持たせて、財産を設立する会社に引き渡してしまう現物出資という方法もあります。引き渡す財産の規模に応じ、設立時取締役の証明だけで良い場合もあれば、裁判所から選任された検査役の力を借り、設定した価格を認定してもらう手続きまで必要な事案もあります。

出資する財産の種類

上記のように、考えようによっては、発起人が保有する他の会社の株式(有価証券)を現物出資することもできないわけではありません。もちろんこの有価証券についても、弁護士等の証明で足りうることもあれば、検査役の認定が必要になることもあります。

会社設立の概要は、事務所Webサイトでも、紹介しています。ぜひ、ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

八重桜が綺麗に咲いてました。
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株式会社設立方法の検討

今回は、株式会社設立方法を検討していきます。内容は、前回、「設立時に「株式の譲渡性の有無」の検討」の投稿の続きと捉えていただいて、問題ありません。

先の投稿で見たように、株式の譲渡制限の問題もありますが、出資の規模と、この段階から資金調達を積極的に行うなら、発起人を複数にして設立されても良いと一応考えられます。

定款の作成段階では関与しない出資者が存在する場合

 では、出資するけども、定款の作成の関与は難しい方にも出資を募った場合、出資したい方が存在するかもしれません。

 そこで、発起設立とは別に、設立時発行株式を引き受けてくれる方を募集する方法、即ち募集設立があります。

 発起人として関与はしないが、会社設立の詰めの作業に入る際に、創立総会という会議を開催しなければなりません。この会議は、発起人だけでなく、設立時募集株式引受人も参加できます。この総会では、認証を受けた定款の変更の決議もできます。

創立総会の権限

 なお念のために記します。後ろ向きな表現かもしれませんが、この創立総会で、なんと設立廃止まで決議することができる大きな力を持っています。

まとめ

  1. 発起人の員数:一人からでも可
  2. 資本の規模を設立段階で大きくしたい、資金調達を重視した場合:発起人を複数とする、設立時募集株式引受人を募る(この場合、発起設立ではなく、募集設立となる)
  3. 会社成立段階では、株主を限定的にして、成立後、事業拡大とともに、段階的に株式の譲渡制限を廃止する場合:設立時は株式の譲渡制限を設け、成立し事業拡大後、株式の譲渡制限を撤廃する

会社設立手続きも、実情に合わせる

 いろいろと記しました。これまで個人事業をされてきた方にも融資先や出資先の力関係もあるので、多くの外的因子があるかもしれません。ただ会社法を上手に用いると、業務執行が円滑になる場合が考えられます。

 ぜひ御一考くだされば幸いです。

 なお、個々の具体的事案については、相談を受けてみないと詳細なことが分からないので、お電話での相談予約を受け付けています

TEL:047-446-3357 司法書士 大山 真 事務所

ピンクのハナミズキ(英語では dogwood )です

上記は旧ブログ「時報」の2008年9月17日投稿「会社設立 その2 株式の譲渡性(2)」を上記のとおり改題し、2022年4月20日に、移植しました。

回想

今日において、株式の譲渡による取得の制限規定は、株式会社の運営実務においては、必要不可欠といっても良いくらいの定款の相対的記載事項と言えます。ただ昭和の時代から存続している歴史ある会社は、そもそも商法にそのような規定が存在していなかった時代もあり、今日でも存在していないこともしばしばあります。

先の投稿でも記したと思いますが、発起人が7人必要だった時代、もちろん名義に連ねている発起人全員が、会社成立直後は全員株主となったわけですが、その後の会社経営者や名義上存在している株主の相続が開始すると、その相続手続が煩雑であることも、問題視されるようになり、株式の譲渡制限、相続対象の株式の売渡請求などの会社法によって、一定の整備が図られました。

2つの株式会社設立の方法

話を元に戻しますが、株式会社の設立手続きには、大きく分けて、「発起設立」と「募集設立」の二つの手段があります。どのような手段で以って設立するかは、個々の事案によりますが、会社設立時の資金調達という性格もあります。経営者自身の出資する事案が大多数ですが、下請け会社を設立するにあたり、親会社から出資を受けることもあり得ます。そんなときに、募集設立が有効であろうと考えます。

なお、株式会社の設立の概要は、当事務所Webサイトでも、紹介しております。ぜひご覧ください。

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設立時に「株式の譲渡性の有無」の検討

 株式会社設立において、発起人が決まったら、まず設立時の会社の基本的な事項である株式の譲渡性と機関構成を考えましょう。

資本の回収と経営権の保全、どちらを優先すべきか?

 発起人は、会社成立後は、必ず株主となります。そして、株主は、会社のいわゆる持ち主となるわけですが、この会社の持ち主たる権利を、勝手に譲渡できないようにするため、(おおざっぱに言えば)会社内の誰かしらからの承諾がなければ、会社に対して対抗できない規定を盛り込むことができます。

株式の譲渡について制限を設ける理由

 なぜこのような規定を盛り込むのか。それは、持ち主たる株主を限定した方が、経営に圧力が掛らず安定するからです。もっと平たく言えば、経営にいろいろ口出しされることを回避することができます。

投下した資本の回収は、殆どの会社設立では考慮しない

 株式の譲渡による取得に制限を設けることは、株主としては、いざ投下資本の回収を図りたくても(基本的に、会社が買い取ることはできないため)、会社等に対してお伺いを立てなければならない不都合が生じますが、株主構成は、設立当初からの殆ど変わることがないので、株主間での紛争は生じにくいと言えます。
 設立段階で、発起人間で紛争が生じるのは論外ですが、会社成立後でも、この規定が盛り込まれていれば、株主の変動がほぼなく、業務執行に当たる取締役、代表取締役も変動が生ぜず、安定した経営が来されます。実は、殆どの株式会社はこの規定を置いてます。

株式会社には、様々な態様がある

 もっとも皆さんが巷でよく見かける(いわゆる上場)会社はこのような規定があると、株式の流動性がなくなってしまいますし、そもそも上場条件に適合しないため、このような規定はありません。
 設立段階で、資金調達をどのようにするのかも、注意すべきところだと思います。それによって、この株式の譲渡制限の規定を活用するのかどうか決まります。

機関設置について

 また株式の譲渡性を認めると、より多くの利害関係人が現れるので、取締役会は必須機関となります。またそれに付随して、監査役も必須機関になります。一方、すべての株式について、譲渡による取得に制限を設定すると、原則、必須機関である取締役のみでよく、取締役会や監査役の設置は任意となります。
 次回は、株式の譲渡性(2)として記したいと思います。


上記の記事は、旧ブログ「時報」より、記事「会社設立 その2 株式の譲渡性(1)」を改題し、2022年4月18日に、再構成し、本ブログに移植しました。

回想

当時は、勢いもあり、タイトルの論点から少し外れてしまっていたかなと感じるところがありました。もちろん構成し直しました。

ほとんどの株式会社は、株式の譲渡ができません

実のところ、日本の会社の99パーセントが公開会社ではない会社です。なんだかピンとこないですね。もう少し噛み砕いて記すと、株式の譲渡(売ったり、贈与すること)が事実上できない会社が99パーセントもあります。上記にもあるとおり、出資者としては、投下した資本の回収が難しくなりますが、大多数の株式会社では、事業承継のことを考慮するときまで、出資者と経営者がほぼ同一なので問題は顕在化はしません。

会社設立が事業承継のためなのか否か

ただ会社設立段階で、事業承継を考えている事象は、稀なケースです。いわば、既存の会社から一事業を切り離すためのスキームとして会社分割を経て、株式の譲渡を考えなくてはいけないと思われますが、新規事業を立ち上げ、これから会社も設立する段階では、事業者としては、検討材料にも入っていないと思います。

遠い将来のことを考えても良いと思われます

当時のブログ記事も、次の投稿に、続きを預けているようなので、回想および補足はここまでにしますが、遠い将来、事業が成功し引退を考えたとき、株式を全て売却して、リタイアすることも、一つの成功例だと思います。そんな将来を思い描いて、事業を拡張する一つの手段として、会社設立をご検討されてはいかがでしょうか。

株式会社設立の概要について、当事務所Webページでも、紹介しています。ぜひ、ご参照ください。

会社設立の相談をお受けいたします。
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マツバボタンです。当時の写真の解像度に懐かしさを感じます。
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会社 設立 その1 発起人

 事業をしたい。今まで、個人で事業を経営してきたが、会社として事業を拡大したい。そんな気持ちをかなえるため。これから、会社設立の手続をかいつまんで、記していきたいと思います。

 Point 1  発起人となる人

 法律上は、会社の根本規則となる「定款」に記名・押印をすべき者のことです。また成立後は、株主となります。

 事業を今までしてきて、会社を立ち上げたいので、設立手続に関与したい方が発起人となるべきでしょう。

 発起人は、大昔は7人いなければならない時代もありましたが、今は1人からでも問題はありません。但し、出資の規模を考えた場合、一人では、限界がある場合があります。なぜなら、これから取り組もうとしている事業の規模により、出資する財産が決まるからです。

 またやたらむやみに、発起人として引き受けてもらうのも、問題が生じる可能性もあります。発起人は最低限1株以上、設立段階から会社の株式を引き受けなければならないからです。また定款の作成に全面的に関わるからです。

 次回は、定款の作成の記載事項について触れたいと思います。


上記の内容は、旧ブログ「時報」の記事でした。2022年4月15日にこちらのブログに移植しました。

回想

ブログ記事に合う内容、やはり会社設立のことが、みなさん関心をお持ちだろうと思い、記事にしていこうと思い立ったものです。

ずいぶん前の商法の時代

今となっては、上記の員数、資本金が最低金1,000万円の規定は、全く存在せず、「資本金の額は、気軽に設定できる。」という錯覚を持ってしまう様な、話になってしまうと感じます。

発起人の定義は今も変わらない

さて話が少し外れましたが、会社設立には必ず、発起人の存在が必要不可欠です。発起人の定義は、当時と変わってはいません。

発起人以外で株主となりうる別の存在

制度としては、残ってはいるのですけど、定款認証後の出資者を迎え入れるのであれば、「募集設立」という手段も残されてはいます。

株式会社以外の会社では

株式会社以外の会社設立について、発起人の存在はありますが、責任が有限なのか無限なのか、業務執行をするのかしないのかが大きな違いがあり、ここの発起人が成立後どう振る舞うのかによって、会社の構成員としての社員の性格が異なってきます。

会社・法人設立についての概要を、当事務所Webページでも触れいています。併せてご覧ください。

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当時撮影したマツバボタンです
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相続人調査

今回は、相続人調査についてです。

 相続登記の申請手続の前段階で、手続について相談を受けるのですが、依頼人の方から差し出される被相続人の戸籍は、大抵が最後の戸籍謄本(もしくは戸籍事項全部証明書)です。でも、それだけでは足りず、被相続人のだいたい13歳前後からお亡くなりになるまで使われていた若しくは除籍の記載がある戸籍謄本、もしくは除籍謄本等が必要になります。

 なぜ必要なのか、それは戸籍謄本、除籍謄本等からは分かることは、その方が相続人であるという証明と、その方以外の相続人は存在しない証明ができることになります。

 当事務所では、相続に基づく登記において書面作成依頼から登記申請手続代理の受託を前提としてご依頼があれば、代わって入手する手続を致します。

 写真は自宅の松葉牡丹です。一つ一つ咲いています。


移植日 2022年4月14日

回想および補足

当時も今も変わらない大事なことを記しています。相続でも、売買等の決済でも、「人」「物」「意思」の確認が必要と言われますが、その中でも、権利(義務)の主体となる「人」の確認は、とても重要で、相続手続きでも重要であることに変わりはありません。

本人確認

開業して、少し経った頃から、「本人確認」という言葉が、この業界を駆け巡り始めた様な感覚を持っています。確かに、この「本人確認」は、突き詰めれば突き詰めるほど、とても難しい問題であることに間違いはありません。

実は、相続手続きでも、このことは同じで、当時の記載からも、どなたが相続人なのか、それ以外に相続人はいないことの証明となりうる性格を相続証明書はいわば書証としての力を持っています。故に相続人調査は重要なものです。

戸籍制度

日本では、戸籍制度が、かなり厳格に運用がされていると思います。お隣の大韓民国や中華民国(台湾)も戸籍が存在しています。なお中華人民共和国については、国家が把握している名簿?!の様なものがありますが、この書類は、人民の権利のために用いるためのものではなく、国家が人民を管理するために用いるためのものであり、私法上の手続では使用することができないとされています。その代わりに司法官憲(いわば本国の公証人)の前で宣誓供述し、認証することによって相続証明書となります。

今回は、相続手続の当事者である「相続人」の調査のことを記しました。なお、相続人のことは、当事務所Webページでも概要を紹介しています。

相続手続の相談を承ります
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