カテゴリー
事務所より 民事信託・遺言・後見・相続

郊外の不動産の処分のこと

先日、同業者と電話会談をした際に、不動産の処分、生前贈与のことが話題に上がりました。

郊外の不動産売却等の処分に時間がかかる

近頃は、売却しようにも随分時間がかかり、全く売れない事象も郊外では少なくないようです。

市街地に住んでいて、郊外に幾つかの不動産を所有していらっしゃった方が、毎年定期的にその不動産を訪れ管理されてたそうですが、高齢のため難しくなったため、思い切って不動産を処分することにしたそうです。

売れないなら貰ってもらうこと(贈与)も考える

その際の契約は、なんと「贈与(契約)」だったそうです。

修繕や固定資産税の負担をよく考える

よく話を聞くと、親戚に車を出してもらい 半日移動に費やし、修繕して戻るを、各不動産にしていたそうです。

高齢になり、管理の負担が過多になり、売却を進めようとしても、郊外で買い手もなかなかつかず、いっそのこと、近隣の方に「贈与」で手放されたそうです。

確かに売却まで漕ぎ着けるには、物件によっては相応の時間を要することもあります。価格設定によって、引き合いもない事案も多いのかもしれません。

売却に至るまでの期間、税金、修繕等の維持費の負担する期間

いっそのこと贈与してしまった方が話も早くまとまり、毎年の費用負担、固定資産税等の納税義務から早く解放されることが大きなメリットとなるようです。

貰い受ける側の負担も考慮

もっとも貰い受ける側は、贈与税のことを意識する必要があります。

不動産の相対取引に関する登記相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

カテゴリー
民事信託・遺言・後見・相続

遺留分減殺請求について(1)

こんにちは
今回は 遺留分の減殺請求についてです
長文に渡りそうなので、二回に分けて記していこうと思います。

昨今の民法の改正により、よりわかりやすくなったのかなと思っています。

遺留分減殺請求ですが、民法の規定では第9章に繰り下げて搭載されました。配偶者居住権のことが入ってきたためですね。

遺留分の帰属・割合について

遺留分は相続の順位として兄弟姉妹にはありません。もっぱら配偶者・子・直径尊属に権利があります。

その割合についてですが、相続人が、
直系尊属のみならば三分の一
直系尊属のみでない場合は二分の一
となっています。

もし生存配偶者がいらっしゃり、子についての遺留分は、法定相続分が二分の一 すると、遺留分は、その相続分の二分の一ということなので「四分の一」ということになります。
もしも子としての相続人が複数であれば、その子の間で等分するということになります。なのでもし子が二人なら、配偶者と子の間で二分の一、子の間どおしで半分(二分の一)、そして民法第1042条第一項第二号の規定から二分の一なので子一人は「八分の一」の遺留分を有することになります

ところで遺留分とは

さて帰属と割合のことを先に記しましたが、この遺留分、どのような権利なのでしょうか。
よく言われていることですが、被相続人とともに生活をし、その共同で生計も立ててきたことが大いにして想定されることがある一方、贈与や遺贈により財産が他者や一部の相続人に流失してしまうまたはしてしまったことに対し、遺留分がある相続人に最低限の生計が維持できるよう配慮するための制度です。
故に、兄弟姉妹は 遺留分は認められていません。兄弟姉妹に相続させたくなければ、「遺贈してしまう」という選択肢も相続対策としてありうるのかもしれませんね。

難しいところは、遺留分の算定の基礎をどうするのか

さて、先ほどまでは、遺留分権利者隣うる人とその遺留分の割合を見てきました

ここからはその遺留分の算定の基礎となる遺産の構成と計算について触れていきたいと思います。

その根拠は、民法第1043条から第1045条の三箇条にあります。
以下は、E-Gov からの引用です

(遺留分を算定するための財産の価額)

第千四十三条 遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。

 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

第千四十四条 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

 第九百四条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。

 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

第千四十五条 負担付贈与がされた場合における第千四十三条第一項に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。

 不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20200401_501AC0000000034&keyword=民法#Mp-At_1043

となっています。
 相続開始時に有していた財産の価格は容易に想像ができると思います 次に贈与されてしまった財産について加えることを民法第1043条は記しているわけですが、いつからいつまでの贈与なのか、贈与者と受贈者が遺留分権利者に損害が及ぶことを知っていたかどうかによって期間も変わります。また受贈者が、相続人であった場合は贈与の対象の期間が一年ではなく10年に伸長する一方、価額は、価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)と修正されます。
 それから「条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。」とあります。債権的なことが想定されますが、実務上はあまり該当することがないものだろうとおもいます。個別具体的な事案は、直接問い合わせいただければと思います。
 贈与されてしまった財産の価格の算定は、民法第904条の規定により、たとえ受贈者が価格減少行為に及んで滅失またはその価格の増減があったとしても、相続開始の時においてなお現状のままであるとみなしてこれを定めることとなります。
 負担付贈与の財産の算定は、負担の価額を控除してとあり、不相当な対価を持ってした有償行為(売買交換等)は、その契約当事者双方が、遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなすこととなっています。

 さて、贈与の対象財産のことが多く挙げられていますが、遺贈についてはどうなのでしょうか、遺贈の効力は、相続の効力の発生と同様に遺言者の死亡時となるわけですが、基本的に実際の財産の移転がなされているわけではありません。また包括遺贈ならば、相続人と同じ地位に置かれるため、相続人と同様に熟慮期間がありますし、特定遺贈ならば、民法第986条の規定や相続人からの催告により、その回答もしくは回答しなかったことにより承認する放棄するのか定まります。

次回は、遺留分の侵害額の請求、受遺者または受贈者の負担額、遺留分侵害額請求権の期間の制限について見ていきたいと思います

遺言に関する相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

隣町の公園にある楓です
カテゴリー
事務所より 民事信託・遺言・後見・相続

費用・報酬について(2) 登録免許税のこと

こんにちは

以前の記事で、費用報酬のことを主に不動産登記のことを概括的に記しました

今回の記事では、登録免許税について、掘り下げていこうと思います

まず 法務局で登記をしてもらうには 大原則として申請時に登録免許税を納税しなければなりません

この登録免許税ですが登記の目的、原因により算定されます

税率に基づいて、算出される登記の目的、原因の場合、まず不動産の価格が情報源として必要になります
この不動産の価格ですが 都市町村において 固定資産としての評価格が明らかになっているならば その価格が課税標準価格として扱います
その課税標準価格に対して登録免許税法によって定められている税率を乗じて得られた数字を登録免許税額として扱います
※詳細な計算の仕方は 後ほど紹介します

ところで建物を新築した際に 一番はじめに権利の登記する「所有権保存」登記ですが 新築ということですので 都市町村では当該新築建物の評価格を把握してはいません その場合は 法務局地方法務局が定めた認定価格を用いることとなります

話を戻して この登録免許税の算定ができないと 登記申請時に預かる金員が確定しないため お答えすることができないこととなります
以前 登録免許税を考慮しないで 回答してほしいという問い合わせがありましたが お断りしました 委任事項(登録免許税の納税の委任による代理)さえも明確にもならずに 報酬が定まるはずがないからです

さて具体的に 登録免許税の計算について 解説したいと思います

それぞれの価格が金1,000万998円の土地と1,000万001円の二つの土地について 二つとも所有権を同じ方に譲渡したとします

まず課税価格の算出ですが 二つの不動産の価格を足し合わせ 合計金額から100以下の位を切り捨てた数字が 課税価格となります

次にこの課税価格に対して 登記の目的及び原因に対応する税率を乗じる計算を行うのですが 売買を原因とするのか 贈与を原因とするのか 令和2年10月28日現在において 適用される税率が違ってきます

売買の場合は 1000分の15
贈与の場合は 1000分の20

です この税率を見ただけでも、原因が売買なのか贈与なのかによって 約1.3倍の差があることにご理解いただけると思います

不動産の価格にこの税率を乗じて 得られた数字に対して 10の位以下を切り捨てて 得られた数字が 具体的な登録免許税額ということになります

よって 売買なら:20,000,000 × 15/1000 = 300,000 円

    贈与なら:20,000,000 × 20/1000 = 400,000 円

となります。上記は特定承継の場合でしたが、所有権の移転の原因が相続であるなら、税率は1000分の4ということとなり 贈与と比べると 税率は5分の1ということになります

いかがでしたでしょうか 登記を申請するにしても 登録免許税を納税しなくてはなりません
また 登記の申請するに至った原因によって税率も変わるため 相続対策という言意味づけで贈与であった場合 登記申請時に登録免許税も売買・相続と比べて高額であり 受贈者に対して 贈与税が課税されます

時折 電話の問い合わせで そろそろ対策しておきたいので 家族の誰かに名義を変更したいという要望があるようですが 誰に頼んでもかかる費用でさえも どれくらいかかるのか お分かりいただけたと思います

次回以降 また費用報酬のことを触れて行きたいと思います

相続手続きの相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

豊洲ぐるり公園から台場を望む 夕日が綺麗でした
カテゴリー
事務所より

親族間の不動産の譲渡について 相談を承ります

こんにちは
いかがお過ごしでしょうか
台風14号は南に戻り そして消滅してしまいました
伊豆諸島では 被害があったようです
異常気象という言葉が 普段から見られるようになり なんとなく麻痺してしまいそうですが 災害に対する意識は年々強く持ったほうが良いと感じています

さて 当事務所では 親族間の不動産の譲渡について 相談を随時受け付けております
不動産の譲渡と抽象的に記しましたが 有償・対価を伴うのか伴わないのかにより 譲渡後 意識すべきことが変わります

無償・対価が伴わない譲渡 すなわち贈与ということですと 贈与税のことを意識する必要があります
有償・対価が伴う譲渡 例えば売買や交換では 不動産の譲渡により取得した対価が その当時入手した価格よりも上回っているのであれば 譲渡所得税のことを意識しなくてはなりません
また有償・無償にかかわらず 譲渡により取得ということであれば 不動産取得税(都道府県税)が課税されます 

不動産仲介業者を介して 不動産の売買について 取引慣習によると 固定資産税の清算をしますが この清算についても 有償・対価を伴う契約形態ならば 譲渡所得税の課税標準価格に組み込まれるようです

税金のことを少しばかり記しましたが あくまで 一般的な知識に基づいて記しています
気になる方は 最寄りの税理士事務所にご相談ください。
以下に、税理士会の税理紹介サイトのリンクを貼っておきます

https://www.zeirishikensaku.jp/

名義を変更してほしいと よく言われますが 実際には、所有する人物が変わるため 所有権が移転することとなります

それから 見積もりについてですが 何をどこまで依頼するのかにより 金額が変わります。

売買・贈与であれば その証となる書面を作成しなければ 登記申請をすることができません 例えば売買契約書・贈与契約書などが それらの書面に当たります これらの書面の起案を依頼するかどうか
書面の起案に際し 確認事項もあります 場合によっては 現地の調査も必要になる場合がございます
ゆえに 二言目にいくらと質問されても 即答できない理由です
どうか ご理解いただきますよう お願い申し上げます

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
事務所:千葉県白井市冨士185番地の21

事務所近くの農園で咲いていたオクラの花です
カテゴリー
民事信託・遺言・後見・相続

登記申請手続は簡単ではありません

こんにちは

今回は 登記申請手続きについて記したいと思います

近頃は 現役を引退されて 年金暮らしで時間に随分余裕があり 充実した暮らしをされている方も多くいらっしゃると思います

ここ数年 相続事案については ご自身で対応される方も多くなったように感じます

ただ事案によっては ご留意された方が良いことも散見されます

どのような事案か

それは相続ではなく 譲渡性が生じる不動産の権利の移転が伴う事案です 相続事案より さらに留意が必要と感じます

 一部のお子さんにご自身が築き上げた財産を ご自身が元気なうちから 譲り渡して生かしてほしいという思いがより強いのか それとも 単に一部のお子さんが可愛いという心境からなのか 子供に不動産を譲りたい という方が 時々いらっしゃいます
 この場合 相続ではなく 譲渡という性格を持ちます そして 不動産の権利が移転した原因 まさに登記(をするに至った)原因について 「譲渡」という文言を用いることは認められてはおらず 金銭の対価を伴う「売買」なのか あげるもらうという「贈与」なのか 他にもいろいろ考えられなくもないですが とにかく「譲渡」という文言は使うことは許されておらず 譲渡についての具体的な原因を登記しなければならないこととなります

さて 登記が完了すると 法務局は その完了後一ヶ月内に 所有者および前所有者それぞれの住所地の管轄税務署、都道府県および市区町村の税務を扱っている事務所に対して 登記がなされた旨の通知する扱いとなっています

そうすると 一見 手続はそれほど難しくはなく 当事者の意思が揃えば登記申請はできますし 登記も実行されますが その後 その登記の内容に基づいて 税金を徴収する部門は行動に移ります 登記されている内容に基づき課税する要件に該当するのかどうか もちろん申告が前提である税目もありますが 調査をすることができるわけです

申告が前提となっている税目は 申告しなければ課税されないと思うかもしれませんが 先にも記したように 不動産の所有権が移転し 譲渡がどのような原因であったのか 法務局からの通知の内容を精査もしくは登記簿を閲覧すれば 課税要件なのか 申告の義務があるにも関わらずその申告が漏れていることさえも 関係税務当局はしっかり把握でき もしも申告をしなかった場合 税務署より申告するよう求められ それにも応じない場合「決定」として課税されることとなります 

また不動産の権利の移転が「売買」なのか 「贈与」なのか によって 譲渡所得税の課税の有無、贈与税の課税要件の有無も調査します

 登記の効力は 第三者に対して権利を確定的に主張すること いわゆる対抗要件の付与が大前提ですが それは何も当事者にとって必ずしも利益だけに働くだけではなく 登録免許税・譲渡所得税・不動産取得税・固定資産税各税目の納税の義務についても効力が生じます

もう一つ注意したいこととして 譲渡する対象物件が賃貸物件だった場合です 譲渡後 今まで生活の糧として充てにしていた賃料が 所有者をお子さんにしたことによって 賃料の受け取りについて 譲渡後 基本的にはお子さんが受領することとなります 今まで ご自身が受領していたはずですが 登記後 ご自身が受領し その賃料を消費した場合 その賃料は お子さんがご自身の扶養の義務に基づいて渡したものと考えるのか 扶養の義務を超えるくらいの年間の賃料であった場合 親子間でセールアンド(サブ)リースバックのような構成要件が成立するのか そして 賃借人との契約関係は 基本的には新所有者の方が契約を引き継ぐこととなります

親子間のことだから手続は簡単だろう と登記名義をお子さんの名義にすること自体は簡単なことかもしれません しかしながら そのことによって 納税の義務が生じ いくら納税しなければならないのか その認識をしていただきたい そんな意味では 必ずしも登記申請は簡単ではない ということがお分かりいただけると思います

相続に関する相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

タンポポの綿毛 通りを歩いていたら ふと気になり 撮ってみました