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相続登記義務化のこと2

こんにちは、今回は、前回の「相続登記の義務化のこと」の続編を記そうと思います。

前回は、相続登記申請の義務が顕在化する事象について、遺産の分割が成立し相続により不動産を取得した場合、唯一の相続人が単純承認した場合を取り上げました。詳細は、前回の記事をご覧ください。

相続人が「遺贈」により、不動産を取得したとき

それ以外に、相続登記の申請について、義務が顕在化する事象ですが、相続人が「遺贈により不動産を取得した」場合も、該当します。
簡単に記すと、遺言により相続人が不動産を取得した場合のことです。遺贈と相続は、法律上の効果はやや違う場合もありますが、相続人が取得する事象であれば、純粋な「相続」による法律上の効果とほぼ変わらないため、相続登記申請の義務が顕在化することになります。

相続人である旨の申出

相続登記の申請が難航する事象

さて、確かに、今度の4月1日に、相続登記申請が義務化されるのですが、諸事情により、登記申請が難航する場合もあります。

諸事情と記しましたが、実体上の所有者の帰属が定まっていない場合や、経済的理由により登録免許税を納税することができないため登記申請することができないなどが、主な理由として考えられます。

登記申請はできないが…

不動産の所有権を確定的に取得した相続人は、不動産登記の申請をする義務を負いますが、先にも記したとおり、登記申請をするにも難航している場合があります。そんな諸事情に対応するかたちで、「相続人である旨の申出」を登記所に申し出ることができます。

申出により、相続登記申請の義務を脱がれる?

メディア等で騒がれましたが、この申出の制度を利用するにあたって、留意しなければならないことがあります。

民法第177条の対抗要件は付与されない

まず、一般の方には、馴染みのないことであり、紛争に巻き込まれないと、民法第177条のことが臨場感がわかないのですが、不動産登記法では、申出を受けたことにより、「登記官は、付記登記をすることができる。」とあります。付記登記であるので、所有権移転の登記とは違うため、民法第177条によって、不動産の所有権について、確定的に主張することができません。登記上の所有者、所有権登記名義人は、相変わらず「被相続人」のままであることは変わらないのです。

文面が長くなりそうなので、次回にもう少し掘り下げたものを、記そうと思います。

相続手続の相談を承ります
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相続登記の義務化のこと

こんにちは

2024年、令和6年になりました。元旦から、大変なことが起きて、とても正月気分では過ごせない期間となりました。

この場を借りて、能登地震により被災された方へ、お見舞い申し上げます。

さて、今年の4月から大きく変わることがあります。相続により不動産を取得した場合、その登記申請が義務化されます。

施行日前の相続にも適応される

さて、この相続登記の義務化のことですが、法律施行日前の開始した相続についても、適応を受けます。

法律施行日前に開始した相続についての申請期限

気になることとして、法律施行前に開始した相続について、いつまでに登記申請をしなければならないのか?ですが、法律施行日(令和6年4月1日)から3年内に、登記申請をしなければならないこととなります。このことから法律不遡及効の原則にも抵触しない形をなっています。

相続登記申請の義務が顕在化する時期

ところで、これまで相続登記がされる場合ですが、大きく二つの事象がありました。

法定相続分に基づく登記申請

ひとつは、法定相続に基づく登記申請の場合です。この場合は、何らかの事情で、法定相続によって登記申請がなされたました。相続人以外の第三者からは、登記簿を見ただけでは判然としません。考えられることとして、

  • 法定相続分に基づいて、遺産の分割が成立した
  • 遺産の分割は成立はしていないが、登記申請がなされた

の二つの事象があります。

この法定相続分に基づく登記申請は、実は、共同相続人の一人からの申請行為で、登記所(法務局)は応答、審査、登記します。別に遺産の分割が成立していようとしていなくとも、申請は可能であり、登記されます。

話がやや脱線しましたが、この法定相続分に基づく登記の申請においても、登記申請の義務が健在される事象は、まさに、法定相続分に基づいて遺産の分割が成立し、不動産を取得した場合です。

遺産分割成立後、不動産を取得した相続人に申請義務が課される

今回の相続登記申請の義務化について、特に注意しなくてはいけない事象の一つで、遺産の分割が成立し、不動産を取得した相続人です。この事象は、まさに不動産登記法の条文の文言に沿うものであり、取得した時点(協議によって取得したときは、協議成立日、調停によって成立し取得したときは、調停成立日)から、3年内に登記申請をしなければならないこととなりました。

相続人が一人、単純承認した場合も申請義務が課される

相続人が一人で、単純承認した場合も、登記申請義務が課されます。この場合は、相続があったこと知り、単純承認したとき、遅くとも、相続があったことを知ってから3ヶ月経過した時点から、登記申請の義務が課されます。

結語

以上、相続登記申請の義務が課される方を見てきました。次回は、申出制度を用いれば、登記申請の義務が免れるのか、過料の制裁のこと、相続登記の申請と申出制度の違いを見ていこうと思います。

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言質より現物の確認を

こんにちは、今回は、相続手続の相談を受け、その際に感じたこと「言質より現物の確認を」することの大切さを記します。

一般の方が、戸籍収集の際の姿勢について感じること

電話や面談で、まず戸籍収集のことを話されることもあるわけですが、集めた戸籍が全て揃っていることもあれば、不足していることもあります。
 不足していることを指摘し、その後不足分を取得した際に、対応した自治体窓口業務の職員から放たれた言葉をよく聞いていることは、感心します。もっとも「これで大丈夫です。」という言葉は、彼らも、よほど自信がない限り、発言することはなく、「どの程度(例えば「出生」まで等)まで遡れた」という発言はしているようです。

 それでも、いざ、収集した戸籍を眺めていると、請求時に問題があったのか、それとも相続手続き以外のこと、例えば請求者自身が自分のルーツについて知りたくなり、入手が可能な範囲で相続手続きとは関係のない範囲の戸籍をついでに取得することがあるようで、範囲外の戸籍を持参される相続人もいらっしゃいます。

 一方で、被相続人の戸籍について、それでも不足していることも大いにいしてあるようです。そうすると一般の方は、いったい戸籍のどこを見て、不足しているもしくは十分であるのかをどう判断しているのか、その判断について、もしかしたら、第三者に潜在的に託しているのではないかと勘ぐりたくなる面もあります。それは、あたかもあの人が言ったから 大丈夫というようににです。

言質よりも現物の確認を

 このことは、相続手続を支援する士業の先生の態度についても、問題視しなければいけないと思う面もありますが、まずは、戸籍について何が記載されていて、その戸籍簿が利用されていた時期について、しっかり確認することが必要なのではないか?そう思えてなりません。そのことが、法務局等へ対外的に証明する際に、補足説明ができるまで、是非とも把握していただきたいと考えます。

相続手続きについて相談を承ります。
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事務所: 千葉県白井市冨士185番地の21

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相続手続き事始め

こんにちは、今回は、相続手続きの事始めのことを記したいと思います。

誰が相続人なのか?

あまりにも、漠然とした表現で唐突な小見出しですが、まず誰が相続人なのかを確認する必要があります。

身近な方が亡くなられ、相続人たる親族が看取りをなさっていらっることが、ほとんどの事象です。また葬儀等でも、まず相続人はほぼ参列していることもほとんどだと思います。

第三者に対し、自身が相続人であることを知らしめるための手段

日本では、戸籍制度が存在し、その戸籍に基づいて、自身が、被相続人(故人)の相続人であることを証明する機能を担っています。戸籍によって、ご自身が、相続人であることを証明することができます。

戸籍による消極的証明

一方、戸籍は、戸籍に搭載されている相続人以外の相続人は存在しないことを入手時点について証明しています。ただ注意しなければいけないこととして、遺言による認知等、被相続人の死後に戸籍の変動が全く存在しないということではありませんが、そのような事実が存在しなければ、戸籍事項が相続人であることおよび戸籍に搭載されていない相続人以外は存在しないことを証明しています。

この相続人について、戸籍によって把握ができていないと、後の遺産分割協議、相続登記申請、金融機関への金員の払い出し等に大きな影響を及ぼします。

相続手続の事始め、それは相続人を戸籍によって把握することが事始めであると考えます。

戸籍の収集を代行します

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問い合わせ前のお願い

こんにちは、今回は、当事務所をはじめ、司法書士事務所に問い合わせる前の、留意事項を記したいと思います。なお、相続手続に関する問い合わせのみに、限定して記したいと思います。

他の共同相続人と話ができるようであれば、よく話し合ってからの来所をお願いします

以前、訪れた事例を記しますが、同居されている他の共同相続人と話し合いができる状況であるにも関わらず、話し合わずに複数で来所されたことがあり、面談時に、他の共同相続人から「自分で(手続きを)やります。」と宣言されました。初動において取られた態度から、当職としても相続財産たる不動産における所有権の帰属が確定していない以上、事件を受託するのは適切ではないと判断し、お断りしました。

見積を依頼するなら、見積るための材料(資料)の提示をお願いします

このことも以前ありましたが、見積もるに当たっての材料(書類)の提示がなければ、見積もることはできません。

また「相場は?」という言葉をお聞きしますが、市場で公開されているような事業ではありませんし、そもそも法令通達倫理等において報酬基準は撤廃されており存在しません。もっとも統計調査に基づいた過去の結果は存在していますが、当時の報酬額が今日において適切かどうかは、誰しも判断することはできません。

話を元に戻しますが、業務を遂行するに当たって、見通しが必要となります。その見通しをつけるための資料の提示を受けなければ、見積もることはできません。

参考に記しますが、相続に基づく不動産登記申請依頼であれば、固定資産評価額、相続関係を証明する書類が明確にならなければ、見積もることはできません。

登記申請手続きの前に、実体上の権利関係を証する書面の起案は別途費用報酬の請求が発生します

面談時点で、書面が充実していない場合、登記申請にかかる見積もりの前に、実体上の権利関係を確定させるための書面起案は、登記申請手続きよりも前に必要なことですので、登記申請にかかる費用報酬とは別に請求が発生します。

弁護士業、司法書士業は慈善事業ではありません

最後に、少々厳しいことを記しますが、弁護士先生や私たち司法書士は、残念なことに慈善事業ではありませんし、国家行政から資格により限定されている職業ではありますが、それ以上の保護を受けているわけでわありませんし、金銭的に、補助を受けて事業が成立しているわけでもありません。

法令実務に関する情報を入手するだけでも、他のお客様からいただいた報酬を元手にして、経費を払って仕入れています。時折勘違いをされて、相談は無料ですよね?とおっしゃる方がいらっしゃいますが、原則、相談料は有償です。もっとも事務所によっては、地域へのことを慮って、初回30分は無料で対応したりする当事務所をはじめ他の事務所さんでも存在します。それにしても、もともと相談は、無償で対応しなければならない根拠は存在せず、むしろ法令により、相談を受けることを生業とする規定が存在する以上、原則有償であることを、ご理解ください。

海岸にて

相続手続きの相談に応じます(白井市市内在住の方は、初回30分相談料無料)

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