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事務所より 法教育

司法書士試験受験のこと

こんにちは 久しぶりにこのテーマを扱おうかなと思い 打ち込んでます

まず司法書士試験ですが 司法書士になるための試験です

ところで司法書士の仕事というのはどんなものか このことをよく知っておかないと 合格後の進路に問題が生じるので 今回はこのことを記そうと思いました

司法書士の業務ですが 法令では、まず司法書士法の第3条に規定があります コアな業務は法令上に規定されているのです 以下E-Govから引用したものを示します。長いので受験生以外の方は ざっと読み流しても良いです

(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(中略)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
イ 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ロ 民事訴訟法第二百七十五条の規定による和解の手続又は同法第七編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ハ 民事訴訟法第二編第四章第七節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法(平成元年法律第九十一号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ニ 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ホ 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二章第二節第四款第二目の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
八 筆界特定の手続であつて対象土地(不動産登記法第百二十三条第三号に規定する対象土地をいう。)の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の二分の一に相当する額に筆界特定によつて通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。
2 前項第六号から第八号までに規定する業務(以下「簡裁訴訟代理等関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する司法書士に限り、行うことができる。
一 簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
二 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
三 司法書士会の会員であること。
(3、4及び5号 中略)
6 第二項に規定する司法書士は、民事訴訟法第五十四条第一項本文(民事保全法第七条又は民事執行法第二十条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、第一項第六号イからハまで又はホに掲げる手続における訴訟代理人又は代理人となることができる。
7 第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イ及びロに掲げる手続において訴訟代理人になつたものは、民事訴訟法第五十五条第一項の規定にかかわらず、委任を受けた事件について、強制執行に関する訴訟行為をすることができない。ただし、第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イに掲げる手続のうち少額訴訟の手続において訴訟代理人になつたものが同号ホに掲げる手続についてする訴訟行為については、この限りでない。
8 司法書士は、第一項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない。

引用元:
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC1000000197#A

とこのように規定されています 簡裁訴訟代理関係業務が入っているので なんだか読みづらい規定になっています(苦笑)
と規定を見てきたわけですが さらにざっくり記すと

  • 登記供託に関する手続きの代理
  • 法務局に提出する書類の作成
  • 登記供託に関する審査請求の手続きの代理
  • 裁判所、検察庁に提出する書類の作成、筆界特定手続きに関する書類の作成
  • 先に掲げられた4つの事務に関する相談
  • 簡裁訴訟代理等関係業務
  • 簡易裁判所の管轄にかかる民事紛争の相談、仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理
  • 筆界特定の相談・代理(ただし利益の額が140万円を超えないものに限定)

とこれでもまだ読みづらいなぁと思うのですが まぁこれくらい絞り込んで表現すれば 受験しようかどうしようか迷っている方には わかりやすいと思います あっ 受験生は もちろん引用した文言を理解する必要があるので 直前期までにしっかり復習してくださいね
法律系の資格として受験界では位置付けられているのですが 先に掲げた業務の中でも「『登記』に関すること」が大きく試験も関係してきます もちろん供託も聞かれますが 出題数から言えば私が合格した平成17年でも3問出題されましたが 実体法と手続法が解っていないと難しい問いが多いです それから民事訴訟執行保全に関する知識も足し合わせると 侮れない出題範囲になります

実務ではどうかというと 受験との関わりが強いのは やはり「登記」です そして登記業務が一番携わっている業務と言っても良いと思います

一応 補足すると「成年後見」に関する業務が法令では姿を表していないのですが 他の法令によって 成年後見人に就任することを制限する規定が存在しないため 司法書士は成年後見を業務とすることが認められると解されています そう考えると成年後見業務は司法書士のみならず 弁護士 行政書士 社会保険労務士 税理士 公認会計士などの他の士業の先生も 成年後見に関する業務をすることができるのです

さて やや脱線しましたが 業務という性格から司法書士試験を見てきました 登記に関する知識について答えられることが大きなポイントとなるのですが 登記に関する知識は実体法の理解が必須となります 実体法とは民法・商法・会社法等というより実生活に近く 権利義務の発生 変更 消滅に直接関わる法令で これらの理解が必要なのです

そうすると 司法書士試験で問われていることは何か それは登記 供託 民事訴訟・執行・保全に関わる実体法と手続法を理解しているか ということとなります 故に弁護士を目指す司法試験 行政手続の申請に重きをおき 公務員試験の合格者と同等の知識を備えているかを問う行政書士試験 その他 法律系の資格試験は色々ありますが 聞かれていることがそれぞれの試験で違うことを意識し どの事務仕事をしたいのか その中で登記・民事に関する裁判事務に関わること 司法書士に関する業務をしてみよう 故に司法書士試験を受験する という動機づけをした上で 受験に挑戦してほしいと思います

次回以降も 受験に関することを記そうと思います

司法書士 竹下流 合格ロード ─短期合格へのタイムスケジュール 第6版

上記の書籍は 司法書士試験の受験についてどう捉えるべきか 私が司法書士試験受験生時代のときの講師の先生が記した書籍です 参考に読まれてはいかがでしょうか?

司法書士試験受験の相談を受けた賜ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357 

日本丸
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法教育 離婚・財産分与

離婚のこと

こんにちは 今回は離婚のことを記したいと思います おそらく数回に分けて記すこととなると思います

もちろん法律上の問題を扱いますが 個別具体的な事案については 聞かなければ最適な方法は見つかりにくいものです
もしも 急いでいる すぐにでも ということなら 当事務所 弁護士事務所 司法書士事務所へのアクセスをお願いします

さて 離婚ですが まず 話し合える余地があるのかないのかによって たどるプロセスも違い 行くべき場所もあります 話し合える余地がなければ 家庭裁判所の力を借りるため 離婚の申し立てをする必要があります

話し合いの余地があるならば「協議」となります この「協議」ですが 必ず対面して「協議」をしなければならないのか というとそうでもなく 通信手段を用いて「協議」は成立させようと思えばできます もっとも その証となる「『協議書』の作成」の段階で 書面に相手方から署名押印をしてもらう必要があるため 対面してまとめたものをすぐにでも署名押印してもらうくらいの気持ちが必要になります もしも電子文書で と考えがよぎるかもしれませんが 当事者双方の電子署名電子証明書の準備が必要ですし その電子署名を付与するためのツール等の準備を その離婚のためにするとなると 相手方の協力が必要ですし ご自身についても準備に相当な時間を要します 現実問題としては難しいと考えます

さて 裁判(調停・審判)なのか 協議なのか がはっきりしました

以降は 協議について 記したいと思います

まず お二人の間に 未成年のお子さんがいらっしゃるのかどうか です

いらっしゃらないならば 特に気にする必要はありません いらっしゃるのであれば 財産分与 慰謝料等の請求に先立ち 決めなければならないことと捉えていただきたいと思います

未成年のお子さんのこと 成人するまでは父母のどちらかは「親権」を負わなければなりませんし 場合によっては 間接的に 親権者ではない父母の一方が「監護」することとなるかもしれませんし 成長にあたっては監護の費用(いわゆる「養育費」)のことを決めなくてはなりません

次回以降に 親権・監護のことを記したいと思います

離婚に伴う財産分与等に関する相談を承ります

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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事務所より 法教育

手段が目的とならないように 目的を見失わないように

こんにちは

面談をしていて 時折 手段が目的に変わってしまっている方や 目的そのものを見失っていると見受けられる方がいらっしゃいます

登記申請手続 裁判事務手続は ご自身で申請・請求申立てするにしても タダ(無償)ではありません

それぞれ 手数料 登録免許税 郵送費等を前納する必要があります

そのために時間を割いて手続をするにしても 窓口の前で待たされることがあったり そもそも 出向いて手続をしている以上 現地に出向くまでの時間や移動費も捻出しなければなりません
 このことは ご自身のみならなず 相手方 履行補助者 利害関係人からのなんらかしらの協力があって 物事が運ぶことがほとんどです

誤解しているかもしれませんが 裁判手続きを使って すぐに権利を実現できると思われている方がいらっしゃいますが 申立をすれば即時に認められるわけではなく とっても早くて数ヶ月 普通で数年 長期化すれば 当事者一方もしくは双方が疲れ果てるまで もしくは 金銭的時間的に打ち切った方が得だと判断した結果手続きが終了するまで続きます

それほど時間がかかる手続きですから その終結までご自身の精神状態がタフでなければ続きません
ご自身のあり方が持続できれば 手続きは進められますが そうでなければ 到底ご自身が望んだ結果とはかけ離れたものとならざるをえないことも多々あります

自身の権利を頑なに主張し 相手方をあたかもやっつけるくらいの勢いで 息巻いてこられる方もおり 時折 面談も打ち切らざるを得ないと考えることもあります

そもそも ご自身が何をしたいのか 相手をやっつける 相手方の権利をむりむり剥奪する(法律上要件を満たさなければ 到底できない話です) ようなことをおっしゃっている方もいらっしゃり 対応に苦慮するケースもあります

法律上認められている権利を 利害関係者がむやみに剥奪することは 許されるものではありませんし そのような気持ちや行動指針で 手続きに着手したところで 良い結果を望むことはできません

利害関係者を敵に回した上で手続きを開始する場合 と 利害関係者からの協力を得て手続きを開始した場合 手続きに要する時間はどちらが短いと思われるのでしょうか?
そう考えれば 自ずと どのような手続きが望ましいのか そして手続きが終わったときの結果のあり方はどのようなものなのか 少し想像すれば ご自身がどのような気持ちや態度で 取り組まなければならないのか 自ずと気がつくと思います


平成31年4月27日から令和元年5月6日までお休みをいただきます
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

Shidare-sakura and half moon
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民事信託・遺言・後見・相続 法教育

当事者と第三者について

こんにちは

今回は 当事者と第三者のことを 記したいと思います

このこと 実はみなさん あまり気がついていませんが 不動産の取引や相続により その権利の帰属から登記に至るまで とっても重要なことですので 我々司法書士は意識をかなり置いています

「名義を変えてほしい。」という問い合わせが普通にあるわけですが この名義を変えるというのは 単に名前を変える ということではなく 実体上 権利変動があったことにより もとの名義の方から他の名義の方に権利が移ったことによるものです

そうすると 婚姻・離婚・縁組・離縁・改称等により名義が変わった ということではなく 権利者が入れ替わったことを表しているということになります

さて 当事者と第三者ということですが 当事者というのは 権利の変動の過程について利害関係を直接持っている と表現しても良いでしょう
すなわち 登記がされていなくても 元の所有者(便宜所有権について着目します。)に対して 売買によって不動産を取得したなどの事情があるが 未だに登記を受けていなくても 自身が所有者であることを 元所有者に対して主張し認められます。

相続ならば 他の相続人と遺産分割協議の結果 不動産を取得した相続人は 他の相続人に対して 自身が所有者であることを登記がなくても認められます。

一方 ここで申し上げたい 第三者 ですが 先に記した当事者や当時の当事者がすでにいなくなっているが権利義務を(相続や合併により)承継された方以外の方のことを言います

そして 所有者は 動産であれば 引渡しを受け 現在の占有があれば 第三者に対抗することができます 一方 不動産の場合は 引渡しを受けても 第三者に対抗することができず 登記を受けることによって 自身が所有者であることを確定的に主張することができるのです

登記のこと あまり理解されていないがために 相続があったら(なくなく)名義を変えなきゃ であったり 建物を建てたけど登記は(しなくて)いいよね!? と 仰る方が時折見かけますが 登記をすることによって 第三者に対し 対応することができるわけですから 権利を確定的に主張する対抗要件を付与することを強く お勧めします

財産管理に関すること 相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL:047-446- 3357

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事務所より 法教育

民法(債権法)の改正

こんにちは

当事務所としても いよいよという心境です

これまで 研修という名目でイベントが各所で行われてきましたが 改正の準備に着手し始めた頃は 参加することもありましたが どうも 政治色が強かったので しばらくの間 見合わせていました

やはり 国会で審議をすることが大事なことであり 職務は「法律を司る」ことであり 立法段階で 職務に基づいて 意見を申すのはどうかと感じていました もっとも憲法上どうだろうと検討することは必要であろうと思いますが 債権法は基本的には 私的自治の原則が前提です ゆえに他の法令や強行規定に違反しなければ 当事者同士で決めてもよいこと なのです

もちろん 社会情勢とマッチしていない規定を見直さないのは如何なものかと思います これは議論はすべきだと思いますが 議論する場は立法機関である国会であり 国会議員の先生方に陳情しその上で 議論をしてもらって対応することが筋だと思います

最後に 当職がまだ資格取得前の司法書士試験受験時代に たまたま法務局の窓口の向こう側の方と話の際にでてきた発言を強く覚えています そのことを記したいと思います
「法律を改正したところで 万人にとって良くなるものは存在しない もっとも最大公約数にとって最適であること また結果的に弱者となってしまう人に対しては別の法律で持ってしてでも配慮は必要だろう」

この発言を聞いて やはり 一法律でもってして 一刀両断というのは 本当は難しいことなのかもしれないと感じました

成立する民法債権法について 注目していこうと思います

司法書士 大山 真 事務所

菜の花畑