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負債の相続について(その2)

前々回取り上げていました負債の相続について、続きを記したいと思います。

では、被相続人が、どちらに負債を負っていたのか、把握することは、なかなか難しいかもしれませんが、調べる方法が、全くないわけではありません。

調べる方法の一つに、全国銀行信用情報センターへの「個人信用情報」の開示を請求する方法です。この請求は、郵送による方法のみということです。平成23年8月末までは、窓口での請求も対応していた様です、現在も郵送による請求のみの取扱いによる様です。

但し、こちらのセンターが管理している登録情報は、以下のとおりです。引用します。

1取引情報・・・・・ローン、クレジットカード、保証のお取引およびこれらの連帯保証人に関する情報
2不渡情報・・・・・当座取引の手形・小切手の不渡に関する情報
3官報情報・・・・・官報によって一般に公開された破産・民事再生手続の情報
4本人申告情報・・・本人確認資料の紛失・盗難により自分の名義を勝手に使われるおそれがある場合等一定の場合に、ご本人からの申告にもとづいて登録した情報
5照会記録情報・・・会員が当センターに情報を照会した目的等を記録した情報

この引用からわかることですが、原則銀行との直接の取引(債務者及び保証人としての取引)、及び銀行系のカードローンによって、生じた債務については、5年間ですが、情報を取得することができます。

もっとも遺品の中に、通帳があれば、直接、その金融機関にアクセすることが時間もかからずに、解決できることもあります。

被相続人が遺した負債の規模にもよりますが、相続人自身が、その金融機関と取引をしているのであれば、今時の金融機関であれば、一方的な処理をされることは無いと考えます。(例えば、相続人も金融機関と取引があり、被相続人が、不動産を所有しており、住宅ローンとは別の負債を負っていたケース(住宅ローンは既に完済済みが前提です)として、その不動産が(空き家になった等の)遊休資産であるならば、売却のことを念頭に話をされると、前向きに話が進むと思われます。

次回以降に、またこの続きを記したいと思います

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負債の相続財産について

こんばんは

相続というと 土地 建物 預貯金 株式…. と資産でもあるプラスの財産を引き継ぐだけ と思い浮かべますが 実は相続財産には もう一つあります

それは、借金 保証人になっていた場合の保証債務等の負債です

この負債の調査は 実のところ 難しいのですが まず 直ぐにでも調べられる方法は 遺品の整理時に 郵便物、書類や預貯金の通帳をよく確認することです

銀行系のカードローン、クレジットカードの支払については、預貯金通帳に記帳されています

負債については 生前のお金の流れ 職業(事業所得者だったのか、御務めされていたのか)でも 注意する必要はあります

気になるのであれば 信用情報を扱っている団体・機関に照会をしてみる方法があります この照会については、次回のブログで記したいと思います

 

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シダレ桜と夜の月です
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登記することを強く薦めます

最近 相続の相談を受けたり そのことと派生して 建物の登記を確認すると そもそも登記すら存在していなかったりする事案を見受けます

きっと登記制度の趣旨と民法第177条のことが 浸透していないのでしょう

民法第177条のことは、後日記したいと思っていますので 今回は割愛致します

それよりも何よりも 登記をしていないとどうなるのか 元所有者が被相続人であり現所有者が相続人の一人であってそのまま住んでいるのであれば 何も問題はすぐには起きない様に思われます。

ところがその後、問題が発生するシーンは幾つか考えられます。

一つ目は、現所有者がいなくなってしまった場合です。敢えて、いなくなってしまった場合と記しましたが、死亡してしまった場合や行方不明になってしまった場合、現在の所有権の帰属が誰なのか、不明確となってしまうからです。迅速に確認する手段が見当たらないのです。

二つ目は、不動産の処分(売却や担保権設定)をしようとした際に、問題となります。これから不動産を取得する買主としては、登記を受けたいこと(対抗要件を付与してほしいこと)は、必須ですから、登記が現所有者になっていないと、元所有者から現所有者への権利の移転登記が必要となってしまうのです。

よくありがちなこととして、費用がかかるので放置する、愚かな選択をされる方がいらっしゃいますが、放置をしたことのしわ寄せは、いずれ必ず顕在化します。

登記を受けていないということは、第三者に対抗することができず、確定的に主張することができないばかりか、取引において、誰を相手に取引をしなければならないのか、また不動産の所有権が転々と移転したとしても、誰が登記名義を持っているのかを重要視します。

以前、頂いたコメントですが「子供達が(この家を)継ぐから、登記は必要ありません。」「以前(登記されていた)父の家を取り壊した時に、(息子である)自分が承諾して取壊しができたのだから、(自身が立てた未登記)建物を取り壊すことは、自身が他界した後でも、子たちがすることは簡単だ」という思い込みは、辞めるべきと考えます。お子さんには、お子さんの事情があるでしょうし、寂しさを感じるかもしれませんが、うまく活用できない資産は、宝の持ち腐れでしかありません。相続人が居住していなくても、所有権を持っているだけで固定資産税の納税義務が発生しますし、売却もしくは賃貸として活用するにしても、登記が問題となり、すぐには売却や賃貸できないこととなってしまいます。

やはりできるときに 登記をしておくべきと考えます。

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配偶者は常に半分(2分の1)とは限りません。

相続の相談を受けていて、やや誤解されている方が多いので記します。

今回は、配偶者が受ける相続分のことを記します。

私たちが、よく相談者からお聞きするのは、「配偶者は2分の1」という発言が、多く見受けられます。

基本的に、3分の1の確立で正しいとも言えますし、誤りとも言えます。

確かに、相続人が配偶者及び子(第一順位)の相続であれば、配偶者が受ける、法定相続分は、「2分の1」です。正しいです。

ただ、それ以外の場合で、違いがあります。

相続人が、配偶者及び兄弟姉妹の場合、配偶者が受ける法定相続分は「4分の3」なのです。なお、兄弟姉妹は、その「4分の1」をさらに分け合うこととなるのですが、被相続人の父母と兄弟姉妹の父母が両方同じか一方だけ同じかによっても、その兄弟姉妹の受ける法定相続分に違いが生じます。

それから、配偶者と直系尊属が相続人の場合は、配偶者は、「3分の2」の法定相続分があります。直系尊属全体で「3分の1」、更に、実親、養親が存在する場合は、その尊属の数で除して計算された相続分が、直系尊属のここの法定相続分となります。

安直に「2分の1」ではなく、違う場合もありうるので、注意が必要ですね。

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同一事件を複数同種の専門家への依頼は基本的にできません

 同一の案件で、既に依頼済である場合(例えば相続手続支援について既に司法書士に依頼しているが、別の司法書士にも依頼したい場合)は、基本的に、同種のどの専門家(司法書士事務所)からも断られます。

応じられない理由

 理由は、いくつかあります。一般的には、「信頼関係の破壊」が大きな理由で上げられるようですが、実務上、もっと深刻な問題があります。
 事実を御聞きして、どのような方針を定めるか、専門家の見解はそれぞれ分かれます。ある方はAという方針が良い見解を出されるし、ある方はBという方針が良いと見解を出されることもあります。
 まだ相談の段階であれば、誰でも受けることができます。しかしながら相談の領域を超え、事件の事務処理を依頼された場合、その時点で方針は確定し、事務を処理しなければならない段階に入ります。そうすると、後で依頼をうけた専門家の方針が、先に受けた専門家と事務処理が衝突してしまうため権利関係が複雑になり、結果的に事務処理はできないのです。足なみが揃えば、分業という意味で業務は成立する可能性はあると思われますが、見解が違って、方針も違うと、必ずしも向かって行くゴールが違う場合があるからです。
 そして一番気になる報酬ですが、現在、報酬基準は存在しません(各組織では、一応アンケート調査をした結果の報酬の平均は公開されている様ですが、平均はあくまでも平均です)。なぜ基準がないのでしょうか。もし基準を設けると、公正な取引が成り立たなくなります。法律で基準を定めることは、国家が、率先して公正な取引を妨害していることと同じ事なのです。なので存在しないのです。
 そして一つ一つ事件は個別なので、単純に電話で「幾らかかる?」と聞かれても一律に価格を決める事は不可能といっても良いです。各事件の最低額は一応事務所では決めているのでしょうけど、参考に付言されるだけです。なぜならば、まだ事情を全て聞いていなければ、まだ他にも事務処理が存在するのにも関わらず、その価格で全てができてしまうと勘違いされてしまい、本題を処理した後に紛争が生じる可能性があるからです。
 また最高の価格(これだけ支払えば、間違いなく事務処理をしてくれる価格)はと聞かれても、基本的にはお答えできません。これもそのまた逆の心理で、もっと経費を抑えられるかもしれないのであれば、提示する価格は適当ではないし、信頼関係が形成されないからです。
 そして報酬に関して、他の専門家の請求金額が妥当なのか、そうでないのかも判断はできません。そもそも相談後、依頼を正式にされる前に、事前に見積もりを提出してほしい旨を伝え、リアクションを確認することが必要です。
 事案によりきりですが、はっきりを言ってくれないのには、訳があります。まだ請求金額を確定するために判断する材料が不足しているためです。
 不確定の請求金額であるが、それでも依頼したいという理由で依頼されたのであれば、そこには、不法行為、不当利得という債権債務は存在しないのです。
 では、どうすれば良いのか、先に依頼した専門家の方に、基本的に全部御願いすることです。それでもある事案だけは、他の専門家に依頼したいのであれば、その件について、先の専門家に既に依頼されているのであれば、先に依頼している先生には辞任をしていただき、その旨の書面を後の専門家に提出する方法が良いと思われます。その際に先に依頼した専門家から関係書面を返却してもらい後の専門家に自らが提出することが必要でしょう。

 上記に記したことは、先に依頼している専門家とは他の専門家(例えば税理士、公認会計士)に相談や事務処理を依頼される場合は、もちろん問題は生じません。なぜならば、それぞれの専門分野で、事務処理の守備範囲は分化されているからです。ただし、実体上の関係と税務上の取扱いは、多少の違いがあるのも実情です。なので、関係当事者全員から協力が得られるのであれば、節税を諮る意味で、税理士、公認会計士から、まず話を聞いて方針を定めてもらって、他の専門家(司法書士等)に依頼するということは有意義な方法かもしれませんね

イタリア ベネチアにて

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年6月28日に、本ブログに移植しました。なお、タイトルおよび本文の記載について、加筆修正しました。