カテゴリー
事務所より 法教育

法律問題より「あり方」の問題

こんにちは、本当に暑い日が続いています。ご自愛ください。
 さて、時々ですが結論を言うと表題のとおり「あり方」の問題であると回答をせざるを得ない問い合わせが、時折あります。

不動産売買契約のこと

不動産売買に関する問い合わせであり、しかも売主からもの。中古建物付きの土地不動産売買契約に関することでした。

内容をよく聞くと、どうも仲介業者から、「(建物を)リフォームした方が、もっとよく売れる。」と説明を受け、その数週間後、見積書を見てみると、専任媒介契約締結時に、申し出た希望価格から大幅に減額され、約6割りにしかならない、とのことでした。

売買に関する費用と不動産価格について

売買費用について民法は、当事者間で特約の定めがなければ、折半で負担することとなりますが、不動産そのもののリフォーム代(修繕費)についても、当事者間の約束事で、売主負担とするのか、それとも買主負担とするのかを決めることはできます。

ただ上記に記したとおり、売主負担でリフォームした方が、建物付き土地売買の成立はし易いのかもしれません。

契約が成立するための要素

契約を締結するにあたり、その法律行為が伴っていなければなりません。その法律行為の前提として、

信義則に反しないこと

強行規定に違反しないこと

公序良俗に違反しないこと

の三つの要素が挙げられます。その上で、能力に制限がない方からの契約締結について相手方への意思表示がなくてはなりません。

売買価格等について納得がいかないのなら

契約内容に納得がいかないならば、契約書の署名押印が揃う前に、仲介業者に問い合わせるなり、保留にするなり、一度立ち止まって、よく考える必要があります。そうすれば、契約成立前の意思表示の留保となります。その際に、契約成立に向け進行状況により、具体的に相手方が負担した経費(例えば、打ち合わせの席に出向いた移動費等)を賠償する義務を負う可能性は無いわけではありませんが、契約解除に伴う相手方の賠償を真正面に負うこととなならないので、意思表示をする前に、留保して立ち止まることが大事です。

法律問題というよりその契約について、ご自身の「あり方」は?

その売買契約についてよく考えることとは、ご自身にとって、この不動産の売買をどのような「あり方」で以って挑まれるのかが重要なことであり、法律問題というよりご自身のあり方が問われていると考えます。

ご自身の「あり方」をよく考え、熟慮した上で、契約に望むことを 切に願うばかりです。

2018年7月24日 に投稿したものですが、内容を再構成しました。

不動産の個人間売買についての相談を承ります。
当事務所の詳細は、事務所Webページもご参照ください。
司法書士 大山 真

カテゴリー
事務所より 民事信託・遺言・後見・相続

年度が変わりました

こんにちは、年度が変わり、いろいろ変わっていることが多いものです。その変わったことに対応していかなくてなりません。

今回は、不動産登記申請について、留意すべき基本的なことを記します。

年度の前後、すなわち3月と4月で、留意しなくてはならないことは、不動産登記申請の対象となっている不動産の評価額のことです。

固定資産評価証明書の使用期限

この不動産の評価額ですが、評価替えの年度では、特に留意するものですが、そうでもない年度でも、やはり新しい年度の評価額が、登記申請時に必要な情報となります。前年度の評価証明書でもって、価格証明書として使用することはできないのです。

長期化した相続手続と評価証明書の年度に留意

また長期化している相続手続後の登記申請でも、特に留意が必要です。相続手続時点では、相続開始時の価格に焦点を当てますが、年度が変わるくらい歳月が経過した上で、遺産分割が成立していざ登記申請の段階で価格が変動していることがあり、当初予定していた登録免許税価格についても変動している可能性もあります。

何事も、しなけれがいけないことを早めに行うことが、よくよく考えてみると、積極的とまではいかなくても、メリットが大きいのかなと思います。

相続手続きの概要については、当事務所webページも記しています。ぜひをご覧ください。

相続手続きについて、相談を承ります。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

地上では桜が咲き乱れ、夜空は春を終わろうとしているそんな情景でした。
カテゴリー
事務所より

明日で大きく変わります(成年年齢のこと)

こんにちは

今回は、いつもと違い、相続のこと会社法人のことではなく、明日、施行される成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることを受けて、当事務所ブログでも記したいと思います。

そもそも成人すると何がどう変わるのか?

何がどう変わるのかですが、まず民法の規定の行為能力の制限が解かれます。もうすこし具体的に言うと、親御さん等の親権者・未成年後見人の関与なく、一人で法律行為が行えることです。

もっとも、法律行為とは何ですか?と疑問に持たれる方も、いらっしゃると思います。

法律行為とは?

法律行為とは、簡単に説明すると、契約等において意思表示をし、その締結を完結させることができ、その契約締結をしたことによって、権利を得、義務を負うことの能力のことです。

以前から買い物等で、モノを買ったりしているから問題ないと感じるかもしれませんが、もっともっと高額な取引、例えば、不動産の売買契約についても、親御さん等の関与なしに、締結できてしまうのです。

よく言われていることですが、悪徳商法のターゲットの話があります。うまい話なんてそうそうありません。何だかおかしいなと思ったら、相手と距離を置くようにしましょう。

本人以外のご家族への影響 特に養育費のことは?

 親御さんにとって気になることは、養育費のことでしょうか。養育費については、法務省のホームページの記載を引用します。

A 子の養育費について,「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることがあります。成年年齢が引き下げられた場合にこのような取決めがどうなるか心配になるかもしれませんが,取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからしますと,成年年齢が引き下げられたとしても,従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。

  また,養育費は,子が未成熟であって経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるものなので,子が成年に達したとしても,経済的に未成熟である場合には,養育費を支払う義務を負うことになります。このため,成年年齢が引き下げられたからといって,養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。例えば,子が大学に進学している場合には,大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。

  なお,今後,新たに養育費に関する取決めをする場合には,「22歳に達した後の3月まで」といった形で,明確に支払期間の終期を定めることが望ましいと考えられます。

法務省のホームページより:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00238.html

法務省のwebページにもあるように、実は、画一的に20歳になるまで、という決め方だけではないのです。また既に取り組めがされているのであれば、その取り決めに基づいて、請求し、履行されるべきと解されています。もっとも、家庭裁判所の書記官から、まず第一声は、成年に達成しましたか?就学中ですか?、と問われることことはあります。

養育期間中に立て替えた費用は?

それから、未成年の期間中に、養育費の支払いが滞った期間があれば、他方の親御さんから立て替えた事実に基づいて離婚後の紛争調整調停で、主張することもできないわけではありません。もし不調となったとすれば、訴訟という段取りを踏むと考えられます。

成年年齢と喫煙・飲酒・公営競技場での公共賭博のこと

さて、18歳、19歳の当事者の方を対象に、もう少し記そうと思います。これも言われていることですが、お酒の飲酒、タバコの喫煙については、民法の成年年齢が18歳に引き下げられても,年齢制限は,20歳のまま維持されます。根拠法令が、民法ではなく、飲酒に関しては、「未成年者飲酒禁止法」、喫煙に関しては、「二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律(令和4年4月1日で改名)」にあり、制限を受けます。

公営競技と成年年齢のこと

また,公営競技(競馬,競輪,オートレース,モーターボート競走)の年齢制限についても,20歳のまま維持されます。競馬は「競馬法」、競輪は「自転車競技法」、オートレースは「小型自動車競走法」、モーターボートは、「モーターボート競争法」により、制限を受けます。
飲酒、喫煙は,健康被害への懸念や,ギャンブル依存症対策などの観点から,従来の年齢を維持することとされました。

そもそもなぜ成年年齢を引き下げるの?

そもそも、なぜ引き下げるのですか、という疑問が湧いてくるかもしれませんね。そのことも、法務省のページに記されています。引用しますので、見ておきましょう。

我が国における成年年齢は,明治9年以来,20歳とされています。

  近年,憲法改正国民投票の投票権年齢や,公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められ,国政上の重要な事項の判断に関して,18歳,19歳の方を大人として扱うという政策が進められてきました。こうした政策を踏まえ,市民生活に関する基本法である民法においても,18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになりました。世界的にも,成年年齢を18歳とするのが主流です。  成年年齢を18歳に引き下げることは,18歳,19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり,その積極的な社会参加を促すことになると考えられます。

法務省のホームページより: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00238.html

憲法改正国民投票権、選挙権年齢が18歳と定められたこと、世界的にも18歳とするのが主流である、とのことのようです。

大事なことは、選挙権の行使

冒頭で、やや怖いこと、何だか面倒なことに巻き込まれるかもしれないと感じるかもしれません。この改正も含めて、18歳からという年齢のことで大事なことは、今回の成年年齢の引き下げとは直接関係ないかもしれませんが、選挙権を行使できることだと思います。年齢が若ければ若いほど、この国家と長く付き合っていかなければならないことを考えると、18歳、19歳の方が高齢者よりも重要だと思います。そうであれば、選挙権が付与された以上、実社会においても、自らが権利義務の主体となり、その法律行為についても、単独で意思表示ができ権利を自ら行使し、義務を真っ当に果たすこと、それが大事だと思うのです。

国家資格(司法書士試験)および職業選択は成年年齢の関係はどうなる?

ついでながらですが、司法書士の年齢制限は、どうなるのか? 実は、法令では、未成年のままです。すなわち、18歳から登録することが可能となります。このことは、国家試験の受験資格のみならず、実務界に、飛び込んで活躍することができることを意味します。もしかしたら、近いうちに、18歳、19歳の司法書士が、簡易裁判所での法廷にて原告席、被告席に立つ日も、近いのかもしれませんね。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

事務所近隣の公園の桜の写真です。春は、いろいろ仕組みが変わる季節なのかなと思います。
事務所から近隣の公園で桜の季節を撮ってみました
カテゴリー
民事信託・遺言・後見・相続

相続手続は早めに取組むべきです

※2017年4月6日 3:08 PM に投稿したものですが、再構成、再投稿しました。
そして、令和6年4月1日から、相続による不動産の取得については、登記申請が義務化されます。詳細は、以下のリンクをご覧ください。


こんにちは

4月に入り、暖かい日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?

同業者のある発言

さて先日、依頼者との面談の席で「以前(亡くなられた御)主人の友達(司法書士)から「売ったりしなければ 相続手続なんてしなくていいんだよ!」と言われましたが…、という発言がありました。

同業者に対し、「なんと無責任な発言をしたのだろう。」と感じました。

相続手続をしなくても良い相続人は、存在するのだろうか?

相続手続をしなくても問題ない方は、ご自身以外の共同相続人が存在しない方に限られます。

生存配偶者が、唯一の相続人である場合

例えば、生存配偶者が唯一の相続人であり、ご自身以外に子、直系尊属、兄弟姉妹そして甥姪も存在しない場合や順位に該当する相続人一人しかおらず、他の共同相続人がいない場合、確かに相続手続きを積極的にしなくて良いと言えます。なお、甥姪を敢えて記しましたが、被相続人が死亡する前に兄弟姉妹が以前に死亡していた場合は、甥姪がその兄弟姉妹の代襲相続人として存在する可能性があり得ます。

生存配偶者が存在せず、順位に影響ある相続人の場合

では順位に含まれている相続人の場合は、その順位のどなたかが相続について承認すれば、その準備で留まるので次順位の問題は、無くなります。該当する順位の相続人がすでに他界してしまっている、もしくは相続放棄の申述をし、家庭裁判所に受理されていれば、その方の関与はあり得ませんが、他の共同相続人が存在します。その他の共同相続人について相続が開始すると、関係当事者が増えてしまうことが、容易に想像できると思います。

そうすると、遺産分割協議等の手続をする必要がない方は、極々限られてきます。

ところで、なぜ問題となる可能性があるのでしょうか?
それは手続をせずにいると、他の相続人が亡くなられた場合、その亡くなられた相続人の相続人が被相続人の権利義務を相続するからです。
もし遺産をどのように分けるのか、その協議が調っていなかった場合は、その相続人の相続人も協議に参加しなくてはならないのです。

相続手続を遅らせると、意図しない人物の関与が必要なことも?

抽象的に記したので、臨場感が湧かないかもしれませんが、もう少し現実味のある話として例えば、ツレが亡くなり、その後、共同相続人の子どもが亡くなると その子の配偶者(嫁婿)及び子(孫)が相続手続、協議に参加しなければならない、ことになります。お孫さんであれば、まだ話をまとめることは難しいことではないと思われますが、姑嫁、舅婿との話し合いが上手く行くのかどうか、お互いのこれまでの接し方によって大きく左右するのではないかと、個人的には考えます。

不安定な権利関係から、相続手続をすることにより恒久的な権利を確保することが大事ですね!

相続手続きの概要については、当事務所のWebページをご参照ください。

相続手続の相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

春ですね、桜の花が今すぐ咲きそうです。
カテゴリー
会社・法人・企業法務

会社都合なら「解雇」です

こんにちは、随分前のことですが、会社の解散・従業員の解雇の相談があり対応したときのことでした。
話があまりにも噛み合なかったので受任しませんでしたが、取り組んでいらっしゃる事業からすると悪い人には見えないのですが、あまりにも意識が低い方だったのかなと思います。

会社の解散に伴い、従業員に御辞めになって頂く場合は、従業員の(自己都合による)退職ではなく明らかに「解雇」です。

その方から、言葉について「『冷たい』じゃないですか」と仰っていましたが、あくまでも会社の都合で御辞めになって頂くのですから「解雇」ですとこちらが説明しましたがご理解頂けなかった様です。

そもそも論として「冷たい」という言葉が出てくるくらいならば、事業譲渡や法人そのものの売却をなぜ検討しないのか、視野がとても狭く、経営者自身が単につらくなったから、会社を閉めることのみについてしか思考が働かないことに、なんだか可哀相な方の様にも思えました。

もちろん解雇手当も払わずに、いきなり「解雇だからさようなら」というわけにはいきません。原則1箇月前に予告をするか、1箇月分相当の給料である解雇手当を従業員に支払って、解雇手続となります。この解雇は「懲戒解雇」とは違う、ということです。もしかしたら、この解雇と懲戒解雇という認識の違いを混同しているのかもしれませんね。

会社を解散し、清算手続に進める過程において、従業員の問題は避けては通れないものです。せめて再就職先が決まる様に支援するくらいは必要だと考えます。

会社解散・清算の手続について支援致します。
詳細はホームページ(公式ホームページ:会社・法人解散・清算手続) をご覧下さい。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

天使後梯子が綺麗でした

※2016年に投稿したものですが、再構成再投稿しました。