こんばんは
今回は、法務局による遺言書の保管制度について記したいと思います。
対象となる遺言は
まず対象となる遺言は「自筆証書遺言」です。私見ですが、まさか公正証書遺言・秘密証書を保管してほしいと法務局に申し出ても制度上準備されてはいないので対応できないと思いますし、特に公正証書遺言については、原本が公証役場に保管されることとなるので、改めて法務局で保管してもらうことは想定されていません。
費用がかかります
それから、保管を申し出る際に、費用がかかります。はい、無料とはなっていません。誰の権利をという問題はあるかもしれませんが、権利を確固とするために制度を利用するのには、やはり費用がかかるものです。
出頭が前提です
それから、以前のブログで紹介したとおり、出頭主義が大原則です。では例外はあるのかというと、遺言者の住所等の変更があった際に、その変更の届出について、法定代理人ならば、代わって出頭してすることができるというものです。遺言者本人が出頭しなくてよいということにはなりますが、法定代理人が出頭することには変わりがありませんし、弁護士先生や、われわれ司法書士でも委任による代理は、現行法令上認められてはおりません。
いつまで保管してもらえるのか
法務局に保管の申請をした後、いつまで保管されるのか、その保管期限ですが、法律(法第6条代5項)では、抽象的に留められ、具体的には、政令にあります。その期間ですが、
(遺言書の保管期間等)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=501CO0000000178_20200710_501CO0000000183&keyword=遺言書
第五条 法第六条第五項(法第七条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める日は、遺言者の出生の日から起算して百二十年を経過した日とする。
2 法第六条第五項の政令で定める期間は五十年とし、法第七条第三項において準用する法第六条第五項の政令で定める期間は百五十年とする。
より引用
とあります。
法第6条の括弧書きにあるのが「日」ということなのですが、「遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として、政令が、『遺言者が、出生してから起算して120年を経過した日』ということとなります。
すなわち、「“遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、出生してから起算して120年を経過した日”から50年間は、その遺言者の遺言書を保管する。」と読み取ることができます。
やや先走りましたが、死亡の事実が、明確である遺言者の場合は、その死亡日から50年間は、遺言書を保管すると読み取ることができます。
さらに、PDF化された遺言書ファイルの存在があり、こちらは、その死亡の日から150年間は、保管し、その後は、廃棄することができる、こととなります。
法律で盛り込まずに、政令によって規定しているわけですが、高齢化、核家族化による諸問題から、わざわざ逐一国会で審議をせずに、政府が変更することができる仕組みとなっています。
次回は、保管された遺言の効力が発生した後にことを記そうと思います。
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