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竹木の枝の切除・根の切り取り(相隣関係)

こんにちは、今回は、「竹木の枝・根の切除のこと(相隣関係)」のことを取り上げます。質問がありましたし、少し前に改正もありましたので、テーマとして取り上げていきたいと思います。

早速、条文を確認してみましょう。引用元は、e-Govの法令検索の民法からです。

民法第233条「竹木の枝の切除・根の切り取り

現行(令和4年9月2日現在)は以下のとおりで、

第二百三十三条 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

e-Gov 法令検索 民法第233条(令和4年4月25日施行日)より

念のため、参照したURLを記します。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220525_504AC0000000048&keyword=民法#Mp-At_233

とあります。

改正後の民法第233条

来年の令和5年4月1日から、民法233条は、以下のようになります。

第二百三十三条 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。

 第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。

 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。

 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

 急迫の事情があるとき。

 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

こちらも、念の為、引用元のページをURLを記します。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230401_503AC0000000024&keyword=民法#Mp-At_233

となっています。

現時点では、旧来の取り扱いと同じですが、来年の令和5年4月1日以降では、同条第2,3項が追加されるため、留意が必要です。

改正後民法第233条第2項のこと

もっとも第2項のことは、竹木そのものの共有関係における枝の切除のことを記しています。もちろんこのことは、あくまで権原でもって生息している地から隣地へ越境してしまった枝に対して、他の共有者の同意承諾なしに、一部の共有者から切除して良いことが記されています。

改正後の民法第233条第3項のこと

では、3項を見ていきましょう。確かに第一項で、竹林の所有者に枝の切除を請求することができるとあります。そのことが前提なのですが、同項各号の場合であれば、隣地所有者が自ら枝の切除をすることができます。

竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。

この催告とは、「枝が土地の境界を越境し、こちらの敷地内に入り込んでいるため切除せよと書面等で請求すること」です。催告をし、切除するための相当な期間が経過したが、竹木所有者が当該枝を切除しなかった場合に、隣地所有者が自ら、枝を切除することができます。

竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

前号の催告をしようにも居場所がわからない、そもそも竹木の所有者が知ることができないならば、催告どころか、第一項の請求もできないことが明白なため、隣地所有者は自ら、越境した竹木の枝の切除をすることができます。

急迫の事情があるとき。

催告から実行してもらうまでに、また請求しても対応してもらうまでに相当な時間を要し、実行されるまで待っていては、隣地所有者にとって損害が生じてしまうような場合、隣地所有者自ら、越境した竹木の枝の切除をすることができます。

費用負担は?

枝を切除することが、令和5年4月1日より、状況によって、隣地所有者自らができるようになったことはわかりました。

ところで大事な論点として、費用負担はどうなるのだろうと疑問があるにはあります。丁寧に見ていきましょう。

第一項が大前提 権利義務に関する規定

第一項が大前提の権利義務のことが記されています。

すなわち、「隣地所有者が、竹木の所有者に、(中略)請求することができる。」とあります。これが大前提です。

催告したが、枝と切除してくれず、隣地所有者が切除した場合

では、第三項第一号に至った場合は、生じた費用は、隣地所有者が立替て、竹木所有者に請求することとなると考えられます(民法第703条)。

急迫の事情により、隣地所有者が枝を切り取った場合

第三項第三号の急迫の事情があるときは、事実認定を考えると請求できるものと考えられなくもないですが、竹木所有者にとって、越境している竹木の枝の切除をする機会を設けてくれれば対処できたにも関わらず、その機会を奪うかのように、急迫な事情が生じることに乗じて、枝を切除されたとなると、あとは事実認定の問題といえ、厳密な費用の請求や切除したことによって生じた損害について、司法の判断を仰ぐ必要が生じる可能性があると思われます。

竹木所有者の住所不明、そもそも竹木所有者自体が不明の場合

第三項第二号ですが、そもそも 、所有者がどこに住んでいるのか、尋ね当たらず、むしろ所有者の存在すらわからない場合を意味しています。この場合、事実上、費用は、隣地所有者が負担することになるように思われます。もっともその後、請求権に基づいて、住所や、竹木所有者が確定できれば請求できる可能性がありうるのかもしれません。

越境してしまった根っこの切り取りのこと

確かに、ないわけではない問題です。条文上は、隣地所有者が、竹木所有者の承諾なしに、切り取ることができると読めます。

ただ、越境してきた根っこを切り取ってしまったことによって、その竹木が枯れてしまう話もあり得ます。お隣り同士という関係は、どちらかがその地から離れない限り継続するため、もしも気がついた場合は、双方話し合い、場合によっては造園業等の方からの助言を受けながら、お互いに協力して解決する必要があるように思われます。

終わりに

相隣関係という特別な事情を熟慮すると、先に記したように、当事者の一方がその地から離れるか、解決しない限り、関係は解消もしませんし、相隣関係の問題を放置すると、新たなる当事者とも問題は継続することも考えられます。

債務名義を取って対応することは、できなくはありません。民事執行による強制執行や間接強制の制度を利用することも考えられなくもありませんが、実務上、事実上、費用は債権者負担となることも多いにしてありえます。

もちろん、民法の規定により、双方の権利義務が明確となり、その上で民事訴訟・民事執行・民事保全の制度の存在があり、それは並行して、当事者同士によって話し合いで解決することが、もしかしたら、お互いに一番経費をかけずに、問題を解決できる可能性もあると、意識の片隅に置いた上で、問題解決に当たられることを切に願うものです。

長文をご覧になっていただきありがとうございました。

季節の花
季節の花

当事務所の業務の概要は、当事務所webページをご覧ください。

司法書士 大山 真 事務所
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開業当初のブログの整理

こんにちは、ご案内ですが、開業当初のブログの整理をすることとしました。

開業当初のブログ記事を整理する理由

現在、webページやブログは、事務所の存在を世に知ってもらう良い広告媒体と言えます。また検索結果も関心を持っています。

開業当初のweb・ブログ構築のあり方の回想から

当初の検索結果の重要な要素は、構造(内容)をページに持たせていれば、デザインは、さほど騒ぐことでもありませんでした。またスマートフォンの登場がまことしやかに騒がれてましたが、まだまだ先のこと、デザインがどの様に統一されるのか未知だったこともありました。
しかしながら、発信しないわけにもいかないと思い、当時PCに標準搭載されていたWeb制作ツールを用いて、ブログを構築し、運用を開始ししました。

今日では、webページを閲覧するデバイスが多様化したことに伴い、デザインも無視できないこととなりました。

法令・制度の改正に対応するためブログ記事の再考

歳月が流れ、法令の改正、登記制度も変更があり、随分変わったなと感じます。登記申請はインターネットを介する申請が主流となりつつあります。また裁判事務手続も、インターネットを活用した方法を具体的に検討されています。

そこで、当事務所の開業当初のブログ記事について、見返しながら現在のブログに移植することとなりますが、内容は、現行法令に即した内容に改めようと思います。

デザインをモダンなものに

開業当初のブログ記事を移植する理由は、現在のデザインに準拠する必要があると考えました。先にも記しましたが、当時のレイアウトデザインでは、スマートフォンからのアクセスの対応が難しいと判断しました。記事を現在のブログに移植することで、レイアウトデザインも解消していきます。

事務所、業務内容の概要は、当事務所webページでも紹介しております。ぜひ、ご覧ください。

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飛翔
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民法(債権法)改正について

 先日行われました、債権法改正のシンポジウムに参加してきました。改正の必要性等の趣旨は解りましたが、これから議論がもっともっと必要ですね。
 もともと民法をはじめとする私法は権利について規定しているのですが、特に重要なことは、利益均衡のことです。規定のふりによって、権利の勝敗が決まります。そうすると今までは、債務者側に圧倒的に有利だった規定が、やや債権者を保護する様に改正されたり、またその逆だったりということがあります。それから今は、情報格差という問題もあるので、消費者を保護する観点から、私法上の特別法である消費者契約法も存在しているわけです。そういった特別法をどれくらい一般法である民法に盛り込むのか、そうすると特別法の存在はどうなるのか、様々なことにも目を配る必要があります。
 もっとも行政(法務省)は、より多くの意見を求めていて、突詰めると国民が理解できなくするための法律の改正を行うわけではなく、やはり理解してほしい思いもあり、これから時間をかけて審議するという事の様です。
もう少し、見てみたい方は、下記のURLを参照してみてください。
http://www.moj.go.jp/SHINGI/091124-1.html

遺言書の作成の相談を承ります
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イタリア フィレンツェ

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年7月2日に、本ブログに移植しました。