とある司法書士が、脱税の疑いで、地検に告発された様ですね。報酬の事と脱税をすることとは、直接繋がるという訳ではありませんが、倫理の面や、会則などの規制がさらに強化されるのかもしれません。
基本的に報酬は自由化されているので、どの事務所が高いとか、安いとか、相場は幾らなのかという議論は、ここでは控えます。
一部報道で、手続が形式化しているというコメントがありましたが、多くの司法書士は最適な助言や事件の処理をするために、準備に膨大な時間を費やしています。その努力が報わるために社会からの認知がされるように、日々研鑽していきたいものです。
上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年5月1日、本ブログに移植しました。
回想
当時は、警戒心もあり、あまり詳細にはかけなかったような気がします。この事件は、債務整理事件、特に過払い案件を大量に、しかも工場生産のような方式で、事務処理を手掛けていた事務所が、脱税の疑いで大きな事件として報道された事案でした。他にも報酬額が高額に取り扱われ、結局債務者依頼者には、返還金が戻ってこないという事案も多数散見され、弁護士会、日本司法書士会連合会が債務整理事案について報酬の規制を設ける事態となりました。
歳月が流れましたが
歳月が流れ、既に10年強経過していますが、この多重債務者問題は、いろいろ変化しています。債務整理を手がける事務所と元貸金業者の癒着によるバックマージン問題、それに漬け込むメディア、貸金業法の総量規制および今日の社会経済の動向による、結果的な銀行の消費者金融への乗り入れは、貸金業法の総量規制は、働かないため、個人カードローンが問題視されたりしています。
仕組みを理解し、計画的にと言いますが
コマーシャル等で、「ご利用は計画的に」というメッセージがありますが、計画的に利用しようと検討すればするほど、その金融商品は良くないことがわかってくると思います。もっとも利用される方が、本当に資金繰り等の計画を本当に立てているのかというと、ほとんどの方が計画性を持っておらず、緊急性を要するらしいため、借り入れたという事案がほとんどです。
セフティーネットの周知
では、セフティーネットの周知という観点から、この問題を見つめてみると、できていないことが実情ですが、消費者金融のコマシャル・広告ができるのかというと、基本的に収益性がない取り組みであるので、難しいものがあります。ただ今の時代は、テレビよりもインターネットの時代、ソーシャルメディアを駆使してどうにか周知できるのではないかと思ったりもします。
多重債務者・対応する先生の問題
大きな問題そして解決は困難である最大の理由は、多重債務者自身の問題もないわけでもありません。収入・支出の改善が望まれるところですが、面談していると大抵の方は、失業中であったりします。また流動資産が枯渇しているが固定資産を売却等の処分が困難な事案も多く、家計が行き詰まることもありますが、もっとも大きな問題は、債務整理が終わったとしても、家計の改善をしようとしない債務者本人の気質も大きな原因だろうともいます。
最終手段の行使しても、それでも難しい
多重債務問題の解決方法として最終手段である生活保護というスキームがあるにはあります。今、世間ではベーシックインカムという言葉も注目されていますが、いずれの方法も、保護し支給されている境遇から自立し、自らの所得だけで生活を立て直すまでには、時間と忍耐が必要であり、その忍耐強くなるまでに、相当な精神力が備わらないと難しいです。
また、その支援を真摯に対応する方がとても少ないことも実情であります。確かに支える側にも忍耐強さがなければならず、コンサルタント業務のように、報酬を回収できるのかといえば、実情から考えるととても難しい問題です。故に手続きが終わったら、支援を継続している士業の先生はほとんどいないと言っても過言ではありません。
回想により、多重債務者問題を改めて、見つめ直しました。当事務所では、現在対応を見合わせております。多重債務に関する問い合わせは、各団体にご相談いただければと思います