今回は、遺言に遺贈の記載があり、その遺贈を受けるのか受けないのか、また遺言の内容を実現する遺言執行者の就職の催告のことを記そうと思います。
そもそも民法の規定は
民法の規定をよく見ると、遺贈に対して応答する等の意思表示は、実は限られた方に向けた規定であることがわかります。
包括受遺者と特定受遺者の違い
まず、整理しておきたいこととして、包括受遺者と特定受遺者の存在があります。
結論から記すと、民法の遺贈に関する規定のいくつかは、特定受遺者に向けられた規定であることがわかります。なぜなら、包括受遺者は、民法の規定上では、相続人と同じ立場として扱われます。すなわち遺贈の効力が生じたことを知ったときから3ヶ月以内に承認するのか、放棄をするのか、熟慮期間内に対応しなければならないこととなるからです。
特定受遺者の遺贈の承認放棄の催告
では、特定受遺者は、どうなのか?
それは民法第987条に規定があります。
第九百八十七条 遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。
E-Gov より
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220617_504AC0000000068&keyword=民法#Mp-At_988
とあります。
この規定をよく見ると、催告した結果、何も応答がなかった場合は、「承認したものとみなす。」となっています。
遺言執行者に対する就職の催告について
次に、遺言執行者の就職の催告について、みていきます。
実は、このことも民法に規定があります。
第千八条 相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。
E-Gov より
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20220617_504AC0000000068&keyword=民法#Mp-At_1008
とあります。
この遺言執行者の就職のことも、実は、催告したが確答がない場合は、「就職を承諾したものとみなす。」とあります。
私見ですが、やはり、遺言によって定められた遺言執行者にその執行をしてほしいという念いが優先されるべき現れなのだろうと思います。また遺言執行者を指定するというスキーム(民法第1006条)もありますが、その場合も、指定する人物に遺言者が遺言執行者の指定を託した意思を尊重することが重視されているものなのだろうと考えます。
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