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会社設立のもう一つの方法

 会社と言えば、株式会社を思い浮かべますが、もっとリーズナブルに会社法人を設立する方法があります。

 出資者と役員が同じであれば

 例えば合同会社というスタイルがあります。合同会社は持分会社の仲間の一つです。株式会社との違いは、出資者と役員が分化(分かれて)いない、すなわち同じということです。

 制度上、株式会社の場合は、出資者(株主)と役員(取締役等)は分かれています。上場企業を思い浮かべるとわかりやすいと思います。一般投資家の方が取締役であることは基本的にはありえないですよね!もっとも総会で発言を認められて、アイデアを提供したら万が一ですが、あり得ない話ではないかもしれません。株主ということではありませんがパートの方でも、能力を買われて役員になったということも事例としてあるにはあるので…..。

 イレギュラーケースはさておいて、上場企業のみならず、実は中小企業でもこのことは一応当てはまります。オーナー社長と言われる経営者は、二重の地位を持っていると言っても良いのです。つまり、代表取締役という役員としての地位と株主という地位です。

 でも資金調達を今のところそれほど大規模に考える必要はなく、出資者と役員(社員)は同じでも良いと考えるならば、合同会社でも充分なのです。

 特にこの合同会社は、なんと!!!、独りからでも設立ができます。旧商法を学んでいた方やなじみの深い方からすると、少し違和感を感じるかもしれません。また社団という論理を持ち込むと更に理解に苦しむことになるかもしれません。でも潜在的に社団になることの将来性を見込んで、独りの社員でも合同会社は設立は認められています。

 出資者の責任は合名会社、合資会社よりも緩やかである

 責任ですが、出資した以上に責任を取る必要があるのでしょうか。素朴な疑問ですが、合名会社の社員や合資会社の無限責任社員は会社の負っている債務を会社自身が完済できなければ、責任を負うとなっています。合名会社、合資会社を自然人で置き換えて考えると社員は保証人であると考えるとよりクリアに、権利関係が理解することができます。

 合同会社の場合は、直接有限責任と言われています。この責任の取り方は、出資した以上に会社の債務は負わないことです。制度上は、直接責任という言葉があるので、債権者が社員に直接請求するできると謳っていたりもしますが、登記も考えると出資が完了していないと登記が出来ないので、こんな事は皆無だと言っても良いと思います。合資会社の有限責任社員の責任も直接有限責任なので、合同会社の社員と同じ地位と言っても良いですが、出資が完了しているのかは、内部の資料を見なければわからないので、はっきりとはわからないということがあり得ます。

 よって合同会社の社員について着目すると、中小企業の株式会社経営者の責任と変わらないと言えます。

 役員らによる意思決定が厳格である事 もっとも経営者がひとりだったら

 今まで、合同会社の利点を記してきましたので、デメリットを敢えて記すとすれば、意思決定の手続が厳格であることです。株式会社は出資者と経営者が分化しているため、定款を変更する事案になった場合や、会社全体の権利義務を左右しかねない事案ならば、株主総会の決議が要請されますが、ある程度は取締役等の役員に権限が委譲されています。

 ところが合同会社であれば、常務以外の意思決定については、持分の過半数の決議、全社員の同意と厳格な手続が必要な事案が多いです。

 もっとも一人社員(出資者兼役員が独り)ならば、意思決定は一人で決定する事なので、結果的に一人株主、一人取締役の構成である株式会社と何ら、変わるところはありません。

 ということで、いろいろ、実体上の比較をしてきました 次回に、設立時のコストを記したいと思います。

会社設立の相談を承ります

白井市内で設立をお考えの方、設立後成田法人会に加入をお考えの方、1回目の30分間の相談料は無料とさせていただきます。

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イタリア、フィレンツェからピサに移動する道です

上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年9月22日に、本ブログに移植しました。

補足

記事を記してから、相当時間が経過していますが、まだまだ制度を活かしきれていない会社様や会社設立をお考えになっていらっしゃる方が多く見受けられます。また、会社は成立したが、その後、個人事業に方針転換したりするケースもありました。

設立手続をしやすくなった環境は調いましたが..

ご自身で設立手続をしやすくなったことは、間違いありませんが、各行政庁は、行政にとって都合の良いことしか話をしてくれませんし、各士業においても、偏った情報に基づいて、助言をするにとどまっているように思います。
何も、司法書士がバランスよく見識を持っているのかと言われると、「はい」とも言えますし、「いいえ」とも言えることは事実です。

設立した後、どこを見据えて事業していくのかをよくよくお考えになった上で、検討されることを切に願っています。