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言質より現物の確認を

こんにちは、今回は、相続手続の相談を受け、その際に感じたこと「言質より現物の確認を」することの大切さを記します。

一般の方が、戸籍収集の際の姿勢について感じること

電話や面談で、まず戸籍収集のことを話されることもあるわけですが、集めた戸籍が全て揃っていることもあれば、不足していることもあります。
 不足していることを指摘し、その後不足分を取得した際に、対応した自治体窓口業務の職員から放たれた言葉をよく聞いていることは、感心します。もっとも「これで大丈夫です。」という言葉は、彼らも、よほど自信がない限り、発言することはなく、「どの程度(例えば「出生」まで等)まで遡れた」という発言はしているようです。

 それでも、いざ、収集した戸籍を眺めていると、請求時に問題があったのか、それとも相続手続き以外のこと、例えば請求者自身が自分のルーツについて知りたくなり、入手が可能な範囲で相続手続きとは関係のない範囲の戸籍をついでに取得することがあるようで、範囲外の戸籍を持参される相続人もいらっしゃいます。

 一方で、被相続人の戸籍について、それでも不足していることも大いにいしてあるようです。そうすると一般の方は、いったい戸籍のどこを見て、不足しているもしくは十分であるのかをどう判断しているのか、その判断について、もしかしたら、第三者に潜在的に託しているのではないかと勘ぐりたくなる面もあります。それは、あたかもあの人が言ったから 大丈夫というようににです。

言質よりも現物の確認を

 このことは、相続手続を支援する士業の先生の態度についても、問題視しなければいけないと思う面もありますが、まずは、戸籍について何が記載されていて、その戸籍簿が利用されていた時期について、しっかり確認することが必要なのではないか?そう思えてなりません。そのことが、法務局等へ対外的に証明する際に、補足説明ができるまで、是非とも把握していただきたいと考えます。

相続手続きについて相談を承ります。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
事務所: 千葉県白井市冨士185番地の21

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相続手続き事始め

こんにちは、今回は、相続手続きの事始めのことを記したいと思います。

誰が相続人なのか?

あまりにも、漠然とした表現で唐突な小見出しですが、まず誰が相続人なのかを確認する必要があります。

身近な方が亡くなられ、相続人たる親族が看取りをなさっていらっることが、ほとんどの事象です。また葬儀等でも、まず相続人はほぼ参列していることもほとんどだと思います。

第三者に対し、自身が相続人であることを知らしめるための手段

日本では、戸籍制度が存在し、その戸籍に基づいて、自身が、被相続人(故人)の相続人であることを証明する機能を担っています。戸籍によって、ご自身が、相続人であることを証明することができます。

戸籍による消極的証明

一方、戸籍は、戸籍に搭載されている相続人以外の相続人は存在しないことを入手時点について証明しています。ただ注意しなければいけないこととして、遺言による認知等、被相続人の死後に戸籍の変動が全く存在しないということではありませんが、そのような事実が存在しなければ、戸籍事項が相続人であることおよび戸籍に搭載されていない相続人以外は存在しないことを証明しています。

この相続人について、戸籍によって把握ができていないと、後の遺産分割協議、相続登記申請、金融機関への金員の払い出し等に大きな影響を及ぼします。

相続手続の事始め、それは相続人を戸籍によって把握することが事始めであると考えます。

戸籍の収集を代行します

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相続登記申請の義務化により一番注意する人は?

こんにちは、今回は、「相続登記申請の義務化により一番注意する人は?」について、記したいと思います。

なぜ義務化することになったのかは、別の機会に記したいと思います。

過料の制裁のこと

義務化する以上、その義務を怠った場合のペナルティーを確認しておかなくてはなりません。根拠は、不動産登記法(以下単に「法」と記します。)第164条にあります。

(過料)
第百六十四条
 第(中略)七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123_20230616_505AC0000000063&keyword=不動産登記法#Mp-At_164

とあります。10万円以下とあるので、この金額をどう捉えるのかという問題もあるのかもしれませんが、大多数の方は、支払いたくないと考えるのが当然だと思います。なお、先に記した「法」第164条は、令和6年4月1日の施行であることを付言します。

相続登記申請の義務を負う者

では、本題です。相続登記の申請の義務を負う者は、「法」第76条の2に根拠があります。

第七十六条の二
 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。
2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
3 前二項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123_20240401_503AC0000000024&keyword=不動産登記法#Mp-At_76_2

「法」第76条の2第1項は、単独もしくは共同で相続したまたは相続人が遺贈により被相続人所有の不動産を取得したことを知ってから3年以内に、所有権移転登記申請をしなければならないこととなります。

登記申請義務を負う典型例1

相続登記申請の義務を負う典型例で、唯一の相続人が単独で相続した場合が考えられます。登記の申請が必要です。「法」第76条の3にある申告登記制度を用いることにより、一義的に相続登記申請を、いわば猶予が認められないわけではない様に思われますが、所有権の帰属が確定している以上、申出に応じ登記をする実益はほぼ無く、「法」第76条の2に基づく登記申請義務を履行しなければならないこととなるでしょう。

一方、共同相続した場合ですが、遺産の分割について協議することも考えられるため、第1項の登記義務をまずは履行してしまうか、それとも申告登記をすべきかという問題はあります。

遺産の分割と登記のこと

先にも記したとおり、遺産の分割により、相続人の一部の方が、所有権を取得することが予定されている場合、共同相続による登記を避けること望ましいことも考えられます。それは、他の相続人の住所氏名が登記上記載されることと、総合的な申請に掛かる諸費用が増大することが考えられます。

協議により(一部の)不動産の所有権の帰属は決まったが…

協議により(一部の場合も含む)不動産の所有権の帰属が決まっていても、他の財産との兼ね合い、代償を伴う、そもそも不動産の価格について、相続人間で共通認識が持つことができないなど、遺産の分割が難航する事情が存在する場合があります。その様な諸事情が生じている場合は、「法」第76条の3に基づく申し出による申告登記をする実益はあると思います。

登記申請義務を負う典型例2

一方、遺産分割の協議も調っていて、不動産の所有権の帰属が確定している場合は、やはり、「法」第76条の3の申し出による申告登記をすべきではなく、原則どおり、「法」第76条の2第2項に基づく登記申請義務を履行すべきです。

結語

以上のとおり、相続により取得し、登記申請を確実にしなければならない注意すべき方々について、取りまとめると…

  • 唯一の相続人が単独で相続した相続人
  • 遺産の分割により不動産の所有権を確定的に取得した相続人

この二つの事象となった場合は、「法」第76条の3に基づく申出をするより、原則どおり「法」第76条の2による相続登記申請をすべきです。

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残念な訪問者(親子)

こんにちは、久しぶりに残念な方々にお会いしたので、その顛末を記し、当事務所としてお願いを記しました。

面談前の電話

前日に、相続の相談をしたいとのことで連絡があり、電話越しでは、「夫が死去し、私(妻)と息子(妻と被相続人の間の子)が、相続人であること。私(妻)が、相続した。」とおっしゃっていたので、では息子さんとは、お話ができているのですね?と問うたところ、「息子も面談に同席した方が良いでしょうか?」と問われたので、どちらでも、と案内しました。

面談時の息子さんの発言より

いざ面談になり、その親子が席をつき、挨拶を終え、早速資料を見せて欲しいと切り出した際に、妻は資料を出している傍で、息子が、「いくらかかります? 相場は? 一般的な相続で難しい手続きではないと思うので 法務局に(自ら)行って手続きしようと思っています!」との御発言!?!?! がありました。

その発言を受け、「事案と依頼内容によって見積金額は変動します。相場とおっしゃいますが、報酬基準制度は撤廃されていますし、もし報酬基準を設けたとすると合法的なカルテルとなり、今日の社会になじまないものであります。みなさんそれぞれ一般的だとおっしゃいます。予算はどれくらいとお考えでしょうか?」と問うたところ…

「安けりゃ頼みますよ 安けりゃ。」とおっしゃいました。当職から「ご自身で申請をなさるということですので、どうぞ! 面談終了です。」と宣言し、面談を打ち切りました。

問題点として

相続人間で意思疎通が図られていなければ登記はできない

面談の態度から、親子間の意思疎通が図られておらず、相続した不動産の所有権の帰属も決まっているようには到底思われないため、相対立する共同相続人が同席して、面談を受けることは、もはや適切ではないと判断しました。

見積が欲しいならば情報提供と依頼内容の明確化が不可欠

時折、費用見積は画一的なものであると勘違いされますが、依頼内容が最終委任事項である登記申請代理は決まっていますが、それ以外の依頼内容が千差万別なため、何を依頼したいのか、どの程度・規模の財産が被相続人から相続人に帰属するのかによって、見積金額が異なります。
遺産分割協議が不要な相続人が一人である場合もあれば相続人が数十人にわたる事案、遺された財産が生計の基礎としていた建物(自宅)とその底地のみの事案もあれば、多数の不動産が相続財産の対象な事案もあります。故に聞かなければわかりませんし、資料を拝見しなければ見積もりを出すことでさえ難しいのです。

このことは、再三にわたり、当ブログや他のメディアでも、指摘していることですが、いまだに、ご理解いただいていないことがとってもとっても残念でなりません。

法務局に過度の負担をかけないように配慮をお願い申し上げます

ご自身で申請するのは構いませんが、法務局に過度の負担をかけないように配慮をお願い申し上げます。法務局の姿勢も、現在は、「登記『相談』」ではなく、「登記『手続案内』」とコンセプトが変わりました。この背景には、事務負担の軽減がありますが、人員の削除も大きな課題があります。事務負担の軽減の話に戻りますが、その昔は、既存の申請に対する審査業務に対し、割って入って相談に対応していたわけですが、審査手続の迅速化を図るために、「登記『相談』」から、「登記『手続案内』」とコンセプトが変わりました。
 時折、法務局の登記申請の受付で、申請をするでもなく、カウンター越しで矢継ぎ早に、質問をする方を見かけますが、じつのところ、受付で対応されている職員は、法務局に入局したばかりの新人さんが大多数で、後ろの審査に当たっている職員に比べれば、知識も拙いものであり、彼らに責任はありません。彼らに課された責任は、受け付けた申請書に間違いなく登録免許税が納付されているかを確認し、間違いなく受けつけたどうか、くらいなものであり、ましてカウンター越しで聞かれた質問に対して答える義務もありません。

調べてご自身で申請するなら図書館の利用を

ご自身で申請するなら、法務局にいきなり出向くのではなく、まず図書館で関連書籍を熟読し、知識を備え、ご自身なりに実体上の問題を解決してから、法務局に出向くことをお勧めします。ありがちなケースとして、どうしたら税金が安く済みますかと愚問を投げかける方がいらっしゃいますが、あくまでも実態があっての登記です。何か勘違いしていらっしゃる方が多く見受けられます。
 行政が民事上の問題については不介入であることは自明なことであり、その発生した事実に基づいて納税の義務が生じるのかどうか興味があるのは、税務署、都道府県の税務事務所・市区町村の課税課であり、法務局ではありません。納税関係で強いていうなら登録免許税くらいなもので、資産課税に関連することは答えることは、(一職員が、個人的に知っていたとしても答えることが)できないのはいうまでもありません。

最後に

その親子ですが、息子が「自分で申請する。」と頑張って発言している傍で、妻から「そう言って、亡くなってからもう3年も経っているのにねぇ。」とぼそりとつぶやき資料をしまいました。結局二人の態度を見ていて、意思疎通が全く図られてはおらず、息子は忙しいことを理由に、手続きに非協力的な態度をとり、全く取り合う姿勢では無いと感じました。もしかしたら次の相続まで手続きをしないつもりなのかもしれないと勘ぐられてもおかしく無いなぁとふと思った次第です。

読者の皆さんも気をつけてくださいませ

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不動産の数のこと

こんにちは

先の投稿の「抵当権抹消登記依頼(1)」および「抵当権抹消登記依頼(2)」の記事から、特に不動産の数のことに焦点をあてた、動画をYoutubeに公開しました。

YouTube 動画 不動産の数の解説

問合わせ時の留意事項

抵当権抹消登記申請の代理依頼について、電話での問い合わせの際に、不動産の数の把握がなされていないと、事務所にて「登記相談」で受けざるを得ません。
御留意ください

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