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民事信託・遺言・後見・相続 裁判事務

裁判所はなぜ本質的に同じ内容の書類の提出を2回求めるのか

こんにちは、今回は、「裁判所はなぜ本質的に同じ内容の書類の提出を2回求めるのか」について、記したいと思います。

裁判事務手続の後方支援にあたっていると、時折、依頼者から、「裁判所からなぜ同じ質問をしてくるのだろう?」と、素朴に疑問を持たれる方がいらっしゃいます。

今回は、家事事件手続に限って記したいと思います。

申立方法はどのような方法を用いたのか?

まず申立の際にどのような方法を用いたのか、意識する必要があります。

家事事件手続を始め、民事訴訟の訴えの提起でも、実は郵送による方法でも申立は認められます。専門職が行動する場合は、対応が分かれますが、当事務所は、原則、持参して申し立てることをお勧めしています。

郵送による方法で申立てた場合ですが、もちろん裁判所は、受付処理を行い、提出された申立書や添付された書類についても不備がないか確認します。

添付書類を求める理由

次に添付書類の提出を求める理由について記します。なぜ、添付書類の提出を求めるのか。

受け付けた裁判所が審理を扱って良いかどうか

裁判所としては、申し立てを受け付けた裁判所で審理して良いのか管轄の問題があります。相続放棄申述の申し立てを例にとると、被相続人の最後の住所地が記されている「住民票の除票」または「戸籍の附票」が必要となるわけですが、相続の開始した場所を証明するとともに、管轄裁判所の特定をするための証明書として位置づけられます。もしこの「被相続人の最後の住所地を証明する書類」の添付がないと、受け付けた裁判所も一応は受け付けたが、果たして審理を進めて良いのか判然とせず、申立人への照会の際に、「被相続人の最後の住所地を証明する書面」の提出を求めることとなります。

前提の事実・実体の有無の確認

そのほかにも、取り扱う事案によって添付しなくてはいけない書類は変化しますが、取り扱って良いかどうかを確認するための書類や申し立てをしなければならないほどの重要な事実が存在の有無(相続放棄申述の事案で言えば、被相続人につき死亡し、相続が開始している事実)を確認するための書面を添付する必要があります。

他の家事事件として、当事務所では、相手方の特定を慎重に行う必要性が存在する場合、特に相手方と調停の必要がある事件では、その相手方の住民票の写しをあえて提出する場合もありますし、住民票の記載のとおりに生活の拠点が存在していることを知っているのかどうかを依頼者から聴取し、さらに調査が必要になるかどうかも確認しています。

実質的に同じ内容の書面を2回送付する理由

では、タイトルにも記しましたが、なぜ「実質的に同じ内容の書面を2回送付する必要があるのか、その理由について解説したいと思います。

相続放棄の申述を例にとると、添付書面から、被相続人につき、相続が開始したこと、申立人が相続人であることを確認します。そして、郵送による申し立てであった場合、実のところ厳格な申立人の本人確認は、なされていません。他の裁判事務手続きでは、申立人は自らの権利(相続放棄の申述の場合は、どちらかというと消極的利益の事案が多い)の実現をはかる積極的な行動を求められるので、出頭時に裁判所書記官から本人確認を求められることがありますが、相続放棄の申述では、出頭を要する事案は限られ、原則送付による方法で完結します。

一度も出頭せずに完結する事件

それゆえに、照会という形で、再度、申立人の本人の実在性と裁判上の相続放棄の申述をする意思を確認するために「照会書」の提出を求められます。その照会書の質問内容が、実は、申立書に記載すべき内容と同じなのです。なぜ、同じなのか、それは、申立人本人の実在性の確認も兼ね合わせていますが、相続を放棄する意思を確認するための重要な手段として、照会書による回答は位置付けられています。

出頭による申立ての取扱い

では、もし出頭によって相続放棄の申述の申し立てをした場合、どのような扱いがなされるのか、管轄裁判所の事件処理の状況や方針にもよりますが、場合によっては、受け付けられたその場で、本人の実在性および意思確認をして、その場で、受理され、受理通知書が手渡す家庭裁判所も存在するようです。出頭の方が、より現実的なように見えますが、郵送による方法で以って事件背負いをした場合でも、口頭によるものか書面によるものかの違いはありますが、裁判所としての姿勢は同じことが頷けると思います。

結語

今回は、「裁判所はなぜ本質的に同じ内容の書類の提出を2回求めるのか」について、見てきました。なぜ同じことを2度も聞くいのか?! と嫌気がさして、あたかも申し立ての行為そのものを否定されているような気持ちになって「取下げる。」「取下げる。」と豪語していた相談者も過去にいましたが、事件処理する裁判所の立場について、考えてみると、裁判所の行動について、合理性がしっかり存在することが頷けると思います。

司法書士 大山 真事務所では、「相続放棄の申述」についての、相談を受け付けております。なお、当事務所ホームページでも概要を記しております。是非ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
事務所:〒270-1432 千葉県白井市冨士185番地の21

蝋梅です
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不動産登記申請 民事信託・遺言・後見・相続

相続登記申請のこと

こんにちは

先の記事にも記しましたが、法務省民事局のwebサイトにて、相続登記申請に関する2種類のパンフレットが公開されたことに伴い、当事務所としても、そのパンフレットを確認し、解説と感想を Youtube にて、動画公開しました。

よろしければ、ご覧になってみてください。

youtube 動画

念のため、先に本ブログでも記した記事も引用します。

法務省民事局のwebページにて、相続登記に関するパンフレット公開を受けて

なお、相続登記申請について、ご自身では、難しいと感じていらっしゃる方を対象に、当事務所では、相談、代理申請で対応しております。

司法書士 大山 真 事務所
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事務所: 千葉県白井市冨士815番地の21

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不動産登記申請 民事信託・遺言・後見・相続

法務局の web ページより

こんにちは、年の瀬ですね 今回取り上げるテーマですが、同業者の何人かが、取り上げていることなので、当事務所でも、確認し、ブログ記事に取り上げることとしました。

相続登記申請のことです

近頃の法務局の対応

実務界では、この相続登記申請のことは、少なからず問題が生じています。法務局は、「登記相談」という形では、対応せず、「登記手続案内」と対応を見直しました。人員の削減と審査等の事務処理速度の向上が主な狙いであり、このことは、何も一般の方に限った話ではなく、司法書士・弁護士等の専門職からの問い合わせについても、法務局のカウンターでの質疑応答や照会には応じず、ファックスによる照会のみとなりました。このファックスによる照会の制度ですが、一般の方に開放しているかはどうかは、存じ上げませんが、より込み入った事案であれば、専門職を頼ってほしいと案内されると思われます。

二つのパンフレットの配布

法務局のwebサイトをよくみると、確かにPDF版のパンフレットがダウンロードできるようになっています。

一つは、遺産分割協議編、もう一つは、法定相続編となっています。遺産分割協議編は、本編だけで39ページ、法定相続編は、同じく本編だけで35ページあります。

内容ですが、まず「はじめに」では、「相続登記がされないために生じている社会問題のこと」が取り上げられ、その社会問題を解決を図るために、相続登記申請が義務化されることを述べていますています。

相続登記申請をする利点

これらのパンフレットでも触れていますが、相続登記申請をする利点は、どこにあるのか。念の為、確認をしておきましょう。

民法の改正があり、法定相続分よりも上回る持分・相続分を取得した場合、登記等の対抗要件を付与されなければ、第三者に対抗することができなくなりました。すなわち、登記すれば、確定的に相続によって取得したことを第三者に主張することができるのです。

パンフレットをご覧になってほしい対象者は?

では、本編に戻り、そのパンフレットをご覧になってほしい方、その対象者をどのように設定しているのか。それは、比較的単純なケースを想定しています。パンフレットで突り扱っている事例では、夫婦親子4人家族でいずれも、夫につき相続が開始した事例を扱っています。

パンフレットの内容の概略

 遺産分割協議編にしろ、法定相続編にしろ、帰結することは、登記申請行為をしてほしことが目的です。

パンフレットには手順が記載

両方のパンフレットには、それぞれ準備から申請までの手順が記されています。

当ブログでは、詳細は記しませんが、法定相続の場合はステップが4段階、遺産分割協議の場合は、ステップが5段階に分けて記されています。いかにそのステップの概略を記します。

  • ステップ1は、共通していて被相続人および相続人を証明する書類の取得について記されています。
  • 遺産分割協議編のステップ2では、協議をすること、協議書の作成が記されています。
  • 法定相続編のステップ2並びに遺産分割協議編のステップ3では、登記申請書の作成が記されています。
  • 法定相続編のステップ3並びに遺産分割協議編のステップ4では、登記申請書の提出が記されています。
  • 法定相続編のステップ4並びに遺産分割協議編のステップ5では、登記完了のことが記されています。

戸籍関係の書類の取得については、戸籍の記載例も引用し、戸籍関係の書類がどのような役割を担っているのか、どちらで入手すれば良いのか詳細に記されています。なお、両編とも内容は、同じです。もっとも手続きが同一である以上、内容も同じです。

遺産分割協議、協議書のこと

遺産分割協議編では、もちろん遺産分割協議のこと協議書のことが記されています。もっともごくごく簡易に記されており、すべての遺産を対象に協議をし、その協議書もいっつにまとめたい場合は、無理をせずに、司法書士・弁護士等の専門職に以来sれた方が後々の手続きで立ち往生することがないと考えます。

登記申請書の作成

登記申請書の作成ついて、二とおりの作成方法が紹介されています。また書式例も先ほどご紹介した事例に沿って記載されています。書面で申請する場合、その体裁も詳しく記されています。また登記申請書の記載事項の説明が記されています。司法書士試験受験生が、熟読するテキストほどではありませんが、各記載事項について詳細に記されています。なお、法定相続情報証明制度を活用してほしい旨も記されています。

法定相続分に留意

なお、法定相続分については、民法の改正によって変更されているので、いつの時代の相続なのかに留意する必要があります。そのこともパンフレットに記されています。

添付書面の原本還付

登記申請書には、申請に至る登記の目的とその原因を裏付ける資料として、書面を添付するわけですが、すべての書類が対象ではありませんが、登記完了後、添付した書面(原本)を戻してもらえる制度(添付書面の原本の還付請求)がありますが、そのことも触れています。もちろんどう準備すれば良いのか記されていますが、イメージがわかない方は、専門職を頼るべきだと考えます。なお、法定相続情報証明の利用も考えてみても良いと思います。

登記申請書の提出、登記完了

そしてステップは分かれますが、登記申請書の提出と登記完了のことが記されています。

申請書の提出

どこの法務局に提出するのか、提出方法が記されています。

登記完了

登記が完了すると法務局から「登記完了証および登記識別情報通知書」の交付を受けます。その交付を受ける際の、留意点が記されています。なお、登記完了証および登記識別情報通知書の再発行はできません。そのことがしっかり記されています。
 なお、登記識別情報という言葉を初めてご覧になる方もいらっしゃると思います。その登記識別情報がどのようなものか、パンフレットは記されています。

相続登記申請の義務化

最後に、相続登記申請の義務化のことが、文章としては、最後に記されています。令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されることが、大きく記されています。なお、一旦法定相続登記をしたのちに、遺産分割協議が成立した場合は、追加的に、相続登記の申請義務が課されることとなります。

最後に、申請書提出前のチェックリストおよび令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化のフライヤーが掲載されています。

パンフレット配布の思惑

最後に、この相続登記申請手続きのご案内のパンフレットの配布の思惑について、私見ですが、今まで放置されてきて、相続人間および地方行政の固定資産税・都市計画税を徴収する部門では、全く困らなかったと言えます。

数年前の出来事より

数年前に、某市役所固定資産税課で、出くわしたことですが、登記なんてしなくても良いんですよ。届出さえしてもらえば良いんです。その届出もしていただけなかったら、差し押さえて、公売に附してしまえば、税収が測れるので問題ないんです。と豪語した職員がいました。その当時は、随分と登記制度を莫迦にされたものだなぁと感じたものです。

所有者不明な土地の存在

そうこうして歳月が流れ、所有者がわかりにくい土地が九州と同じ面積に相当し、このまま放置すると大変なことになると、国家行政が大号令を発し、その後、その部署からも、あのような失言に近い発言は、聞かなくなりました。

同業者からの不満の声について

 同業者の一部が、所有者自身で登記申請をして、登記所が混乱する、また司法書士法違反の他士業者が入り込んで、業務が圧迫されると豪語していますが、申請人が、単純な事案であり、キャッシュがないから、自身で申請することを妨げる要素なんて何もありません。

真に留意して欲しいことは記されていない

ただ専門職のような、まず実態ありきという観点から取り組むわけではなく、手続き重視に傾斜し、後に不都合が生じないために、手続きに配慮しなければならない留意点などは、そのパンフレットには、記されていません。また関係当事者が多数存在する事案な場合は、もはや個人では、対応しきれないこととなります。そのようなときに、専門職をぜひ、活用していただきたいと切に願っている次第です。

ぜひご依頼を

長くなりましたが、当事務所にご依頼いただければ、パンフレットを熟読することなく、相続手続および登記申請手続を代わって申請することができます。概要は、当事務所 Web ページ でも紹介しております。ぜひ、ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
事務所:千葉県白井市冨士185番地の21

クリスタルとイルミネーション
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事務所より

明日11月30日はお休み

こんにちは、明日11月30日は、終日お休みをいただきます。

来月12月1日は通常通り、稼働します。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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民事信託・遺言・後見・相続 高齢者権利擁護

法定後見申立の障壁

こんにちは、今回は、法定成年後見の申し立てにおける、障壁について、記そうと思います。まず一つ目の障壁となるのは、

審判時および後における希望が受け入れられるか?

このことは、家庭裁判所の裁量なので、簡単ではないと思います。ただ後見人候補者を設けずにして申し立てられた事案は、割と淡々と手続きが行われます。もし親族後見を望んでいて、後見人候補者を記載した場合、他の推定相続人兼親族の同意を取り付けていて、同意書を提出し、裁判所の面接で問題がなければ、親族後見が認められることとなります。もし他の推定相続人兼親族から同意が得られない場合は、家庭裁判所も難しい判断を迫られることとなるので、認められるかどうかは難しいと思われます。

では、次に、もう一つの申立時の障壁についてです。それは、

申立書の添付する資料の収集

です。申し立てたいとお考えの方は、実務上は、もはや本人に、判断能力が「不十分」から『無い』ことが常である「欠く常況」であるため、大抵はご本人ではなく、ご親族がそれぞれの事情を抱えた上で、申し立てをご検討されていると思います。

その上で、いざ申立ての準備にあたり、福祉関係者および医師からの書面の入手に始まり、本人、後見に候補者の戸籍事項証明書、住民票の写しや年間の収支について見積れる資料等、申し立ての類型によって、本人の同意書、他の親族の同意書などが、必要となります。

書類によって有効期限あり

単に書類を揃えただけでは不十分で、作成されてから提出までの間に1ヶ月を経過してしまったら、再度の入手を求められるもの、同様に3ヶ月を経過してしまったら、再度入手し提出を求められる書類もあり、よりスピーディな対応が求められます。

収集のみならず情報をまとめる

その書面を揃えるだけでは不十分で、申立書に、その情報をまとめたものを提出することとなります。そのまとめる作業によって一般の方からの申し立ての難易度が急激に上がります。

さきにも記したように、このまとめる作業時間をかけてしまうと、書類そのものの有効期限をが存在するものもあるので、留意が必要です。

作成が難しいと感じたら、専門家の力を借りる

こうしていろいろと見てきましたが、法定後見を申し立てるに際に、書類のことだけでも、様々な留意点があることに気がつきます。特に各書類の情報をまとめる作業の段階では、一番手間がかかるように感じます。また書類の有効期限もあるので、自身では作成が難しいと感じたら、専門家からの力を借りるべきと感じます。

法定後見の申立書作成の相談を承ります

司法書士 大山 真 事務所では、後見の申立ての後方支援も当たっています。また単に申立書作成業務のみにとどまらず、申し立てから選任審判がされるまで、原則、後方支援を継続して対応します。

なお、後見申し立てに関する業務の概要は、当事務所Webページでも紹介しています。ぜひご覧になってみてください。

秋ですね

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357
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