先日、電話で「相続人を排除したいのですけど…」という相談がありました。なぜか一般の方は誤解されている様ですが、単に裁判所に行って手続さえすれば、推定相続人は排除することができるということではないのです。
根拠は民法にあります。条文には、「被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があった」という事実がなければなりません。また排除の対象者は、遺留分を有するということなので、兄弟姉妹に対しては、排除をすることはできないのです。
廃除は、生前で申し立てることもできれば、遺言をもって請求する事ができます。
方法等については、個別具体的な内容に触れるので、個別に対応致します。
まずは、お電話を…047-446-3357
上記記事は、旧ブログ「時報」より、2022年6月3日に、本ブログに移植しました。なお、内容を一部修正しました。
補足
相続人の排除の件ですが、生前、遺言で申し立てることができます。ただ、上記にも記したように、申し立てれば、安直に認められるわけではなく、廃除の対象となる人物に審尋(簡単に記すと訴訟手続の対面とは違い、一方当事者のみを交互に呼び出し審理する形式)が行われ、上記の要件に該当するか否かを事実認定し、審判します。
そうすると、生前ならば申し立てた後に、裁判所は、該当する相続人を呼び出し、審尋する。相続開始後は、遺言に廃除の意思表示があれば、遺言執行者が、廃除の審判を申し立て、裁判所は、審尋することとなります。
主張立証の難しさ
生前ならば、被相続人となるその人が、申立書および準備書面もしくは、審尋時に主張し、証拠となりうるものを提出するば良いのですが、相続開始後となると、遺言書に記載し、事実上遺言執行者に、審理の対応をお願いすることとなります。
そうすると、生前では、推定相続人との関係をどうしていくのか、相続開始後の遺言でももってならば、主張立証のための大きなハードルをどう超えていくのか、なかなか難しいところがあるにはあります。
画一的な手法は、存在しない
なにか、こうすれば絶対認められるというセオリーや確固たるプロセスというものは、存在はしないと考えます。しかしながら、どうしてもということであれば、相続人の排除という手段を用いることも視野に入れても良いと思います。
兄弟姉妹が推定相続人の場合、なぜ排除が認められないのかは、また別の機会に触れたいと思います。
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