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民事信託・遺言・後見・相続 高齢者権利擁護

職業後見人選任を検討されている方へ

こんにちは、久しぶりに、新しい記事を記します。最近、過去記事の移植作業にとらわれ、記すことがおろそかになっていますね。

さて、題目にあるとおり、今回は、職業後見人選任を検討されている方に向けての記事です。もっとも、そうでない方にも、参考になる記事であると思って記しています。

申立段階では、後見・保佐・補助は原則確定しません

まず、どのような経緯で、成年後見人の選任申立を検討されているのかは存じ上げませんが、申立をしようとしているその人が、お身内の方を慮って、成年後見人選任の申立をしたとしても、必ずしも成年後見人として選任されるとは限りません。もっとも、すでに寝たきりとなってしまい、意思疎通をどうやっても測ることができないことが明白ならば、成年後見開始の審判を受けることになるはずです。

本人の判断能力を確認する段階的手段

申立をするにしても、準備が必要です。また申立後にも、本人の判断能力は確認されます。以下は、その段階的手段です。

  1. 本人の情報を福祉関係者に取りまとめてもらう。
  2. 取りまとめた情報を元に、医師が診断する。
  3. 申立時に、添付された、本人情報シートと診断書をもとに、裁判所が、鑑定(精神鑑定)をする。(実務的には、裁判所の指示に基づいて医療機関が精神鑑定を行う。)

という確認手段が用いられます。なお申立時には、本人情報シートと診断書が存在するわけですが、その診断書の記載に則して申立の類型がほぼ定まります。もし診断書の記載に基づかない申立をしたとしても却下とはならず、本人保護のために審判手続きは継続します。

思惑と違う場合でも、取り下げは原則不可

時折、申立人の思惑と違っているので取り下げたいと聞きますが、申立をしてしまうと、本人保護の観点から取下げをするには、裁判所の許可が必要となります。この許可は、まず認められない傾向が強く、実務で活躍されている同業者同士の間でも、認められないと言われています。

身元保証の問題

職業後見人は、基本的に身元保証はできません。なぜなら、後見人として本人に代わって法律行為を行うのであり、身元保証をしてしまうと、いざ保証債務に基づき履行した結果、後見人と本人との間で利益が相反することとなります。この利益相反の問題を回避するため、司法書士は、倫理により、身元保証はできないこととしています。そうすると、今まで親族の関与があった以上、選任された後見人はもとより、医療機関や施設関係者からも、身元保証に関することで、親族へ連絡が入ると思われます。

医療行為の同意

職業後見人に同意権は存在しません。医療行為は、手術を受けたり、人工呼吸器を装着することの同意等、様々ですが、職業後見人は、判断能力が不十分になる前の、本人が受ける医療行為についての在り方を知り得るはずもなければ、本人の生き方そのものの意思表示について、代理行為になじまないと考えられています。

なぜ、医療機関は同意を求めるのか

本人に判断能力があれば、本人に同意を求めます。このことは自然なことです。では、なぜ医療機関は、判断能力が低下した本人ではなく、ご家族に同意を求めるのか。深く考えれば考えるほど難しい問題ですが、一つだけ推察すれば、判断能力が低下していることが明白な本人に同意を求めて得られた回答は、信ぴょう性に欠けるとも言えますし、ご家族であれば、判断能力が低下する前の段階から本人と接していたし、ご本人のことをよく知っている推定が働くからだと思われます。

同意を得るもう一つの目的

また施術が成功したとして施術前に想定された障害を負う結果となったり、回復の見込みがこれ以上望めないこととなった場合の負担等を斟酌すると親族に潜在的だったとしても不利益を被る可能性がありうるため、同意を求めていると考えられます。

申立を検討されているご家族の方へ

上記にあるとおり、

  1. 申立が思惑通りになるとは限らない
  2. 身元保証の問題は継続する
  3. 医療行為の同意は、申立前と同様に、問い合わせがある

1は、申立後の特有な問題ですが、2および3は、申立前後では、変わらないことで、後見人が付されたとしても、引き続き本人を取り巻く関係者からの求めは継続します。職業後見人が選任されたからといって、関与から外れるわけではないし、無縁にもあるわけではないのです。

職業後見人を選任する利点は

では、それでも後見人を選任した方が利点があるとことは何か、以下に列挙してみました。

  • 施設・医療機関の契約が法定代理人によりはっきりと意思表示がなされる。
  • 煩わしい財産管理から解放される。
  • 施設との身上監護面でのやりとりから解放される。

が考えれます。こうしてみてみると、本人の容体が安定しているときは、ご家族の方は、しっかり仕事に取り組むことができることが言えると思います。

今回は、職業後見の活用するにあたって、留意すべきことを記してきました。またどこかの機会で、親族後見の利用と留意すべきことを記そうと思います。

先日訪れた夕暮れ時の新宿通りでした

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