将来に備えた、遺言書の作成をお勧めします。

 将来を見据えた遺言書の作成のお手伝いを致します。
 ご自身の死後の財産整理について、漠然と不安をお持ちかもしれません。また事業を経営されていた御自身が亡くなると、遺された家族間への遺産の引き継ぎ、経営していた会社の株式などの帰属関係が不安定になることがあります。
 そこで遺言を遺すことで、ご自身の死後の財産整理を明確にすることができます。相続人どうしの紛争を防止することができます。もっとも日頃から、ご家族とよく話し合い、相互に理解しあうことをお勧めします。法律上は、財産に関することや認知に関することなど、遺言によって拘束させる事項は限られますが、それ以外に最後の意思を伝えるメッセージを遺すこともできます。

遺言の遺した方が良いケース

これまでの当事務所の実績から、遺言を備えた方が良いと思われる事案のいくつかを以下に記しました。

遺言の遺した方が良いケース(1):母子家庭、父子家庭の親御さんがする遺言のススメ

 小さなお子さん(未成年者)がいらっしゃり、伴侶を亡くされてしまったために母子家庭、父子家庭となった方の場合、ご自身に万が一のことがあった場合、遺言がない場合、お子さんの法定代理人は、お子さんを取り巻く親族や親戚もしくは行政が対処されることとなります。遺言書に未成年後見人を指定する旨を遺してあれば、遺産の在り方の指定のみならず、お子さんの財産管理や身上監護をする人を指定すること(未成年後見人の指定)ができます。詳細は、相談時にお伝え致します。

遺言の遺した方が良いケース(2):お子さんから、『(お子さんの)ツレの存在がある以上、揉めるかもしれない、遺言書を書いてほしい。』と、日々せがまれて憂鬱な日々を過ごしており、平穏な暮らしを取り戻したい方」

 「子(推定相続人)から日々せがまれており、言われていることがうっとうしい」と仰る遺言者も、過去にいらっしゃいました。遺された財産をどのようにすべきかも大事なことですが、まずはしっかり遺言書を遺すことがもっとも重要であります。遺したことで、お子さんを安心させ、またご自身にとっても平穏を取り戻すことができます。

遺言の遺した方が良いケース(3):ご自身の最期をどのようにしてほしいか望んでいらっしゃる方

 ご自身の最期をどのようにしてほしいか望んでいらっしゃる方にとっても、遺言は、大きな力となります。また財産をどのようにされるのか、ご自身の死後、どのように取り計らってほしいのか、個々の事案によりますが、法的拘束力の効力の有無もありますが、憶いを遺すことができます。詳細については、相談時に対応致します。

遺言書を作成したが、その後、気が変わった場合はどうすれば良いですか?

 遺言書を新たに作り直すこともできます。たとえ公正証書による遺言をしたとしても、その後、自筆証書遺言で先に記した公正証書遺言の内容と抵触する内容を記した場合、その効力は、後で記した遺言の内容が効力を有することになります。
 遺贈する財産を売却してしまうことも、特に法律上、妨げるものは何もないので、売却等の処分をしても、特に問題はありません。

遺留分に関し、違反することはできないと言われましたが、どうすれば良いでしょうか?

 遺言書の作成の段階で、厳格に遺留分を算定するのは難しいです。特に流動資産がある以上、遺言の効力発生時の総財産を厳格に見積もることはできません。また法令には「遺留分に関する規定に違反することができない。」とありますが、実務上では、遺留分を侵害している遺言書でも、一応有効としています。その手当をする形で、遺留分を侵害されている相続人には、遺留分減殺請求権を認めています
 遺留分のない兄弟姉妹に「相続させたくない。」と希望するのであれば、総ての財産を遺贈をしてしまうことで、あなた様の総ての財産は、兄弟姉妹に対して相続をさせることをできなくすることができます。

遺言の方式

 方式について、普通の遺言として、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3とおりあります。
 この3つの方式の遺言のメリットとデメリットをまとめました。

"普通方式の遺言のメリット・デメリット一覧"

遺言の方式 メリット デメリット
自筆証書遺言  作成費用がかからない。
 思い立ったら、いつでも作成できる。
誰にも知られずに、他者を廃除して、作成できる。
 作成時に他者の関与を廃除した場合、不注意により内容が矛盾する場合、紛争を生んでしまう可能性がある。
 法務局による自筆証書遺言保管制度を利用しなかった場合、当該遺言書を捨てられてしまう可能性がある。見つけてもらえない可能性がある。
 遺言の執行の準備において、遺言の検認手続で相続人全員が関与する。
公正証書遺言  作成時に、公証人が関与し、矛盾する事項を最小限に食い止めることができる。
 家庭裁判所で、遺言の検認手続が不要であり、他の共同相続人の関与がなくても遺言執行が可能。
 費用(公証手数料、証人立会料等)が発生する。
 公証人、証人の関与があるため、完全に秘匿にはできない。
秘密証書遺言  遺言の内容を誰にも知られることがない。
自筆証書遺言とは違い、本文は、ワープロ書きでも可。
 作成時に他者の関与を廃除した場合、不注意により内容が矛盾する場合、紛争を生んでしまう可能性がある。
 封緘後に、公証人等が関与するので、費用が発生する。
 遺言の執行の準備において、遺言の検認手続で相続人全員が関与する。

法務局による自筆証書遺言保管制度

今まで、自筆証書遺言について、作成したは良いがどう保管すれば良いのか判らない。相続させようと思っている推定相続人または遺贈を受ける受遺者に預かってもらうことも考えたが、預けたことによって、自身の財産について主導権を渡してしまう感覚があり、抵抗があると思います。また遺言者が死去し、遺した遺言書の存在に気がついて欲しいものですが、気が付かれずに、遺産を分割してしまい、その後、発見されても功を奏さないこともあったようです。このようなことを防ぐ方法として、法務局に作成した自筆証書遺言を保管してもらう制度があります。

法務局による自筆証書遺言の保管制度は、公正証書遺言の作成費用と比べると安価です。効力発生後の当該遺言書の検認手続きは不要なことも利点があります。