未成年者・成年被後見人について

 未成年者及び成年被後見人は、ご自身では、法律行為を貫徹することができません。未成年者は、法定代理人の同意もしくは法定代理人による代理行為によって、法律行為を成し得ます。

 成年被後見人とは、いわゆる判断応力が無くなってしまったことが常態であって、もはや法律行為を単独ではなし得ない方のことを言います。そこで家庭裁判所から選任された成年被後見人が就くことによって、常に法定代理人(即ち成年後見人)による代理行為によって、法律行為をなし得るのです。

特別代理人選任の申立て

 ところが、先の未成年者・成年被後見人について、法定代理人が就いていても、法律行為をなし得ない場合があります。
 ここでは相続を例にとりますが、相続人の中に未成年者・成年被後見人が含まれている。未成年者・成年被後見人は、間違いなく相続人ではありますが、自らが協議に参加することができず、法定代理人が未成年者に代わって協議をすることも許されない場合があります。 このような場合、未成年者・成年被後見人は、遺産分割協議の参加を法定代理人ではなく、特別代理人に代わってしてもらわなくてはなりません。

 司法書士大山 真事務所では、特別代理人の選任審判の準備をお手伝い致します。
 また、相続手続きは、亡くなられた故人の財産を整理する性格もあるので、特別代理人を他の親族や友人に頼みづらいこともあると思います。そのような場合、司法書士大山真事務所では、特別代理人の候補者として、指名していただいて、対応できる場合があります。まずは、お電話で問い合わせを...

利益相反と遺産の分割

 利益相反とは、代理人が当事者である場合に、本人と代理人の互いの利益が相反することです。
 具体的には未成年者である子(成年被後見人)と親権者(成年後見人)の間でする遺産分割協議です。未成年者(成年被後見人)は、制限行為能力者として位置づけられ、権利の主体(権利を受ける立場)としてはなりうるのですが、未成年者(成年被後見人)自身で法律行為をしても取消すことができる法律行為となってしまい、法的安定性が失われます。そこで法定代理人が未成年者に代わって法律行為(意思表示)をするのですが、未成年者(成年被後見人)の対立当事者が法定代理人であった場合、もしかしたら親権者のお手盛りになってしまう危険性があります。この未成年者(成年被後見人)と法定代理人が対立する当事者の関係のことを利益相反と呼んでいます。

 未成年者(成年被後見人)と法定代理人の間の利益相反が生じている遺産の分割では、法定代理人が勝手に協議を取りまとめることはできません。先にも記した様にお手盛りとなる恐れがあるからです。そのことを避けるために、未成年者(成年被後見人)について特別代理人を選任し、その特別代理人が家庭裁判所の許可を受けた上で、遺産分割協議を未成年者(成年被後見人)に代わって意思表示をすることをします。なお実務上は、利益相反が生じた場合は、自身では意思表示ができない未成年者や成年被後見人に対して法定相続分以上の相続分を確保することが求められる傾向にあります。