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離婚・財産分与

離婚の裁判事務手続案内

こんにちは、今回は、離婚に関する裁判事務を紹介します。

民法の規定より

もしかしたら、世間体としては、あまり望ましいものではないのかもしれませんが、民法の規定をみると、実は、婚姻のすぐ後に、「離婚」に関する規定が存在します。

このことは、積極的にではありませんが、「離婚」はありうる問題だと、明治の時代から民法制定の段階で、認識されていたことであり、人生において起こりうることであるため、法律として予定されていることを表しています。

協議でできれば協議の方が良いのですが…

もちろん当事者が、協議により調える余地があれば、協議の方が良いことに間違いありません。しかしながら、そうもいかないこともありうることですので、家庭裁判所の力を借りて、離婚等の手続きについて、後方支援をしていきます。

改めて、当事務所の裁判事務のご紹介

当事務所では、webページに業務紹介をこれまで、なぜか掲載してきていませんでしたが、この度、簡潔ではありますが、搭載することとなりました。

離婚等の手続きで後方支援を受けたいとお考えであれば、当事務所公式webページをご覧いただけたら幸いです。

紫陽花
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民事信託・遺言・後見・相続

特別受益・寄与分,除斥期間

こんにちは、今回は、特別受益・寄与分の除斥期間のことを取り上げます。

早速条文をあたります。民法の規定です。E-Govから引用します。

(期間経過後の遺産の分割における相続分)
第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。
 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230401_503AC0000000024&keyword=民法#Mp-At_904_3

とあります。

法令の施行日

さて、この規定、実は令和5年4月1日から施行される規定です。なので、このブログ記事の公開時点では、まだ効力は発生していません。

もっとも、改正により、取り扱いが大きく変わるため、注意喚起を含めて、本ブログ記事に搭載することにしました。

前三条の規定とは

条文の冒頭に「前三条の規定は、」とあります。「前三条の規定」は、前回、前々回取り上げた、「特別受益」、「寄与分」のことです。その規定を時間が経過した場合どう取り扱うのかの規定です。

相続開始から10年経過すると

相続開始時から10年を経過すると、「特別受益、寄与分の主張ができなくなり、純粋な「法定相続分に基づく遺産の分割」を余儀無くされます

全ての相続手続きが対象ではない

但し書きにもあるように、全ての相続手続が、相続開始から10年経過したら、特別受益、寄与分の主張が認められなくなるわけではありません。

但し書きをよくみてみましょう。

10年経過する前に、家裁に申し立てた

まず、第一号です。

 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

E-Gov より

とあります。相続開始から協議がまとまらず、10年経過する前に、家庭裁判所に遺産分割調停等の請求をし、調停成立が相続開始から10年経過することもないわけではありません。

そのような事案で特別受益・寄与分の主張が認められないとなると相続人によっては、不合理な結果になります。この不合理を回避するため、10年の除斥期間は、考慮しないこととなります。

止むを得ない事由によるもの

次に、第二号です。

 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

E-Govより

なかなか難しいですね。

相続開始時から10年経過6ヶ月前から満了までの期間で、家庭裁判所に遺産の分割を請求できない止むを得ない事由が相続人にあった場合、その止むを得ない事由が消滅し、除斥期間経過前に、「…止むを得ない事由があった相続人」は、家庭裁判所に遺産の分割の請求(申立)をした場合、この除斥期間は、考慮しないこととなります。

原則は10年経過すると主張できない

さて、前々回「特別受益」、前回「寄与分」をみてきました。施行後、相続開始から協議がまとまらず、10年を経過したら、「特別受益」「寄与分」の主張は認められず、あくまで法定相続分に基づく遺産の分割を行うこととなります。もっとも共同相続人間が円満であれば、結局実情に合わせ、協議により遺産の分割を成立させることを妨げるものではないと考えられます。
この規定が施行され、様々な相続がありますが、まだ何にも手続きをしていないのは論外ですが、相続開始からなるべき早めに手続きをされることを切に願っています。

経過措置のこと

ところで、既に開始している相続はどうなのでしょうか? このことも触れておきましょう。

附 則 (令和三年四月二八日法律第二四号)第3条に規定があります。E-Govから引用します。

第三条 新民法第九百四条の三.(一部省略).の規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新民法第九百四条の三第一号中「相続開始の時から十年を経過する前」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時まで」と、同条第二号中「十年の期間」とあるのは「十年の期間(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から始まる五年の期間)」と.(一部省略).する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089_20230401_503AC0000000024&keyword=民法#503AC0000000024-Sp-At_3

とあります。施行されると新法の規定が適用されます。

猶予はあります

よく見てみると、その期間は、事実上優遇されることもありうると考えて良いと思います。

まず第一号の読み替えは、相続開始から10年経過する時、または、法律の施行の時から5年を経過する時の「いずれか遅い時まで」とあります。

続けて第二号の読み替えは、10年の期間に括弧書き「十年の期間の満了後に..(一部省略)..法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から始まる五年の期間」があります。

相続手続きの概要は、当事務所Webページでも、紹介しています。ご参照ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

綿帽子のたんぽぽと花咲くたんぽぽを前にしての撮影でした。