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民事信託・遺言・後見・相続

相続という心配ごとの対策

※初稿は2015年7月18日 午後5時23分に公開しました。その後、サーバー移行後、再度確認し、加筆修正しました。(2021年12月23日)

こんにちは

前回の続きです

将来 起きる相続の問題で お子さんがいらっしゃらないご夫婦のケースであると 直近においては 配偶者(連れ合い)の他界後のことをイメージされるかもしれません

配偶者の死亡後のことを念頭に対策を考えるならば 「遺言」書を配偶者に記してもらうことをお勧めします

いろいろなところで 「遺言」について取り上げられていますが とっても基本的なことを記したいと思います

※「遺言」(いごんと読みます)

遺言という行為そのものに 費用は掛けたくないのであれば ご自身の手で記す(自書すると言います。)、自筆証書遺言がお勧めです

この自筆証書遺言は、要件が四つ必要と言われています。この四つの要件が一つでも欠けてしまうと、法律上の「遺言」として、取り扱うことはできないので注意が必要です。要件それぞれでも、多くの注意点があるのですが、そのことは次回のブログ以降で触れたいと思います。

では以下、その要件です

  1. ご自身の手で、記す(自書する。)
    遺言を遺したいと思ったときには、既に身体の自由が利かないこともあるようです。しっかりと記せるときに記した方がよいです。
  2. 名前を記す
    手軽さ故に、記すことを忘れてしまうこともあるようです。
  3. 名前の脇に、印鑑がある
    上記2と同じで、記し終わった(自書し終えた)ので、つい安心して、忘れてしまうのかもしれません
  4. 日付を記す
    自身が何時他界するかは不確定なことだし、記している最中は、これが最後の(言わば)手紙の様な気持ちになるし、死亡時を起点とするから!?! とお考えになったのか判りませんが 不明確なケースがあります

個々の注意点の詳細は次回以降に記したいと思いますが、案外できていないことが多いです。ご留意を

遺言書作成の相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

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相続の心配を抱えているのであれば、対策を考えるべきです

こんにちは

久しぶりの投稿かもしれません

司法書士試験を受験された方は 試験実施日から9日経過したところでしょうか 約10年前は 私も同じ境遇でした 当時 やれることは全部やった 本当は気を失うくらい取り組んだと思っていたのですが 試験終了後 気を失うことも無く 試験会場を後にしたことを 良く覚えています

さてさて 自身の回想はこれくらいにして 先日 別件で対応していたことなのですが 将来 起きることの相続という問題について お話をお聞きすることになりました

お子さんがいらっしゃらないご夫婦であれば 連れ合いに万が一あったときのことを 気にした方が良いと思います お子さんがいらっしゃる過程と違って 話しやすいと思います

お子さんがいらっしゃらない場合で 相続のことを検討すると 親御さんの存在 それから 連れ合いの兄弟姉妹の存在が大きく気になるところです

連れ合いに万が一があって その後の親戚付き合いを継続して行くつもりであれば 普段からおつきあいをしっかりして行くことが重要だと思います

もちろん 対策として それだけなのかというと そんなことはありません 中にはおつきあいが難しいというケースもあるでしょう その対策については 次回のブログで記そうと思います

相続に関する相談をお受けします(相談料30分につき、金4,000円(税込み)。但し手続を御依頼される場合は無償)
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相続の対象となっている賃貸物件の賃料の扱いについて

こんにちは

今回は 相続財産と言っても遺産の分割手続なしで、法定相続分に基づいて、その財産を取得できるかどうかという観点で 賃料の場合はどうだったか? 確認してみたいと思います

最高裁(最判平17・9・8民集59-7-1931)の判例より、(ここでは、要旨を記します。)

「相続開始から遺産分割までの間に遺産である不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産であり、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は後にされた遺産分割の影響を受けない。」

とあり、この判例によると、相続開始から遺産の分割までに生じた賃料債権は、相続人が個別に、法定相続分に応じて賃借人に賃料を請求することができ、後の遺産の分割によって、その不動産が共同相続人の一人に帰属したとしても、期発生の賃料請求権について、原則、その遺産の分割の効果は相続開始時まで遡及しないと解することができます。

上記の判例から判ることは、賃料は、相続開始から遺産分割までの間は、法定相続分に基づいて、各相続人が請求できることの可分債権であること。言わば、銀行の預金債権と扱いは同じなのです。

ところで、賃借人は、どう振る舞えば良いのでしょうか。幾つか考えられますが、一番気をつけなければならないこと、それは、「不動産を相続した相続人が確定するまで、支払わなくてもよいことには決してなりません。当初の契約のとおりに支払う必要があります。」です。また上記の判例によると、一部の相続人に賃料を全額払えばそれで済みません。問題は、そう単純ではないようです。

賃借人は、共同相続人の誰に支払うべきか、上記の判例によると、相続開始から遺産分割が成立するまでは、各共同相続人に対し、法定相続分に応じて支払えば良い、と判り安直に手続ができそうに思えますが、そうも行きません。なぜなら相続を証明する書面を全て見なければ、どの共同相続人がどれくらいの相続分があるか、わからないからです。
もっとも賃借人は、債権者ではなく債務者であり、相手方債権者の都合について、その相続人を過不足無く調査することは、賃借人にとって過度な負担であると考えられます。

そこで、賃料を国に預けてしまい、その月の賃料の支払いの義務を果たしたとする制度、供託手続を利用します。

賃貸(地主・家主)人の相続人側からする手続としては、上記の判例のとおり、直接賃借人にその法定相続分に基づいて、請求することはできますが、相続を証明する書面を準備する必要があると考えます。単に契約書だけ持って賃借人に請求したとしても、相続人・法定相続分がはっきりしなければ、賃料請求権たる権利を持っているかどうかわからないからです。もしも、賃借人が既に賃料を供託していた場合は、その供託金の還付を受ける手続を受けなければなりません。

補足ですが、銀行の預貯金債権との違いは、賃貸借が継続中ならば、賃料の支払も継続し、(銀行の預貯金の払出請求権の債務は)取立債務とは違って、賃借人は原則賃貸人の住所地にて賃料を支払う持参債務として(もしくは指定した支払い方法ならばその方法によって)支払っていたのであり、相続が開始したことに伴い、相手方がはっきりするまで、賃料の支払いの度に供託し続けなければならないこととなります。

と相続する財産は、当然に分かれているのかそうでないのか、時折、注意しなければならないことなのですが、行動に移す前に、少し立ち止まって考えてみると、事故は、生じないと考えます。

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事務所より 民事信託・遺言・後見・相続

ある新聞記事を拝読し 改めて現金,金銭についてもう一歩踏み込んで考えてみる

現金、金銭という存在、実は、考えれば考える程、疑問符が多く浮かび上がってくる性格を持っている様です。

参考になる文献がないものかといろいろweb検索していたところ、

日本銀行金融銀研究所から出ております、金融研究(第14巻第4号 (1995年12月発行))の著者:古市峰子氏の「現金、金銭に関する法的一考察」

という論文が、参考になります。

実務で思慮深く考えると、実は難しい問題ではあります。ある新聞記事では、相続をテーマとして、「相続財産としての預貯金」と「共同相続人の一人が所持している相続財産である現金」の場合の比較なのですが、他の共同相続人が「遺産分割協議成立前に」、法定相続分に基づいて金融機関に預貯金を払い出しの請求の認否とその現金を所持している共同相続人に対する現金の引渡請求の認否に、結論が正反対の結果となっています。

上記のリンク元の論文では、相続というテーマからは、直接触れてはいませんが、金銭、現金が法的にどのような性格を持っているのか、理解の助けになれば良いと考えます。

相続手続の相談を承ります
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負債の相続財産について(その3)

随分 間が開いてしまいましたが 負の相続財産の調査の仕方について 続きを記してみたいと思います。

銀行取引に関する負債の調査の方法は先の投稿で記したのですが、独立してクレジットカード会社に関する負債についての調査方法も 実は手だてがあります。

割賦販売法第35条の3の36第1項の規定に基づく指定信用情報機関(平成22・06・07商第5号)であり貸金業法第41条の13第1項の規定に基づく指定信用情報機関(金監第569号)である株式会社シー・アイ・シー(略称:CIC)に照会する方法です。

こちらの信用情報機関では、クレジット情報は、契約期間中および取引終了後5年間について保有しているようです。

こちらでは、郵送で開示の方法と窓口で開示の2通りの方法が、準備されています。

何れにしても、相続があった時から3ヶ月は、以外にも早く訪れてしまいます。できるだけ早めに調査をすることをお勧め致します。

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