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会社の定款 目的のこと

こんにちは、今回は、株式会社の定款の記載事項の「目的」のことを、記します。

なんと、2008年10月12日のブログより、「次回は、目的以下について…」、と記しているにもかかわらず、どうもその後の記事で扱っていないようでした。申し訳ございませんでした。当時、資格試験受験予備校の講師業を掛け持ちでしており、また実務でも 多忙を極めていたことをよく覚えています。では、本題に入りましょう。

目的の記載事項は緊張します

実務では、この会社の「目的」の記載事項は、依頼者が意識している以上に、実は緊張します。会社法が施行され、目的の具体性までは求められることが無くなりましたので、法務局の対応に苦慮することは、ずいぶんなくなりました。当時は、ずいぶん気を使ったことを覚えています。

明確性の審査は旧法から変わらない

それでも、「明確性」の審査の要件はは、旧法から変わりません。事業の目的の記載事項が明確でなければ、登記申請は、受理されません。個別の事案はここでは触れませんが、この目的の記載について、場合によっては、対応に苦慮することも暫しあります。

記載できない事項

会社法が施行され、定款自治がずいぶん広く認められるようになりましたが、会社法および他の法令に違反するような行為を事業とする記載は、認められていません。例えば、法務局への申請代理は、司法書士の職務に該当し、司法書士または司法書士方人もしくは司法書士法で認められた士業の先生以外は、振舞うことができませんので、定款に記載することができません。

公序良俗違反、強行規定違反に該当する目的も記載できない

もちろん公序良俗に違反する目的、個別具体的な事案を取り上げるのは難しく、先に挙げたように法令に違反する事項と重なりますが、強行規定に違反する目的も、もちろん記載することはできません。

じっくり聴くことにしています

実務では、これから取り組む事業について、詳しくじっくり聴くことになります。

回想録から

過去に一度、「世の中のありとあらゆる物品」を自ら購入し輸出入するまたは他人様の所有物を国内外に出入れする。」と、あまりにも漠然としたこと仰り、調査に長期間の時間を要する事案だったと考え、それなりの見積金額を提出したところ、ご辞退されました。

混乱する事案

思い返すと、その相談者は、自身は通関士の資格はもっているが業務はやらないとお聞きしましたが、商社のように振舞うのか、運輸業のように振舞うのか釈然としませんでした。両方なのかと問うても、本人は、「どちらでもない、とにかく、世の中のありとあらゆるものを日本の国内外に出し入れするんだ!」と、さらにおどろいたことに、「一つの箱に、自身で買い付けたものと他人様が買い付けたものを一緒くたにして、日本に出し入れするんだ。」と豪語していたことをよく覚えています。

事業の目的として適法なのか?

そうすると会社の目的に適法性があるのか、どのような行為をこれから振る舞うのかを、もっと詳細に確認しなければいけませんし、「世の中のありとあらゆるものを」の文言に明確性があるのか、他人の所有物を輸出入することは運輸業であり、そもそも通関業の問題は発生しないのかと判然とせず、さらに本人は通関業務はしないと言っていたこともあり、混乱を極めた事案でした。

大手商社(上場企業)でさえ、記載は無かった

大手商社(上場企業)の定款を数社確認しましたが、会社単体の目的の記載事項は、物品名が羅列していましたが、それら物品の販売業としての記載がありましたが、「ありとあらゆるもの」という文言や運輸業のような記載はなかったものを記憶しています。結局、当時両方を都合よく振る舞える定款の記載をいまだに見たことがありません。

スムーズに目的の記載事項が決まる事案もある

話がそれました。上記のようなやりとりが、過去に一回ありましたが、もちろんスムーズに進む事案もあります。一例ですが、行政庁の許認可申請届出が前提になっている場合、会社が成立後、当該行政庁に申請届出をしますので、当該目的の記載事項を調べます。この行政庁の許認可申請届出は、「行政手続の申請に対する処分」であるので、その審査基準は、大方公開されています。

いろいろ記しました。今回は、大昔に混乱を極めた事案も取り上げました。実務では、目的の記載事項は、最もと言っても良いくらい難しいものだと、ご認識いただければと思います

株式会社の設立手続きについて、当事務所Webページでも、紹介しています。ぜひご覧ください。

司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

御衣黄桜を夜に撮ってみました。
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会社都合なら「解雇」です

こんにちは、随分前のことですが、会社の解散・従業員の解雇の相談があり対応したときのことでした。
話があまりにも噛み合なかったので受任しませんでしたが、取り組んでいらっしゃる事業からすると悪い人には見えないのですが、あまりにも意識が低い方だったのかなと思います。

会社の解散に伴い、従業員に御辞めになって頂く場合は、従業員の(自己都合による)退職ではなく明らかに「解雇」です。

その方から、言葉について「『冷たい』じゃないですか」と仰っていましたが、あくまでも会社の都合で御辞めになって頂くのですから「解雇」ですとこちらが説明しましたがご理解頂けなかった様です。

そもそも論として「冷たい」という言葉が出てくるくらいならば、事業譲渡や法人そのものの売却をなぜ検討しないのか、視野がとても狭く、経営者自身が単につらくなったから、会社を閉めることのみについてしか思考が働かないことに、なんだか可哀相な方の様にも思えました。

もちろん解雇手当も払わずに、いきなり「解雇だからさようなら」というわけにはいきません。原則1箇月前に予告をするか、1箇月分相当の給料である解雇手当を従業員に支払って、解雇手続となります。この解雇は「懲戒解雇」とは違う、ということです。もしかしたら、この解雇と懲戒解雇という認識の違いを混同しているのかもしれませんね。

会社を解散し、清算手続に進める過程において、従業員の問題は避けては通れないものです。せめて再就職先が決まる様に支援するくらいは必要だと考えます。

会社解散・清算の手続について支援致します。
詳細はホームページ(公式ホームページ:会社・法人解散・清算手続) をご覧下さい。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

天使後梯子が綺麗でした

※2016年に投稿したものですが、再構成再投稿しました。

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休眠会社の整理について

休眠会社の整理に関する投稿です。平成26年11月17日 午前10時28分に投稿したもの引用しを再構成しました。


登記上、休眠していると思われる会社法人に対して法務局からの通知

株式会社、一般社団法人、一般財団法人について、その役員には任期があります。事実上役員のメンバーが変わらなくても、役員の変更登記申請をしなければなりません。株式会社の場合、最後に登記をしてから12年経過している会社、一般法人の場合は、最後に登記をしてから5年を経過している法人について、通知がなされます。

この通知を受け取られた会社・法人は、法務局に対し、指定された期日までに、「まだ事業を廃止していない」旨の届出又は登記(役員変更等の登記)の申請をしない限り,解散したものとみなされ,登記官が職権で解散の登記がなされてしまいます。

またここまで放置してしまっていると、登記をしなければならない義務を怠っていることに対する行政上の秩序罰たる過料の制裁を免れないこととなります。もっとも放置しておいて、解散の登記をされてしまうと、現状を回復させるのに、無用な時間と費用が発生してしまいかねません。

ご留意頂きたいと思います。

当事務所ブログより

昨今の休眠会社の整理の状況

さて令和3年での取り扱いはどうなのか。法務省のWebページには、以下のような記述がありありました。

 令和3年度においては、令和3年10月14日(木)の時点で(1)又は(2)に該当する会社等は、令和3年12月14日(火)までに登記(役員変更等の登記)の申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしていない限り、解散したものとみなされ,登記官が職権で解散の登記をしています。 

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00082.html

そして、令和3年12月15日付で、「登記官の職権による解散登記」がなされてしまいます。この登記は、例外は存在せず、該当する会社の登記事項証明書を取得した段階で、仮に反映されていなくても、いざ申請の段階で、職権解散の処理をし、取り下げを促されるようです。

増加しています

会社法の施行(平成18年5月1日)から、もうすぐ16年目を迎えようとしているのですが、増加傾向をたどっています。

登記申請をお忘れなく

事業の継続という大きな取り組みの一部として、役員変更の登記申請もお忘れなく。当事務所Wewbページもご参照ください。

会社・法人の役員変更の登記申請を相談を承ります。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

3月に撮影した桜の蕾です
もうじき花が咲きますね
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定時総会のこと

こんばんは

今回は、会社または法人の定時総会に関することを記します。

年中行事であるはずですが、「何それ?!」と、おっしゃる方もいらっしゃるかも知れません。なぜそのようなことを指摘するのかというと、会社に関しては99パーセントが公開会社ではない会社ですから、一人もしくはご家族で株式を全部保有していらっしゃる会社が実のところほとんどと言えます。

さて法律はどうなのかと言うと、会社法(一般社財法人法)の規定の中に存在します。決算についての承認決議がなされないと、決算が確定しないこととなるので、税務上、かなりの問題が生じます。あれ、登記申請の話をしていらっしゃるのですよね?と疑問を持たれるかと思われましたでしょうか。はい、確かに、これから記そうとしているのは、まさに登記申請のことです。ただ登記申請よりも前に大事な実体上の問題があります。故に、記しています。

話を戻しますが、上場企業では、定時株主総会で決算の承認決議と剰余金の配当に関する承認決議をし、その定時総会終結をもって任期満了による退任する役員がいらっしゃり、定数に不足が生じないように、役員の選任決議も議案に含まれていることがあります。大方の会社法人であれば、株主、社員の中で、既存の役員と意見の相違がなければ、すべての議案について承認されるはずですので、基本的に、決算の承認確定の日と役員の選任および就任日が同日となるはずです。事業規模として上場企業のほどではない中小の事業者でも会社法人であれば、その仕組みも同じで、手続きは同じ道を辿ります。決算の承認および任意満了により退任する役員が存在し定数に対して不足が生じるのであれば、選任する必要があります。

書面上で、総会議事録の承認日および作成日は、法人税の確定申告書第一表に記載する決算確定の日は同日となるはずです。そうすると登記事項に変更が生じた日付についても同日となり、登記申請義務が発生することとなります。

ときおり会社の場合ですが、就任日がわからないとおっしゃる会社役員さんがいらっしゃいます。でもそれは、一人株主兼代表取締役の会社では、気がつかないで頭の中で株主総会が開かれ、決算の承認および(もはや黙示的に?!役員の選任決議)が行われ、確定申告書が顧問税理士によって提出されて、本人の自覚のないまま、物事が通り過ぎていることもあるようです。もっともご家族ですべての株式を保有している場合は、そうもいかず、定時株主総会が開かれなかった事案となるので、臨時株主総会を開催して、役員の選任および被選任者の就任承諾があって、役員変更登記申請を行うこととなります。

役員変更登記申請、会社によっては10年越しで役員の任期を迎えるわけですが、失念してしまい、登記申請し忘れている会社さんも多くはないようです。気をつけましょう。

役員変更の概要については、当事務所Webページをご覧ください。

会社・法人の役員変更の登記申請について相談を承ります。
司法書士 大山 真 事務所
TEL: 047-446-3357

Ume blossom
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役員変更の登記をお忘れなく

こんにちは

三月が決算期の会社・法人は、だいたいその二ヶ月後の5月、三ヶ月後の6月に決算の承認の手続きを経て、法人税の確定申告そして納税という流れを辿るわけですが、役員の任意について忘れてはいないでしょうか。

特に大体の株式会社について、設立後10年内の定時株主総会終結の日をもって、取締役等の役員は、その任期が満了し退任となります

えっ… いやいや 当社は 役員は一人しかいないし 勝手に退任と言われても ところで 誰がその任期なるものを決めたの?! と思われたでしょうか?

任期は、誰も決めたわけではないように思われますが、法律に基づいて設立当時の発起人が定款に定め、会社が成立したことによって任期がスタートしたものです。株式会社の役員には任期ということばを使っている以上、終わりがあります。たとえ一人しか取締役がいない会社でも、その任期は、存在するため、必ず任期が満了に伴う退任はあります。

いやいや、そんなこと言われても、役員は一人しかいないんだから、辞めろと言われても…と思われましたでしょうか?

いや、そうではなく、任期は存在しているのですが、再任すること、その再任について、不在という間隔を明けずにして役員としてそのままの地位を継続することはできます。そのことを重任と言っています。

ところで再任という言葉が出てきましたが、役員として続けていくには、どうすればいいのでしょうか?

それは、株主総会で役員の選任の決議をしてもらう必要があります。

いやいや、株主総会と言ったって、そんな組織はどこにもないのだけど…と思われましたでしょうか?

役員が一人で十分な業務執行が滞りなく運営できている株式会社だと 大抵株主は、その会社の取締役(いわゆるオーナー社長?)、またはその配偶者が大抵、株式会社の設立時に発起人として出資し、そのまま株主として存在していると思われます。税務上、同族会社の判定書に株主の名前が搭載されている方々が出席して、承認を得て、取締役としての地位を継続することが、大体行われます。

10年も経つと 設立当時、説明を受けたことも忘れてしまう。そんな会社が多く見られます

また10年も経つと定款にある条項も歳月が経過して、読み替え規定の適応して、解釈上、法律専門職には読み取ることができても、大抵の会社役員の方々は、経営のプロではありますが、法律専門職ほど、熟知されているとは言えないので、この機会に、見直す必要があるように思います

役員変更について お忘れなく!

会社法人に関する登記の相談を承ります
司法書士 大山 真 事務所

私は、スカイツリーに視線がいっていたのですが、雨降りの中、いろいろ取り組んでいらっしゃる方もいるようです。私だったら、雨上がりの方が臨場感あって良い写真が撮れると思うのですけどね